祖先が暑い砂漠で生活していた猫は、寒さが苦手。
冬は空気の乾燥により、鼻やのどの粘膜のバリア機能が低下して、細菌やウイルスにかかりやすくなったり、 寒さで体温が下がることで免疫力が低下してしまうことも。
また、寒くなるとじっとしていることが多くなるので運動量が減り、さらに飲水量も減ってしまい、 そのため排尿の間隔が長くなり「膀胱炎」や「尿石症」が起こりやすくなります。
愛猫を寒さから守って、冬を快適に乗り切る工夫をしてあげましょう。
\気をつけたい病気/
猫下部尿路疾患
膀胱から尿道、尿路の下部(出口に近い方)で起こる病気を総称して「下部尿路疾患(FLUTD)」と呼びます。 頻繁にトイレに行くのにおしっこが出にくい、血尿が出るなどの症状が現れます。 膀胱や尿道などに石ができ、おしっこに血尿が混じったり、おしっこが出にくくなったりします。
そして、膀胱内壁が尿石で傷つくと、膀胱炎にもなります。尿道閉塞はオス猫に、膀胱炎はメス猫に多い病気です。
予防のためには、良質なフードを選び、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくこと。 太ると運動不足からますます飲水量が減るので、肥満にさせないことも大切です。 また、トイレは猫の好みの砂で清潔に保ち、我慢させないようにしましょう。
\気をつけたい病気/
猫風邪
猫には人のような風邪や季節性インフルエンザはありませんが、 「猫風邪」と呼ばれる感染症、猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)があります。 猫ヘルペスウイルスによって起こる病気で、ワクチンで予防できます。
症状は、急な元気消失や食欲消失、発熱、鼻水、くしゃみ、目やになど。 下痢から脱水症状を起こして衰弱が進み、死亡することも。 このウイルスは一度感染するとずっと潜伏し続け、体力が低下した時などに再発します。 寒くなると猫風邪が増えるのは、新たな感染よりも、寒さで免疫力が低下したことにより再発が増えるからです。
体が弱らないよう健康管理をすることが、発症予防につながります。
寒さ対策の基本は、ぬくぬくの寝床を準備することから。
あたたか、もこもこの素材のものを
保温性の高い暖かい素材のベッドに変えるとすぐ冬仕様に。
毛布やブランケットをプラス
さらに寒い時や、お気に入りのベッドがあって変えられない時などは、 毛布やフリース、ブランケットなどを入れてあげて。
オープン型よりドーム型に
特に寒がりの子には中にこもれるドーム型がおすすめです。熱を逃しにくいのでより暖かく過ごせます。
同居猫と一緒に暖まれるもの
仲の良い猫同士がいっしょに使えるなら、いっしょに入れるものでも。お互いがくっつき合うことでぬくぬくの寝床に。
暖かな場所で日向ぼっこするのが大好きな猫も多いもの。 窓からの日光で暖まれる場所に居場所を作ってあげましょう。 窓に近いと天候の変化で気温が下がりやすいので窓に近づけすぎず、少し離して置いて。
また、日が落ちると一気に温度が下がるので、猫が暖かい場所に移動できるよう、別の場所もつくっておいてください。
極端な温度差は体に負担になります。暖房を切った後の急激な冷え込みなどには、十分気を付けてください。
エアコンや床暖房などで部屋中が一定の温度になるような場合は、猫が「暑い」と感じた時に移動できるような場所を作ってあげて。 乾燥は最近やウイルスを活性化することにもつながるので、加湿器の使用や濡れたタオルを室内干しするなどで、湿度にも注意を。
暖房器具によるヤケドや事故も心配です。
ストーブに近づきすぎて、被毛が焦げてしまったり、ホットカーペットや使い捨てカイロを長時間、直接体に密着させて低温ヤケドをすることもあります。 毛布を敷いたり、カイロは布で包むなどの配慮を。
また、猫だけでコタツに入る時は、スイッチを切って、出入り口を少し開けておくようにしましょう。
我慢しなくていい、いつでも気持ちよく使えるトイレに。
寒さが原因で排泄を我慢してしまい、泌尿器系の病気にかかりやすくなることがります。 トイレに行くのが億劫にならないように、猫がトイレに行きやすい環境を整えてあげましょう。
例えばこんな工夫
◎トイレのまわりを暖かくする
トイレ周りにカーペットを敷いたり、冷気が流れ込むような場所にトイレを設置しているなら、 トイレの周りを段ボールで囲って冷気避けに。
◎トイレまでの通り道を暖かくする
洗面所や廊下にトイレを置いていたりすると、通り道が冷たいフローリングなどで猫が寒がってしまうことも。 トイレに行くのがイヤにならないよう、通り道にもカーペットやタイルマットなどを敷いてあげて。
暖かい場所にトイレを置いてあげようと場所を移動してしまうと、環境が変わったために使ってくれなくなってしまうことがあります。
そんな場合はトイレを移動するのではなく、もう一つ追加して、猫の好みで使えるようにしてあげる方が良いようです。
トイレはできれば猫の頭数+1個を用意したいところです。
きれい好きの猫は、トイレが汚れていると使わずに排泄を我慢してしまうことも。 猫の頭数+1個あると、一つが汚れても他のトイレを使うことができます。
尿の量をチェックするには、トイレの回数と砂の塊の大きさをチェック!排尿後の固まった砂と定規をいっしょに撮影してサイズを比較。 記録を残しておきましょう。
お水を飲んでもらう工夫は?
寒い冬は運動量が減るため、自然と飲水量も減ってしまいがち。 猫は飲水量が減ることが病気の原因になることも。水を飲んでいるかどうか気を付けてあげてください。
冬でもお水を飲んでもらうには、飲みたい時にすぐに飲めることも重要です。 いつでも飲水できるように、猫がいつも歩く通り道や寝床のそばに置いてみて。
◎ごはんとお水とトイレは離して
野生のネコ科動物は「捕まえた獲物を食べる場所」「水を飲む場所」「排泄場所」を混同することはありません。 おうちで生活する猫も同じで、フードボウルと飲み水とは離して置いてください。
水の好みは猫によって様々です。ボウルに入った水を好む子や、流れる水しか飲まない子もいます。
また、器にひげが触れるのを嫌がる子には平たい大きめの器に替えてあげるなどの工夫をしましょう。
◎ウェットフードをプラスする
ドライフードだけを与えているなら、ウェットフードをいっしょに与えることで摂取する水分がアップ。
スープタイプやゼリータイプもあります。
◎ドライフードにぬるま湯を加えてみる
ふやかすためではなく、水分摂取のためにドライフードにぬるま湯をかける方法もあります。 食事が変わると食べなくなる子もいるので、最初は少量のお湯からはじめてみて。
寒い時期はじっとしていることが多くなって運動量が減り、水を飲む量が減ってしまいます。 ねこじゃらしなどでいっしょに遊んだり、運動をさせる機会を増やしましょう。
本能をくすぐるじゃらしテク
◎音を立てて興味を引く
「カシャカシャ」「パタパタ」といった音が猫の気を引くポイント。
◎生き物のように止めたり、動かしたり
本物の虫や鳥になりきって「すばやく動かす」「ゆっくり動かす」「急に止める」などの変化を。
◎チラッと見せたり隠したり
座布団やブランケットの下でもぞもぞさせたり、じゃらしの先をチラッとのぞかせてみて。
ふだんの飲水量が分からないと、減っているのか増えているのか確認することができません。 飲水量をチェックすることは、体調管理をするうえでとっても大切です。 異変に気付くために、日頃からチェックしておきましょう。
◎飲水量のチェック方法
計量カップで水の量を測ってチェックします。最初に入れた水の量から、残った水の量を引いて飲んだ量を確認。
メモリの付いた食器を使うのもオススメです。