猫が噛む理由は?噛み癖を直す効果的なしつけ方や噛まれた時の対処法を獣医師が紹介
「愛情を持って接しているのに、なぜうちの猫は噛むのだろう?」と悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
じゃれて遊んでいるのか、怒っているのか、なでられたところが痛いのか、気持ちがわからず悩んでしまいますね。猫が噛む理由やしつけ方法を知って、愛猫との暮らしを楽しみましょう。
「愛情を持って接しているのに、なぜうちの猫は噛むのだろう?」と悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
じゃれて遊んでいるのか、怒っているのか、なでられたところが痛いのか、気持ちがわからず悩んでしまいますね。猫が噛む理由やしつけ方法を知って、愛猫との暮らしを楽しみましょう。
目次
子猫時期の猫の噛み癖の主な原因と対処法
大人(成猫)の噛み癖の主な原因と対処法
理由1.遊んでじゃれている
理由2.八つ当たり
理由3.恐怖心
理由4.なでられるのが嫌になった
理由5.病気・ケガ
やってはいけない、しつけ方法
猫はもともと狩猟動物なので、獲物のような動きや音、ニオイにはとても敏感です。たとえお腹が空いていなくても、噛んだり飛び掛かったり。つまり、猫が噛んでくるのはごく普通の行動なのです。
そして、猫は甘えたい時にも噛むことがあります。噛まれた時は理由を冷静に判断。そのうえで、適切な対応をしてあげましょう。
噛まれてばかりでは愛猫のお世話ができないばかりか、一度噛み癖がつくと直すのは至難の業です。
猫はどんな時に噛むのか、どう対処すれば良いのかを知って、噛まれる前に対処していきましょう。
子猫は同腹の兄弟たちと活発に遊びます。兄弟と離れて人と暮らすようになると、飼い主さんの手を兄弟に見立てて、噛んだり飛びついたりしてくるでしょう。「かわいい」と言って遊んでしまうと、成長とともに攻撃性が強まり、ケガをする可能性があります。手で遊ぶのは止め、噛んでも良いおもちゃを与えましょう。猫じゃらしやボールなどで、遊びたいエネルギーを発散させることも大切です。
手を噛まれた時は、そっと手を隠してください。怒ったり叩くなどして応戦するとよけいに激しく咬むようになります。
成猫が噛む理由はさまざまです。
子猫期からの遊びの延長で噛む場合もありますが、「八つ当たり」「恐怖心」「なでられるのが嫌になった」「病気・ケガ」といった理由があることもあります。
八つ当たりの場合は、噛まれた時の状況などから原因を突き止めて、避けるようにしましょう。恐怖心の場合は、恐怖対象に近づけない、隠れる場所を与えるなど不安要素をできるだけ取り除いてあげてください。
また撫でていて噛まれた場合は、尻尾をパタパタさせるなど猫のボディランゲージに注意して、噛まれる前になでるのを止めましょう。
特定の部分をさわると怒ったり、急に攻撃性が強くなったりした場合は、病気やケガをしている可能性もあります。獣医師に相談しましょう。
猫が噛む理由はさまざまです。
すべて同じやり方で対処しても効果がないばかりか、愛猫との信頼関係が崩れてしまう可能性が。噛む理由別の方法で適切に対処しましょう。
兄弟と暮らす子猫は追いかけっこや取っ組み合いなど、1日の多くを遊びに費やします。また、屋外に出る機会のある子猫は虫や小鳥を追いかけて過ごします。遊びは縄張り争いや狩りのリハーサルであり、成長に欠かせないものです。
一方、現代の日本では交通事故や伝染病の危険性があり室内飼育が望まれます。単独飼育になれば、遊び相手がなく追いかけて捕まえるものもありません。その結果、飼い主さんを噛むという問題行動につながります。
早期に兄弟と離れた子猫は噛み加減がわからず、強く噛みすぎることもあるでしょう。子猫のうちはじゃれ噛みで済みますが、成長とともに飼い主への攻撃行動が激しくなることがあります。
人間がイライラしてドアを蹴ったり、関係のない人に八つ当たりしたりするのと同様に、猫もイライラしたり驚いたりした時に、その原因とは無関係の相手を攻撃することがあります。これは「転嫁性攻撃行動」と呼ばれ、猫同士で喧嘩した時、動物病院で興奮した時、物音に驚いた時、飼い主が他の猫のニオイをつけて帰って来た時などに見られることがあります。
本気で攻撃してくるので、猫が落ち着くまでは近づかない方が良いでしょう。
恐怖を感じた時に動物がとる<3つのF>といわれる行動があります。それはFreeze(固まる)、Flight(逃げる)、Fight(戦う)です。危険を感じると猫は動きを止めます。
しかし、追い詰められると攻撃に転じることがあります。まさに「窮鼠猫を噛む」です。問題はこれが成功体験として学習されること。次に同じ状況に陥ると、猫は攻撃を選ぶようになります。また、家族以外の人が近づくと攻撃する猫もおり、他人から受けた恐怖体験もこの行動を悪化させます。
多くの猫は、長時間抱かれたりなでられたりすることを好みません。自分から甘えてすり寄って来たにもかかわらず、限界を超えると噛みついたり、猫キックをしかけたり。
なでるタイミングや部位によっても違いがあります。頭部や喉のあたりをさわられるのは好きでも、腹部や足先は短時間でも嫌がる場合が多いでしょう。
個体差が大きく、短時間で嫌がる子もいれば、長時間なでられるのが平気な子もいます。
ケガによる痛みから、さわると怒ったり噛みついたりすることがあります。猫をよく観察して、「右後肢をさわると怒る」など攻撃するタイミングに規則性がないか確認してみましょう。
てんかんや脳腫瘍、甲状腺機能亢進症といった病気でも攻撃するケースがあります。攻撃のパターンをよく観察し、体の異常を調べて、可能な限り原因を突き止めることが大切。「特定の場所をさわると怒る」「急に攻撃性が強くなった」という場合は、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
どんな時も怒ったり、叩いたりしてはいけません。猫は叩かれた理由がわからないので「近づくと痛いことや嫌なことをされる」と判断。信頼関係が崩れてしまうだけでなく、問題行動が悪化する可能性があります。
猫には人の言葉がわかりません。猫が安心して飼い主の傍で過ごせるようにするためにも、噛まれる可能性があることは行わない、噛まれるような状況を作らないように工夫しましょう。
体を噛んだり過剰にグルーミングしたりする場合は、かゆみといった体の不調がきっかけになっている可能性があります。同じ部分を繰り返し噛んだりなめたりしている場合は、状態をチェックしてみましょう。
また、体の不調の治療後も過剰なグルーミングが継続される場合は、問題行動として治療を行うケースもあります。
毛織物を吸う行動はシャム猫などのオリエンタル品種とその雑種に多いとされています。
吸うだけでなく食べてしまう場合は問題です。布製品やビニール袋などを大きなまま食べたり、大量に食べたりしてしまうと、嘔吐や消化管閉塞につながる可能性があります。
早期離乳やストレス、刺激不足なども原因のひとつと考えられており、環境整備に加えて、ストレス解消や環境エンリッチメントが必要です。薬物療法を行うこともあります。
猫に噛まれた時は流水で傷口をしっかりと洗いましょう。どんなに小さな傷口でも、放置すると腫れたり化膿したりすることがあります。傷が深い場合や痛みがひどい場合は、すぐに病院へ。猫に噛まれるとどんな病気になる可能性があるのかくわしく見ていきましょう。
猫に寄生するノミの排泄物に含まれるバルトネラ菌が原因の感染症です。
噛まれると虫刺されのように赤く腫れ、悪化すると化膿したり、潰瘍に発展したりするほか、脳炎に至るケースも。発熱、食欲不振、頭痛などを伴いますが、軽傷の場合は自然に治癒します。
猫の口腔内や爪の中にいるパスツレラ菌が原因の感染症です。噛まれたり、引っ搔かれたりすると、傷口が腫れて化膿します。悪化すると肺炎、気管支炎、副鼻腔炎に発展。免疫力が下がっている場合に発症すると、敗血症や骨髄炎を引き起こす可能性もあります。
猫や犬の体内にいる「コクシエラ菌」が原因の感染症です。発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、下痢、腹痛などインフルエンザに似た症状が見られ、重症化すると心内膜炎、慢性肺炎や骨髄炎に発展するケースもあります。
「カプノサイトファーガ」という細菌を原因とする感染症で、「カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症」とも呼ばれています。発熱、腹痛、吐き気、頭痛があり、重症化すると敗血症や髄膜炎に発展します。
猫は体格の大きい犬のように、噛まれて骨折や大量出血に至るほど、噛む力は強くありません。しかし、噛みつき行動と引っ搔き行動の繰り返しでひどいケガをすることがあります。
猫が興奮状態の時は本気で噛みついてきますので、絶対に手を出さないでください。一般的には、噛む力よりも噛まれることによって起こる感染症の方が問題になるケースがほとんどです。
猫に優しいこだわりが詰まった革細工のじゃらしです。素材には国産の牛革を使用。表面への染料や樹脂等の加工をしていないヌメ革を使用しているので猫じゃらしを舐めたり噛んだりしちゃうねこちゃんでも安心です。
釣りざおタイプで遊ぶのが好きな猫ちゃんには、紐の長さを調整してお好みの長さに。じゃらしタイプが好きなねこちゃんには、棒の先に革おもちゃをとりつけて好きなカタチにして遊べるから楽しい!!
理性のある人でも暴力がエスカレートしてしまうことがあるように、猫の攻撃行動も繰り返すほど悪化します。従って「噛まれてからどうするか」ではなく、「噛まれないためにはどうするか」を考えることが大切です。
まずは噛むきっかけを排除するなど、噛む行動が起こらないように回避する、それが治療のスタートラインになるでしょう。
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監修いただいたのは…
もみの木動物病院
獣医師 村田 香織先生
人と動物が仲良く幸せに暮らせる社会を目指して、こねこ塾、パピークラス、問題行動の治療、動物介在活動などを行う。もみの木動物病院のYouTubeでこねこ塾、インクローバーのYouTubeで犬の幼稚園の様子を、インスタグラムの自身のアカウント(@murata596)で、ペットとの暮らしを配信中。