もっと快適にもっと楽しく猫と暮らしてほしいから。うちの子の好みを探したり、工夫を始めたりしてみませんか。特に秋冬は泌尿器系の病気に注意が必要な時期。今回は飲み水とトイレのコツをご紹介します。
「飲み水の好み」は
猫によって違います。
うちの子の好みを観察しながら、
猫が喜ぶ水飲みスポットを手軽に増やしてみましょう。
猫の水分補給とその大切さ
猫は泌尿器系の病気が多いため、適度な水分補給はとても大切です。猫にとって1日の水分摂取量は、体重1㎏あたり30~50mlが目安。たとえば「4kgの猫は120ml~200mlが適量」という計算です。感覚で計るのは難しいので、目盛付きのうつわや計量カップを活用すると良いでしょう。意識するだけで1日の水分摂取量が見えてくるはずです。
健康な猫であればたとえ飲水量が少なめでも脱水症状を起こしたり、それだけが原因で生命の危険にさらされたりすることはありません。
もし飲水量が少ないと感じた時は、歯ぐきの乾燥をチェック。そして、猫の皮膚をつまんでみましょう。なかなか元の形に戻らない場合は、脱水症状を起こしている可能性があります。まずはかかりつけの動物病院に相談しましょう。また、お家でも水が飲みやすい環境を整えてあげてください。うつわや水の置き場所を変えることで、飲水量が増える子もいます。うちの子の好みを知って、健康を維持していきましょう。
猫に水道水を飲ませても大丈夫?
日本の水道水は「人が長期的に飲んでも問題ない」という厚生労働省の厳しい基準をクリアしている安全性の高い水ですから、そのまま猫に飲ませても問題ありません。浄水器を通した水を飲ませるのも良いでしょう。一方、井戸水は品質が不明なため、ひとくくりに良い、悪いと判断できません。
水温については人と同じで、暑い時は常温よりやや低め、寒い時には暖かめを好む子が多いです。基本的には常温で大丈夫ですが、温度の違う水を並べて置いてどちらを好むか観察してみるのも良いでしょう。
温度よりも大切なのは新鮮な水を与えること。猫に与える水は置きっ放しになりますが、置きっ放しの水は細菌が繁殖します。何度も飲むうちに食べかすやゴミが入って汚れてしまうので、こまめに入れ替えてあげましょう。水替えの際は、容器もきれいに洗ってあげるのがおすすめです。
猫にミネラルウォーターを飲ませても大丈夫?
硬水のミネラルウォーターは尿路結石を起こす可能性があるといわれています。もちろん可能性があるというだけで問題がない場合もあるでしょう。しかし、<マグネシウムの含有量>をはじめ、ミネラルウォーターの成分や成分量が猫にとって安全かどうかを判断するのは難しいので避けた方が無難でしょう。ウォーターサーバーも同様です。水の種類を確認するとともに、ウォーターサーバー内で細菌が繁殖しないよう適切に管理してください。循環型の猫用自動給水器については、猫が口にした水が循環するため、細菌が繁殖しやすいので清潔に保つ必要があります。
人にとって良いものが、猫にとって良いかどうかは別問題。成分に注意するのはもちろん、新鮮な水を与えてあげることが猫の健康にとって何よりも大切です。
猫が好む飲み水とは?
水道水でOK。
新鮮だともっと嬉しい♪
お水はこまめに交換を。
マグネシウムやカルシウムが多い硬水のミネラルウォーターは尿路結石になる可能性が。
うつわに柑橘系の洗剤の香りがうつると、猫が嫌がることも。十分すすいであげましょう。
寒い日は人肌程度に
温めてあげても。
極端に熱すぎず、冷たすぎない常温で大丈夫。
温度次第で好みが変わる子もいます。
◎こんな工夫も!
ウェットフードやドライチキンにお湯やチキンなどの煮汁をくわえても、水分摂取量を増やせます。
流水が好きな猫も多いです。
流水を新鮮に感じているのかも。
水道から直接飲むのが好きな子もいます。
電動で湧き出す水飲み器もおすすめです。
猫が飲みやすいうつわの種類、形は?
● 陶器やガラスなど、素材にも好みがあります。
● 台に置いたり、背の高い食器を使ったりすると飲み始めることも。
● 多頭飼いの場合は、複数のうつわを置いておきましょう。
● ヒゲが飲み口に当たると飲まないデリケートな子もいます。
● 目盛付きのうつわなら飲水量がわかりやすいです!
さまざまなうつわを置いて、
人気投票しても楽しいです♪
水を飲むのが得意な子もいれば苦手な子もいるため、飲みやすいうつわの形も千差万別。さまざまな場所にいろいろな食器を置いて、どれが好きか愛猫に選んでもらいましょう。 普通のマグカップが好きな子も!
置き場所は、普段から立ち寄る場所がおすすめ。
数カ所に置く方が飲んでくれます。
いつも景色を見に行く
窓辺や高い場所にも。
猫は高い場所に安心する習性があります。よく通る廊下の端もついでに飲めて良いですね。
静かな部屋なら低い位置でもOK。いろいろな場所に置いて、どこを好むか観察するのがベスト!
シニア猫なら低い場所に!
運動能力に合わせて高さを調整しましょう。
洗面台の上なら交換が頻繁にできる。
食事場所や寝床の隣にも。
安心できない場所は避けてあげましょう。
◎トイレやゴミ箱の近く
においが気になる場所は避けてあげましょう。
◎騒がしい場所
人通りが多い場所や洗濯機の近くでは落ち着いて飲めません。
◎一度イヤなことがあった場所
猫はイヤなできごとを場所に関連付けて覚えることが多いです。
猫下部尿路疾患チェックリスト
明らかな変化が起こる前に定期診断を受けておくと安心ですが、水分摂取量の変化やいつもと違う行動がないかも日常的に気を付けてあげましょう。
□ 頻繁にトイレに行く
□ 何度も排尿の姿勢をとるが、
尿が出にくい(あるいは出ない)
□ トイレ以外で粗相をする
□ トイレにキラキラ光るもの(結晶)が残っている
□ 尿がピンクや赤色(血尿)
□ 排尿時の痛み
(大きな声で鳴いたりする)
多飲多尿の場合は腎臓病の疑いも!!
健康マメ知識
排尿量の変化は、トイレシーツの写真を保存しておくとわかりやすい。
シーツの輪染みの大きさや色の濃さも、携帯電話に画像を残しておけば変化に気付きやすくて安心。
水分摂取量が増加した時は、1回の飲む時間が長くなることが多い。
採尿は、システムトイレならシーツを裏返して敷いてみましょう。
普通のトイレなら、裏返したシーツや食品包装フィルムをトイレ砂の上に敷いてみて。
採尿後はすぐに動物病院へ。
朝の起床後に排尿する猫が多いので、そのタイミングが狙い目!
動物病院では、注射器で採尿することも。
猫が受け入れてくれるのであれば負担は少ないです。
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監修いただいた先生は…
もみの木動物病院
獣医師 村田 香織 先生
それぞれの動物たちが家族にとって世界一の存在であるように、もみの木動物病院もその子と家族にとって世界一になることを目指す。パピークラスの監修、問題行動を持つ犬猫のカウンセリングを担当。
おうちでは犬2頭、猫4頭に愛される素敵な飼い主さん。