1.犬アレルギーとは
犬アレルギーとは、犬のフケや唾液、抜け毛などをアレルゲンとしたアレルギー症状のことで、犬との接触や、同じ室内で犬と遊んだり一緒に過ごしたりすることで現れます。突然に、犬アレルギーの症状がでることもあり、人によってその症状や度合いは異なります。
犬がいる部屋に入ったり、触ったりすると、咳やくしゃみが止まらなくなる、目がムズムズしてかゆくなる、充血してしまう、そんな経験はありませんか?
もしそのよう症状が現れるのであれば「犬アレルギー」を疑う必要があります。犬アレルギーは、犬と接触することによってアレルギーが引き起こされ、くしゃみ、鼻水、咳など、風邪とよく似た症状が発症します。犬が好きな方、すでに犬と暮らしている方にも犬アレルギーは発症する可能性があります。
今回は、犬アレルギーの症状やその対処方法、家庭でできる工夫についてご紹介します。
目次
方法1.しつけ教室やパピークラスを見学する
方法2.犬を飼育している友人に頼んで、一緒に犬と遊ばせてもらう
方法3.ドッグカフェを利用してみる
方法4.ペットショップやブリーダー、動物愛護センターなど、子犬の入手先には
家族全員で
対処法1.犬の体を清潔に保つ
対処法2.こまめなブラッシング
対処法3.室内の掃除と換気
対処法4.うがいと手洗い
対処法5.犬が入ることのできる部屋、入ることができない場所を決めておく
犬アレルギーとは、犬のフケや唾液、抜け毛などをアレルゲンとしたアレルギー症状のことで、犬との接触や、同じ室内で犬と遊んだり一緒に過ごしたりすることで現れます。突然に、犬アレルギーの症状がでることもあり、人によってその症状や度合いは異なります。
犬アレルギーを発症する主なアレルゲンは皮脂、唾液、フケ(皮屑)などに多く含まれており、主なものにリポカリンとアルブミンという物質があります。リポカリンは犬アレルギーの主な原因となるたんぱく質で、犬の皮脂だけでなく毛や唾液などに存在しており、ホコリなどに付着して空気中を漂います。
アルブミンも犬アレルギーを発症するたんぱく質のひとつです。犬だけでなく人を含めた他の動物の体内にも存在しています。この物質は猫や他の動物でもアレルギーを発症する可能性があります。
これらのアレルゲンを犬と一緒にいる時や触れた時などに、吸い込んだり触れたりすることでアレルギー症状を発症します。
軽度の場合、咳や鼻水、くしゃみなど、かぜや花粉症などに似た症状を発症します。症状が進行すると、皮膚の湿疹やじんましんなどを発症し、目がかゆくなる、目が腫れる、充血などもみられます。重篤になると、下痢や呼吸困難、めまい、嘔吐などの症状を発症し、日常生活に困難が生じます。
犬を家族として迎えることは、この先10年から15年、またそれ以上の間、暮らしを共にすることです。しかし、犬を迎えた後に、あなた自身やご家族に犬アレルギーがあることがわかると、愛犬と一緒に暮らすことが難しくなります。そうならないために、実際に犬を迎える前にあなたやご家族全員のアレルギーの有無を調べておくことが大切です。
家族全員で犬と接する機会を作り、実際に犬に触れてみる、撫でてみる、犬と同じ部屋にいる時間を持つなどして、犬アレルギーの有無を確認しておきましょう。
犬のしつけ教室やパピークラス(子犬の社会化を目的に複数の子犬や飼い主さんが参加する教室)を開いている動物病院や施設があれば、見学が可能か問い合わせてみましょう。見学が可能なら、家族全員でしつけ教室ではどんなことをしているのか、その内容や犬の様子を見学させてもらいます。そこの責任者に方に相談して、触らせてもらえるようなら実際にさわってみましょう。
犬を家庭に迎えた時、飼育の方法や健康管理の面でもとても選考になりますので、見学が可能な動物病院や施設を探しておくと良いでしょう。
親しい友人に犬を飼育している方がおられるなら、自宅を訪問させてもらい、犬と遊ばせてもらいましょう。人と犬が暮らしている生活空間、飼育環境を知ることは犬アレルギーの有無を確認するだけでなく、犬との暮らしがどのようなものなのかを知る良い経験になります。
複数の犬連れの飼い主さんが利用するドッグカフェに行ってみましょう。飼い主さんが連れてきている犬に直接触ることはできませんが、犬がいる空間を体験することができます。
子犬の入手を検討しているペットショップや動物愛護センターには、家族全員で行くようにしましょう。子犬が遊ぶ様子や食事、トイレをしているところもよく見ておきます。
飼育方法の注意点、揃えておく用品類、メディカルケアなど費用がどれくらいかかるのかも聞いておくと安心です。
犬アレルギーが疑われる症状がある場合や気になることがある時は、速やかに医療機関でアレルギーの検査や治療方法を相談してください。血液検査をはじめ、いろいろなアレルギー検査が医療機関では用意されています。
もし犬アレルギーと診断された場合は、症状に合わせた治療を継続して受けるようにしてください。アレルギーは、なかなか完治が難しく、症状を緩和させるための対症療法が中心になります。
犬を迎える前にあなたやご家族の中に犬アレルギーを持つ人がいることが判明した場合は、一旦犬を迎える予定であっても、見送ることを考えてください。本来楽しいはずの犬との暮らしが、お互いに残念な結果になってしまいます。
犬を迎えた後にアレルギーがわかったとき、発症してしまった時は、人の医療機関での治療と並行して、家庭内でもできることがあります。犬アレルギーの症状を少しでも軽くするため生活環境の工夫を紹介します。
アレルゲン物質を減らすために、定期的なシャンプーで犬の体、被毛を清潔に保ってください。過度なシャンプーは犬の皮膚、被毛にもよくありませんので、月1回程度にしておきます。また、散歩から戻ったら、体や足の裏も拭いてきれいにしてあげましょう。
犬の毛にあったブラシを選び毎日ブラッシングで抜け毛、ムダ毛を取り除きましょう。ブラッシングの場所を決めておき、他の部屋に飛び散らないような工夫も必要です。
空気中に飛び散った犬の被毛についたフケやほこりなどのアレルゲンを吸い込むことの無いように、換気と掃除を徹底しましょう。アレルゲンが室内に留まらないようこまめに掃除することが大切です。犬用のベッド、敷物などもこまめに洗濯して清潔に保つようにします。また、早めに新しいベッドや敷物へ取り換えるようにしてください。
うがいは、空気中のアレルゲンを少しでも体の中に入れないように。また、犬を触った後、その手で目や顔、他の部分を触ると、かゆみなどの症状が発症する可能性もありますので、犬と遊んだ後、撫でたり触ったりした後は、必ず手を洗うようにしましょう。
犬と接触する時間が多いと、その分アレルギーの症状が発生する確率も高くなります。犬が入れる部屋と入れない部屋(寝室など)を決めておき、犬の移動できる範囲を制限しておきましょう。
犬アレルギーが“出にくい犬種”は残念ながらありません。上述のように、犬自身の身体を清潔にしておくことや飼育環境を清潔に保つことが大切ですので、長毛の犬種よりも短毛の犬種の方が、シャンプーや掃除はしやすいというメリットはあります。
いずれにしても、犬種で判断するのではなく、飼い主さん自身が事前に犬アレルギーの有無を確認しておくこと、そして犬を迎えたなら、室内の清掃と飼育環境を清潔に保つことが何よりも大切です。
本来、愛犬を迎えて楽しいはずの生活が、あなたご自身やご家族に犬アレルギーが発症してしまうと、飼育の継続が困難な状況になることもあります。必ず犬を迎える前に犬アレルギーについて確認をしておくことが大切です。 万一迎えた後にアレルギー症状が出たときは、速やかに医療機関を受診し、治療を継続することと、家庭内での生活環境の工夫を行うようにしてください。
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監修
医療法人 岩本診療所
院長 岩本 伸一
医療法人 岩本診療所 理事長、医学博士
一般社団法人東成区医師会会長