(ドクターズアドバイス ペピイドッグズ 2010秋冬号掲載)
元気の素は食事から!
「肥満」を防ぐ生活習慣
愛犬の食事管理をきちんとしていますか?ついついおやつを与えすぎて、太らせていないでしょうか?
肥満は、健康を損なう一番の大敵!食欲増進の季節、愛犬を太らせない生活習慣を身につけましょう。
①愛犬に必要なカロリー以上は与えない
さて、まず最初に、愛犬の毎日の食生活を振り返ってみましょう。あなたはフードをきちんと量って与えていますか?
おやつを与えたら、その分、フードを減らしているでしょうか?
太る原因は簡単で、摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから。つまり、飼い主さんが愛犬の喜ぶ顔を見たさに、おやつを与えすぎたり、フードの上にたっぷりトッピングをしすぎることが、愛犬を肥満させる一番の原因といえるでしょう。
その管理こそが、肥満予防の第一歩です。
●愛犬の一日の必要摂取カロリーってどのぐらい?
そこで、カロリー管理の意識をもつために、愛犬が一日に必要とする接種カロリーがどのぐらいか、次の計算式を使って、電卓で算出してみましょう。
この数値を超えないように、フードやおやつの給与量を調整していけば、肥満は防げるはずです。
※計算式で算出された数値はあくまで目安ですので、愛犬の体重の増減をみながら、調整してください。
●おやつやトッピングは「別腹ではありません」
最もカロリー管理をしやすいのは、必要摂取カロリー分をすべてフードで与える方法です。一日の給与分のフードを取り分けておき、おやつもそこから与えるようにすれば、面倒なカロリー計算もいりません。
「それでは味気ない」という方は、栄養バランスを崩さないためにも、おやつやトッピングは、一日の必要摂取カロリーの1~2割までに抑えるようにしましょう。そして、与えたカロリー分、フードの給与量を減らしてください。
いつも与えているおやつやトッピング食材のカロリーを調べ、フードに換算するとどれぐらいの量になるのか把握しておくと、便利ですね。
●愛犬の満足感を保つために、おやつの与え方に工夫を
おやつの量が減って愛犬が不満そうであれば、与え方に工夫を。回数は減らさず、おやつを小さく切って一回当たりの量をすくなくして対応しましょう。犬はほとんど噛まずに飲み込む習性があるので、おやつの大小はそれほど満足感に影響を与えません。
②食事回数は、ドカ食いより小分けで
次に考えたいのが、食事回数。一般的には、一日1~2回が多いのではないでしょうか。愛犬の健康状態に問題がなければ、それでもかまいませんが、肥満予防の観点からは、食事回数を3~4回に増やして、小分けにして与えるほうが効果的です。
●空腹時間が長いと吸収率がアップ
人でもドカ食いは肥満のもとですが、犬も同じ。食事の間隔があいて空腹時間が長くなると、体が飢餓状態と判断して吸収率が高まり、食べたものが体脂肪として蓄積されやすくなるのです。また、食事を摂ること自体で消費されるエネルギーもあります。つまり食事回数を増やすと、エネルギー消費の機会も増加するわけです。
さらに胃が空っぽの状態が続くと、犬が胃液や胆汁を吐く原因にもなります。
③太りにくい体づくりに、お散歩は欠かせません
「小型犬にはお散歩は必要ない」と思っている飼い主さんも多いのですが、小型犬であっても、心身の健康のために、毎日のお散歩は欠かせません。
運動による消費カロリー自体はごくわずかですから、直接的な肥満解消の効果は期待できません。しかし、適度な運動で筋肉をつけることで、基礎代謝がアップし、太りにくい体をつくってくれるのです。
●基礎代謝の4割が筋肉で消費
基礎代謝とは、呼吸をする、心臓を動かす、体温を保つなど、生きていくのに最低限必要なカロリーのことで、じっとしていても消費されていきます。実は、一日の消費カロリーの約7割は基礎代謝で占められ、基礎代謝の4割は筋肉で消費されています。筋肉をつけることが、肥満予防にとても有効なことがわかりますよね。
●肥満犬に激しい運動は厳禁
ただし、すでに肥満してしまっている愛犬に、激しい運動をさせることは厳禁。心臓や関節に負担がかかり、健康を損なう原因になりかねません。その場合には、まず食事管理で体重を落とすことから始めましょう。
④ボディ・チェックと体重測定の習慣を
愛犬を肥満にさせないためには、飼い主さんが、愛犬の体重と体型に関心を払うこと。日頃から、下記のような観点でボディ・チェックする習慣をつけましょう。
また、定期的に体重測定(※)を行い、太りすぎの兆しが見られたら、食生活の見直しをしてください。いったん肥満になると元に戻すのは大変。早めの対策が大切です。
※1歳(大型犬は1歳半)時の体重が適正体重といわれています。適正体重を15%以上オーバーすると危険信号です。適正体重が分からない場合は、獣医師に相談を。
愛犬にぴったりのフード選びは、ココをチェック!
肥満予防のためにはフード選びも大切なポイント。
年齢や活動量、太り気味かどうかなど、愛犬の状態を考慮して、最適なものを選んであげましょう。
※パッケージはイメージです。実際の商品ではありません。
①年齢に最適な栄養バランスのものを
ライフステージ
幼犬は、体重当たり成犬の約2倍の栄養を必要とします。しかし成犬期、高齢期と年をとるにつれ、基礎代謝は低下していき、若いときと同じ食事では太りやすくなったり、内臓に負担がかかったりします。フードは、愛犬の年齢に合ったものを選びましょう。
②愛犬は少食派?大食漢?
保証分析値
食べたときに実際に体内で利用できるエネルギー量。
この数値が高いフードほど、少ない給与量で効率よく栄養が摂取できるため、食の細い愛犬などにはおすすめ。逆にしっかり食べたいタイプの愛犬は、給与量を守らないと、肥満の原因になるので注意しましょう。
③フードの個性を比較しよう
代謝エネルギー
フードに含まれる各栄養素の構成比が示されています。タンパク質や脂質、繊維質の比率は、同じ成犬用でもブランドによって差があります。フードの個性が表れるところなので、ぜひ比較してみましょう。
活動量の多い愛犬には、タンパク質が豊富なフードを。また脂質が多いと、嗜好性は高まりますが、その分太りやすくなるので注意を。
④アレルギーのある犬は要チェック!
原材料
原材料は、多く含まれているものから順に書かれています。食物アレルギーが気になる飼い主さんは、タンパク源のチェックを。
牛・豚・鶏など、過去に犬が口にする機会の多かった動物性タンパク質や、小麦に含まれるグルテンなどがアレルギーの原因になりやすい食材、ラムや魚、グルテンを含まない米や大麦などは、なりにくい食材といわれています。
⑤主食選びの大前提!
総合栄養食/AAFCOまたNRCの栄養基準をクリア
フードには、ドライやセミモイスト、ウェットなど様々なタイプがありますが、主食には「総合栄養食」と表示されたものや、AAFCO(米国飼料検査官協会)やNRC(米国科学アカデミー)の栄養基準を満たしているものを選んでください。これらは、新鮮な水とフードだけで健康を維持するのに必要な栄養素をすべて摂取できます。