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犬の歯は人と違う!
虫歯ではなく歯周病が多い理由と歯の仕組み

犬の歯は人と違う!虫歯ではなく歯周病が多い理由と歯の仕組み

犬の口の中は、人とは違い虫歯ができにくい環境になっています。大きな要因としては、「歯の形状」と「唾液の中身」の2つが考えられます。
まず歯の形状ですが、人の歯の多くが臼の形をしているのに対し、犬の歯の多くは薄く尖っており、虫歯菌がたまりにくい形になっています。

次に唾液ですが、人の唾液にはでんぷんを糖に分解する酵素・アミラーゼが含まれているが、犬の唾液にはほとんど含まれていません。そのため、虫歯のエサとなる糖が口の中にたまりにくくなっています。
逆に、「口腔内の環境」が異なっているため、歯周病にはなりやすくなっています。
人の口腔内が弱酸性なのに対し、犬はアルカリ性になってるため、歯垢が石灰化して歯石になりやすくなっています。
その結果、歯周病になりやすい環境になってしまっています。

1.犬の歯の仕組みと歯の種類

犬の歯の仕組みと歯の種類

犬の虫歯や歯周病についてお話しする前に、まずは犬の歯がどうなっていて、私たちとどう違うのかをご紹介していきます。

  • 歯の仕組み
  • 歯の種類

歯の仕組み

子犬の口の中をじっくりのぞいたことがありますか?犬にも、人と同様、乳歯と永久歯があります。乳歯は、生後3週間前後から生え始め、約2ヵ月で生え揃います。永久歯は生後4ヶ月過ぎから生え始め、通常、6~7ヵ月頃には生え変わりが完了します。抜けた乳歯のほとんどは飲み込まれてしまうため、飼い主さんは気づかないこともあるかもしれません。

ちなみに犬は、乳歯28本、永久歯42本。人は乳歯20本、永久歯28本(親知らずを含めて32本)ですから、人より多いですね。

歯の種類

犬の歯は、ほとんどが肉を切り裂きやすい先の尖った形をしています。具体的にそれぞれの歯を見ていくと…。

<切歯>

一番正面に上下各6本ある前歯。獲物を捕らえたり、物をかじったり、体がかゆいときに毛づくろいをするのも、この歯です。

<犬歯>

切歯の両側に上下各2本ある、大きく尖った歯。獲物に噛みついたり、肉を引きちぎったりします。犬にとっての大きな武器で、戦うときは、犬歯をむき出して相手を威嚇します。

<臼歯>

犬歯の後ろに続く歯で、前臼歯が上下各8本、後臼歯が上に4本、下に6本あります。人の臼歯は、文字通り臼状で、食べ物をすりつぶす役割をしますが、犬には食べ物を咀嚼する習慣がないため、臼歯も小さく先が尖っており、食べ物を飲み込めるサイズに噛み切る役割をします。

犬の歯の仕組み

2.犬が虫歯になりにくく歯周病になりやすい理由

犬と人では、口内環境にいくつかの違いが、大きく分けて3つあります。
まず1つめは、今も述べた通り、歯の形状が違います。人の歯の多くが臼の形をしているのに対し、犬の歯の多くは薄く尖っています。
2つめは、人の唾液にはデンプンを糖に分解する酵素・アミラーゼが含まれていますが、犬の唾液にはほとんど含まれていません。
3つめは、人の口内は弱酸性ですが、犬はアルカリ性です。

こうした違いが、実は虫歯や歯周病の発生率に影響しています。犬の場合、口内がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくいこと。唾液にアミラーゼを含まず、虫歯菌の餌となる糖が口内に溜まりにくいこと。歯が尖っていて、人の臼歯のようにくぼみに虫歯菌がたまりにくいことなどから、人と比べて虫歯になりにくいのです。逆に口内がアルカリ性のため、歯垢が石灰化して歯石になりやすく、人より歯周病になりやすいといえます。

また、子犬の飼い主さんに注意してもらいたいのが、乳歯遺残です。
乳歯から永久歯への生え変わり時期を過ぎても、乳歯が抜けずに残っている状態を乳歯遺残といいます。乳歯が残ったままだと、永久歯が正常な位置に生えず、不正咬合を引き起こしたり、歯と歯が密着しているため歯垢や歯石がつきやすく、歯周病にもなりやすくなります。
永久歯が生え揃う時期(生後6~7ヶ月)になれば、動物病院で歯並びに異常がないか、一度チェックしてもらうといいでしょう。

3.歯周病の症状

歯周病は、歯垢や歯石が原因で歯の周辺組織に起こる炎症で、口臭、歯肉の腫れや出血などの症状が見られます。成犬の8割がかかっているともいわれるほど、犬に多い病気です。

前臼歯の根に炎症を起こすと、目の下に膿がたまって腫れてきたり、犬歯の根が炎症を起こした結果、周囲の骨が溶けて、口と鼻がつながってしまい、鼻水や鼻血など、歯のトラブルとは思えない症状出てくることも。また歯周病菌が血流で運ばれ、心臓や肝臓、腎臓などの内臓の病気を引き起こす可能性もあります。

4.歯周病を予防する方法

犬の歯周病を予防する方法

歯みがきは、子犬のときから慣れさせて習慣にしましょう。いきなり歯ブラシによるケアは難しいので、下記のように6段階のステップに分けて、少しずつステップアップを目指しましょう。歯みがきに慣れるまでは、愛犬が嫌がったらやめる、終わったらごほうびをあげるなどで、愛犬と飼い主さんとの楽しいコミュニケーションの時間として取り組んでください。

  • ステップ1.触られることに慣れさせる
  • ステップ2.歯をこすってみる
  • ステップ3.ブラシに好物をつけてみる
  • ステップ4.歯みがきペーストをつけてみる
  • ステップ5.軽くブラッシングしてみる
  • ステップ6.ブラッシングの時間を延ばす

ステップ1.触られることに慣れさせる

口の周りを触ることから始めて、時々歯を触るなどして徐々に口の中を触られることに慣れさせる。

ステップ2.歯をこすってみる

指に巻いて使う歯みがきシート(ガーゼでもよい)で歯をこすってみる。

ステップ3.ブラシに好物をつけてみる

歯ブラシに犬の好物の肉汁などをつけて、匂いをかがせたり、なめさせてみる。嫌がらなければ口の中へ。

ステップ4.歯みがきペーストをつけてみる

慣れてきたら歯みがきペーストをつけて磨いてみる。

ステップ5.軽くブラッシングしてみる

45度の角度で歯の付け根に歯ブラシを当て、左右に細かく動かしてブラッシングする(1本から始めて徐々に増やしていく)。

ステップ6.ブラッシングの時間を延ばす

ブラッシングの時間を少しずつ延ばして、奥歯や歯の裏側もみがいてみる。

5.犬が歯周病になった時の対策法

犬が歯周病になった時の対策法

歯周病の治療は、動物病院での歯石除去(スケーリング)が基本になります。

対策としては、何よりも日頃からのデンタルケアでの予防が大切です。犬の場合、歯垢は3~5日で歯石化するといわれ、できれば毎日、少なくとも2日に1度の歯みがきが望まれます。

ただ、歯石除去には全身麻酔が必要なため、高齢犬になるとリスクを伴います。すでに歯石が付着し、しかも麻酔のリスクを抱える高齢犬などの場合は、歯石を溶かす薬剤もありますので、動物病院で相談してみてください。

6.虫歯や歯周病だけでない口の中のトラブル

歯が折れたり欠けたりした状態を破折、歯がすり減った状態を咬耗といいます。けんかや事故、硬い骨やひづめなどを噛んで歯が折れたり、ボールやフリスビー遊びを長時間続けていると、歯がすり減るケースもあります。

損傷によって歯髄が露出すると、痛みを感じたり、細菌感染を起こしたりするので、早急な治療が必要です。損傷が軽ければ、歯の欠損部分を樹脂で充填するなどの修復ができますが、損傷がひどければ抜歯が必要になることもあります。

虫歯や歯周病だけでない口の中のトラブル

7.まとめ

犬の歯周病予防のデンタルケア

犬の歯は、私たちが思うほど強くはありません。歯の健康のためだからと、あまり硬いものを噛ませすぎないようにすること、歯周病予防のデンタルケアの習慣づけができることを目指しましょう。

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