1.被災時の状況を整理する
被災した状況では混乱が予想されます。いざその時が来ても慌てないように、以下の事を事前に考えて整理しておくと安心です。
自分と家族と愛猫の状況を整理
・家族の年齢や状況(乳幼児がいる、高齢者がいる、など)
・家が一戸建てかマンションか
・生活スタイル、行動パターン(昼間の居場所:勤務先、学校、自宅など)
・飼っているペットの種類、数
・飼っているペットの健康状態(持病がある、高齢で歩行が困難、など)
問題点を考える
上で整理をした自分たちの状況を踏まえて、できる限り具体的にシュミレーションすることが重要です。
● 例えば…
問題点)昼間は愛猫だけが留守番をしている。
↓
シュミレーション)家族とはどうやって連絡を取り合うのか。愛猫はどうするのか。
問題点)多頭飼育をしている。
↓
シュミレーション)家族が1人だけで家にいる時は、どうやって連れ出そう?
問題点)病気で介護中の愛猫がいる。
↓
シュミレーション)災害が起こったら、避難場所で介護できる?薬はもらえる?
このように問題点が浮かんできたら、家族間の会議で「こんな時はどうする?」と家族みんなで一緒にとことん考えましょう。
2.やっておくべき愛猫の防災準備
大規模災害発生時は、避難所で生活を送ることになります。避難所でも愛猫が安心して生活ができるよう、愛猫と一緒に、安全にマナーを守って過ごせるよう、以下のような3つの準備をしておきましょう。
- 待ち合わせ場所や連絡方法を具体的に決めておく
- キャリーバッグに慣れておく
- 室内飼育をしておく
- 健康管理・ワクチンを接種しておく
待ち合わせ場所や連絡方法を具体的に決めておく
大規模災害発生時の避難所は、大勢の人でごった返していて、家族と会えないことも あります。東日本大震災では同じ学校に避難していた親子が出会えたのが、避難して 1日以上経ってからだったというケースもあったそうです。「○○小学校の体育館の入口」など具体的な場所を決めて、事前に家族で下見しておきましょう。
キャリーバッグに慣れておく
避難の際にも必要ですが、避難所での生活でもハウスとして役立ちます。キャリーは安心できる場所、とふだんから慣れておくと、猫のストレスを軽減することができます。
室内飼育をしておく
避難しようという時に、猫が外にいるといっしょに逃げることができません。また屋外での生活は感染症に羅るリスクが高くなります。
健康管理・ワクチンを接種しておく
避難所のような多くの犬や猫が生活する場所では、感染症が広がることが 心配されます。愛猫を守る、感染を拡げないために、ワクチン接種は必要です。
3.愛猫のための防災グッズ
一度、愛猫に必要な物を揃えてみましょう。「量が多すぎて運び切れない!」とならないように、優先順位をつけるのがオススメです。 薬や療法食など、災害時にすぐに入手するのが難しくなるもの、命や健康に関わるものは優先順位が高くなります。
避難先で助かる便利アイテム
- ビニール袋(密封袋もフードやおやつを入れるのに便利)
- ガムテープ(避難所でのダンボールハウス作りに)
- 油性ペン(ペットの名前や飼い主の情報を明示するのに油性ペンがあると便利)
- タオル・ふろしき
- 使い捨てカイロ
4.愛猫の防災は地域ぐるみで協力する
「公助」が動き始めるまでには時間がかかります。日頃から助け合えるコミュニティを作っておくことは、ものの備えをしておくことと同様に大切なことなのです。 たとえば、こんな「共助チーム」ができると、不在時にペットの様子を見に行ってもらえたり、避難生活でフードを分け合ったり、ペットを預かり合ったり、助け合いの輪が広がります。
・マンションや集合住宅の飼い主同士
・SNSのコミュニティ
【自助】…公的機関の支援が届くまでの間、自分たちの力で現状を乗り切るために助け合うこと。
【共助】…飼い主同士や近隣住民と協力し合う。ご近所との助け合いや地域のコミュニティなどで、助け合いながら問題を解決すること。
【公助】…行政や獣医師会などの支援
5.万が一被災した時に覚えておきたいこと
愛猫は家族であり大切な存在ですが、避難所のような共同生活や、密接した仮設住宅では動物が苦手な人も。人と動物が一緒に暮らすには、苦手な人への「配慮」や「思いやり」も必要です。
- 愛猫との棲み分け
- 具合が悪くならないように必要なこと
愛猫との棲み分け
多くの人と共同生活を送らなければならない動物が苦手な人、アレルギーのある人には配慮が必要です。
● 「飼い主と動物」のエリアと、「動物と一緒にいられない人」とのエリアを分ける。
● 人と動物との居場所を分ける。
※「棲み分け」…アナイスでは避難所で生活する上で、人や動物とが居場所を分けることを「棲み分け」(アナイス環境部会・金巻とも子 発表論文より)と表します。
具合が悪くならないように必要なこと
避難所のような共同生活の場では、普段一緒に暮らしていない動物と、いかにうまく暮らしていくかも大きな課題です。まず、できることとしては、動物と人の暮らしの動線をわけること。
例えば、避難所への入口で動物と人の出入り口を分け、避難所内の動線が交差しない等の工夫が必要です。
上の写真は福島県三春町の仮設住宅の犬舎です。犬の鳴き声が問題になったことから、ボランティアと飼い主が協力し、住居から少し離れた場所に犬舎を作り棲み分けを行いました。壁面には地元高校の美術部の生徒たちが応援メッセージをペイントしました。
6.まとめ
災害時の備えといえば避難グッズの準備ばかりに捉われがちですが、共助の仕組みを作ることのほうは物の備えよりも大切になります。周りと助け合える関係を作っておくことは、避難グッズを完璧にしておくことよりも心強いことでしょう。私たちが愛する動物たちと人とが「共助」が実現できる関係を目指して取り組んでいくことが、私たち飼い主の防災時の心がまえの重要な指針となります。