【獣医師監修】犬がごはんを食べない理由と対処法を解説!
食欲旺盛だった愛犬がごはんを食べなくなってしまった…。そんなときは、何かの病気なのでは?と、心配してしまう飼い主さんも多いでしょう。
確かに病気の可能性は気になりますが、犬がごはんを食べない理由はそれだけではありません。
さまざまなその理由と、それぞれの対処法をご紹介します。
食欲旺盛だった愛犬がごはんを食べなくなってしまった…。そんなときは、何かの病気なのでは?と、心配してしまう飼い主さんも多いでしょう。
確かに病気の可能性は気になりますが、犬がごはんを食べない理由はそれだけではありません。
さまざまなその理由と、それぞれの対処法をご紹介します。
目次
犬がごはんを食べない理由にはさまざまなものが考えられます。
まず一番に気にかけるべきものは“病気の可能性”ですが、特に健康状態に問題がなくても、ストレスや年齢の問題から食が進まないことも。
もしも愛犬がごはんを食べなくなってしまったら、元気はあるか?その他に気になることはないか?など、まずはじっくりと観察をしながら理由を探り、適切な対処をしていきましょう。
病気が理由でごはんを食べなくなってしまった場合は、例えば下痢や嘔吐を伴っていたり、水も飲まないなど、食欲低下の他にも異変が起こることが多いです。
元気がない、咳、呼吸が荒い、黄疸、尿の色の異常、震え、発作など
苦しそうにしている、鼻水、くしゃみ、息が荒い、嘔吐するようにえずくなど
嘔吐、吐出(食べた直後に吐き出す)、下痢、血便、震えなど
歯茎の炎症、出血、口臭、よだれの増加など
咳、呼吸困難、腹水、体重減少、嘔吐、下痢など
これらの症状がある場合は、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。
気になる症状が出始めた時期や、食事・下痢・嘔吐の回数などを書き留めておくと、問診時に役立ちます。
また、病気の悪化にもつながりかねないため、ごはんを食べたがらないときには決して無理に食べさせないようにしましょう。
ストレスが理由でごはんを食べなくなってしまった場合も、下痢などの身体症状や気力の低下を伴うことがあります。
まずはストレスの原因となるような出来事がなかったかを振り返りながら、できるだけ多くコミュニケーションをとってあげましょう。
また、ごはんを食べたがらない犬に対して、無理にごはんを食べさせるのはNG。食べたくないときに食事を強いられると、余計にストレスを招いてしまいます。
仮にストレスが考えられる場合でも、数日間ごはんを食べないときは病気が隠れている可能性もあるため、動物病院での診察をおすすめします。
老化が理由でごはんを食べなくなった場合は、ある日突然食べなくなるというよりも、徐々に食事量が減っていくのが特徴と言えるでしょう。年齢を重ねるごとに、食事量が減ったり食べるスピードが遅くなるのは当然のことです。
他に変わった様子がなければ、過度に心配する必要はありません。
必要摂取カロリーが減る
食事の体勢が取りづらくなる
上手に噛めなくなる、飲み込みづらくなる
歯や歯茎が弱くなり、上手に噛めなくなる
食事のにおいやのどの渇きに対して、感度が低くなる
無理に食事量を増やそうとはせず、少量でも必要な栄養素を摂取できるように食事の質を高めることを意識しましょう。また、関節炎を起こしていたり筋力が低下している場合は、フードボウルの位置を変えてみるのも効果的。その他にも、フードに水分を含ませ柔らかくするなど、少しでも食べやすくしてあげる工夫も大切です。
まずは自宅で様子を見つつ、他にも気になる症状がある場合は動物病院へ連れていきましょう。
嗅覚の敏感な犬は、フードの臭いがいつもと違うことに気が付くと、警戒してごはんを食べなくなることがあります。
また、食事のときに大きな声や音などで驚いた経験があると、食事そのものに警戒してしまうケースもあります。
飼い主さんの手でフードを与えてみたり、食べることができたら「上手に食べられたね」と褒めてあげるなど、コミュニケーションをとりながら“楽しい食事”になるよう工夫をしてみましょう。
フードを新しいものに切り替えるときは、まずはごはん全体の1割程度の量をいつものフードに混ぜて与えます。2日目以降その割合を少しずつ増やしていき、1週間から10日間くらいかけてゆっくりと切り替えていくようにしましょう。
特に心配な症状がないにもかかわらずごはんを食べないときは、このようなことが理由かもしれません。
日頃から人間のごはんを与えていたり、おやつや目新しいものだったら喜んで食べるような場合は、単なるわがままの可能性も。
このようなときは30分程でフードを下げ、次のごはんの時間まで何も与えないようにしましょう。しかし、わがままだからといって何日も放っておくのも、肝臓に負担がかかってしまい危険です。わがままが原因のように思えても、数日間食べないようであれば、獣医師による食事指導を受けましょう。
フードの保存状態が悪いと酸化が進み、風味や香りが劣化していきます。
そのような“おいしくないごはん”は、食べたくなくなるのも当然ですよね。
ドライフードは封をしっかり閉め、直射日光・高温多湿を避けた場所で保存しましょう。
ウェットタイプのフードは、基本的にはその日のうちに食べきることをおすすめしますが、サイズなどによっては食べきれないケースもあるので、フードに記載されている保存方法を守ったうえで保存しましょう。
子犬は成犬の約2倍のエネルギー量を必要とするため、成犬よりも食事の量が多くなります。しかしこの成長期は一般的に生後4~6カ月目くらいまでで、この食事量にも落ち着きが見られ、飼い主さんにとっては「食欲がない?」と心配になることも。
他に気になる症状がない場合、このような時期には、成犬用のフードに切り替えるタイミングや必要な摂取カロリーなどを、獣医師に相談してみると良いでしょう。
ごはんを食べない理由がどのようなものだとしても、決して無理に食べさせてはいけません。万一病気やストレスを抱えていた場合、症状の悪化やストレスの増幅を招いてしまいます。
また、ダラダラ食べやフード遊びを防ぐためにも、食べないごはんは長時間放置しないようにしましょう。
少しでも気になる様子が見られるときは、できるだけ早く動物病院へ行くことをおすすめします。
犬に与えてはいけない食べ物には、このようなものが挙げられます。
食べこぼしや料理中の食材の扱いには、十分に注意しましょう。
犬がご飯を食べない理由にはさまざまなものがありますが、一番気を付けるべきは病気の可能性です。食欲低下以外にも心配な症状がないかをしっかりと観察して、気になることがあれば、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。
あまり心配する必要がないケースは、どうしたら楽しく、おいしく食べてくれるか?を考えながら、飼い主さんが食事の工夫をしてあげることも大切。
まずはごはんを食べない理由を正しく理解し、ふさわしいケアをしてあげましょう。
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監修いただいたのは…
2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。