獣医師が主張する動物愛護の普及啓発活動リポート
人と動物の幸せな
出会いと暮らしのために
人と動物の未来センター
アミティエを取材しました。
質の高い動物保護&譲渡活動とは?
それを実践する動物愛護施設アミティエの想いや取り組みに迫ってきました。
獣医師 山根義久先生
公益財団法人
動物臨床医学研究所理事長
動物愛護活動や動物愛護思想の向上および動物との共生を推進するために「人と動物の会」や「アミティエ」を創立。現在も精力的に活動されています。
喜びや癒しをくれる動物たちにふさわしい
愛護活動が必要だと思ったんです。
日本のモデルとなる
保護施設をカタチに。
『人と動物の未来センター・アミティエ』は、獣医学の発展を目指す(公財)動物臨床医学研究所が動物愛護の仕組みや意識を高めたいと志して設立。保護・譲渡活動をおこなっています。
「ドイツでは国の厳しい条件の下、清潔で暮らしやすい施設でスタッフが誇りをもって譲渡活動をしています。東日本大震災時に日本の動物愛護が欧米に比べて遅れていると痛感し、設立を決めました。」そう語ってくださったのは理事長の山根先生。
「受け入れた犬猫は、まず病気を持っている犬猫が多いので、その場合は治療をし、次いでワクチン接種や不妊去勢などを受けます。怖がりな子が多いので、その後、愛情と時間をかけて社会化します。」
環境が良い方が犬猫たちも
安心して心を開けます。
犬猫が生き生きと過ごせて清潔なアミティエの環境に驚く見学者は多く、猫ちゃん室にはキャットタワーもありました。
「東日本大震災後に福島県から来た猫は、しばらくは夜以外、タワーから降りませんでした。愛情を持って接するうちに心が近づき、昨年、3年目にしてようやく譲渡できました。」
里親になる条件は厳しく、最初の半年は誰もなりませんでした。「きちんと飼い続ける能力があるか、しっかりと審査しないと不幸な犬猫を作ってしまいます。今ではクリアできる人が増えて、200頭もの命を救うことができました。本当に有難いです。」
たくさんの幸せをくれた動物たちにお礼がしたくて。
犬猫とふれあった子供は思いやりが育つと言います。実は、大人や高齢者、犬猫自身も、ふれあうことで幸せホルモンが増加するという研究報告が増えているそうです。
「獣医師として多くの動物達を助けてきたと自負していましたが、退職後、私自身が動物達に助けられていたと気付きました。現在はサポーターも増え、アミティエの方法を広めたいという人も現れました。今後は講義棟を作り、より多くの方々に犬猫と過ごすことの素晴らしさを広め続け、動物愛護を啓発していきたいです。」
定期的にイベントも開催。
名前や性格まで写真付きでご紹介。
お部屋は快適な広さにこだわり、
社会化のためにも多頭で暮らすことも。
卒業した子の思い出も大切に。
保護猫たちが里親さんと出会うまで
動物病院にて
必要な医療をうけます。
ワクチン接種、病気の診断治療、去勢・不妊手術、マイクロチップ挿入(迷子対策)を受けます。
病気を持つ保護猫が多く、高度なケアが必要とされます。
アミティエにて人間や猫同士で
仲良く暮らせるように社会化。
怖がりな子が多く、動物への理解が深いスタッフやボランティアがゆっくりと愛情をもって社会化をします。
里親講習会
里親希望者は申請書を提出。
予備審査後、「犬猫を飼うには」「飼い方」「病気」「しつけ」「法律的なこと」を学びます。
一時預かり(トライアル)
2週間(長くても1ヶ月)を目途に猫との相性などをご家庭でご確認いただきます。
誓約書をご記入後、正式に譲渡。
譲渡後も、家族写真を添えて近況をご報告いただきます。
きっかけは「里親募集の写真」。ひとめぼれでした。
ニャーと大きな口を開けて鳴く黒い子猫の写真。
たまたま動物病院で見つけた里親募集の写真がひじきとの最初の出会いでした。
アミティエで実際に会って「この子がほしい!」という想いがさらに強まり、里親になることを決意。
家に迎えた日は家族全員テンションが高かったです。
ひじき&おにぎり
飼い主:まりあんさん
ひじきの遊び相手として、アミティエからおにぎりを迎えました。
ひじきから2年後におにぎりを迎えました。トライアル当初は怒っていたひじきも次第に仲良しに。アミティエ時代から人懐っこいおにぎりでしたが、我が家に来てさらにゴロゴロ言う子になりました。大らかな性格で、玩具のブロックと一緒に箱の中で寝ていた時には笑いました。
2頭の愉快なやりとりは私たちの癒しです♪
寝ている人の上を通る時、ひじきは飛び越えるのに、おにぎりは容赦なく踏みつけます。正反対の性格ですが、床でウネウネと転がるおにぎりをひじきが真面目に観察するなど、コンビで意味不明な行動をとることも。そんな姿に家族の笑顔も増えました。2頭を迎えて本当に良かったと思います。
(ペピイカタログ2017年秋冬号掲載)