犬と暮らすために大切なことは?~必要な知識と心構え、そして、生涯にかかる費用は?~
犬と暮らすために大切なことは?~必要な知識と心構え、そして、生涯にかかる費用は?~
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で、人同士の交流が少なくなっている今日。 その寂しさの穴埋めをペットとの暮らしに求める人が急増しています。 特に人の気持ちに寄り添い、喜びや悲しみを共有してくれる犬は、人気の高いペットです。 犬と暮らすということは小さな命を預かること。「寂しさを紛らわしたい」「癒しが欲しい」などの理由で気軽に迎えてしまうと、「思っていたのと違った」「こんなに大変だとは思わなかった」と後悔してしまうことも。 フードやペットシーツなど消耗品代や動物医療費などの経済面での負担もかかります。
そこで今回は、犬を迎える上での経済的な負担と必要な知識と配慮すべき心構えについてご紹介します。
目次
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1.犬と暮らす人に求められる知識と心構えとは
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ライフスタイルに適しているかの検討
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体力も大切
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しつけ(犬の教育)とマナーの大切さ
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2.犬と暮らすためにクリアしなければいけない条件とは?
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犬と暮らすことが可能な住環境か?
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家族や同居人の同意を得ているか?
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経済面は?
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3.まとめ
犬と暮らす人に求められる知識と心構えとは
犬と暮らし始めると、経済的な負担に加え、散歩やトイレなど、さまざまなお世話が必要になります。また、トイレトレーニングなど、思うようにしつけができなくて、犬の問題行動に苦労することもあります。犬との暮らしを楽しいものにするためには、犬の特性や行動を理解するなど、さまざまな知識の習得や心構えが求められます。
ここからは、特に求められる知識と心構えを3つご紹介します。
ライフスタイルに適しているかの検討
犬との暮らしが、自身のライフスタイルに適しているかを検討する必要があります。
犬は人や仲間との協働作業が大好きです。 その特性を満たしてあげるためにも、食事やトイレ掃除といった日常のお世話に加え、散歩や一緒に遊ぶなど、飼い主さんと共有できる時間がとても大切です。 犬種によって体の大きさや必要運動量が異なり、お世話や散歩、遊びの時間も変わります。 また、犬と一緒に宿泊できる施設は少なく、旅行や出張で留守にする際には預け先が必要となり、費用もかかります。
犬を迎えるには、自身のライフスタイルに適した犬種選びと新たに増える犬との時間を楽しみ、共に暮らすことに喜びを感じられるような心の余裕が必要です。
体力も大切
犬は散歩が大好きです。 毎日散歩をし、外の空気やさまざまな環境、犬や人と触れ合うことは、犬の健康維持やストレス発散のためにも欠かせません。 犬種によっては活動性も高く、一緒に遊んだり、散歩したりする人にも相応の体力が求められます。特に大型犬は散歩の距離も時間も長くなるため、その分飼い主さんの負担は大きくなります。犬との暮らしには、自身の健康管理と体力づくりは欠かせません。
また、犬の平均寿命は約14歳で、20歳を超える長寿犬もいます。最後までお世話をしてあげるためにも自身の年齢を考慮しつつ、健康を維持することがとても大切です。
しつけ(犬の教育)とマナーの大切さ
犬との暮らしを楽しむためには、しつけ(以下:教育)と周囲への配慮はとても大切です。 そして、犬を教育するには、犬の特性や正常行動、異常行動を知ることが重要です。
また、子犬期の教育はとても大切です。そのためにもパピークラス(子犬教室)への参加をおすすめします。 犬と暮らし始める前から近くで開催しているパピークラスやドッグトレーナー、行動指導をしている動物病院を探しておきましょう。 昨今は、「褒めて育てる方法」が主流になっていますが、中には犬の嫌がることを無理強いしたり、犬のペースを無視した教育方針の人もいたりします。犬も人と同様、心の健康を大事に育ててあげるとお互いに良い関係が築きやすくなります。 そういったところを見つけるため、直接、担当者とお話をしたり、お試しでの参加、見学に行ったりすることで雰囲気を掴むとよいでしょう。
マナーについては、環境省が「守ってほしい5か条」を提示しています。
1.動物の習性等を正しく理解し、最後まで責任をもって飼いましょう
2.人に危害を加えたり、近隣に迷惑をかけたりすることのないようにしましょう
3.むやみに繁殖させないようにしましょう
4.動物による感染症の知識を持ちましょう
5.盗難や迷子を防ぐため、所有者を明らかにしましょう
犬と暮らすためにクリアしなければいけない条件とは?
犬と暮らすことが可能な住環境か?
犬との暮らしには、住環境はとても重要です。
集合住宅であれば、ペットとの共生が可能な部屋であることが必須です。 ペット禁止マンションなどで、違反して暮らし始めるとさまざまなトラブルが予測され、最悪の場合には、転居や飼育放棄を強いられます。 基本的には屋内飼育が好ましく、犬が安心できる場所(寝床など)とトイレの確保、それ以外の犬との共有スペースは整理整頓もとても大切です。 どうしても屋外飼育を選択する場合には、季節の変化に応じた暑さ対策、寒さ対策などが必要となります。また、近隣や通行人とのトラブルへの配慮も重要です。
家族や同居人の同意を得ているか?
犬を迎える上で、独居家庭では必要ありませんが、家族や同居人全員の同意はとても大切です。
元来、犬は人との共同生活を好み、家族との交流をとても喜びます。 また、主にお世話をしている人に何かあった時には、同居人の協力はとても心強いものです。 家族や同居人に一人でも犬嫌いの人がいる時には、犬との暮らしはとても難しいものとなります。自身の価値観を押し付けたり、同意なく犬との暮らしを始めたりすることは、犬にとっても好ましくありません。
経済面は?
犬との暮らしには相応の費用が発生します。
例えば、最初に迎える際にかかる費用としては、飼い犬の登録手数料が約3,000円、狂犬病予防注射接種代約3,500円、混合ワクチン代約8,000円、ノミやダニ、フィラリアなど寄生虫予防代を含め、5~6万円ぐらい必要です。 主食用のドッグフード代も月々2,000円~3,000円が必要となり、その他用品代や動物医療費などを含めると平均で1カ月に1万1480円の費用がかかるという報告があります。 犬の平均寿命は13~15年と推定され、生涯にかかる費用を計算すると平均で179万3005円になります。こうした費用は犬と暮らす上で、一つの目安となります。ペット保険への加入など経済面での工夫も必要となります。
・生涯に必要な経費
犬全体 179万3005円
超小型 200万4449円
小型 174万5551円
中型・大型 148万3482円
まとめ
コロナ禍社会の中で、犬との暮らしを始めようとする人もたくさんいると思います。
犬との暮らしを実現するためには、クリアしなければいけない条件、それなりの知識や心構えが必要です。 それを『苦』と思うか? 知識の習得や心構えを『楽しめる』か? 人によって違うと思います。
今回の『犬と暮らすために大切なことは?』がこれから犬との暮らしを考えている多くの人にとって、少しでも参考になればと思います。 犬の持つ魅力と犬との暮らしに伴う責任を知って下さい。そして、犬との生活を大いに楽しみましょう!
お話を伺ったのは…
動物看護師
富永 良子さん
18年間の動物病院勤務を経て、2017年よりフリーランスの動物看護師として活動中。「犬や猫ともっと楽に、もっと楽しく暮らそう♪」をモットーに、犬や猫の心の健康を大切にした育て方や暮らし方の提案に力を入れている。現在は、動物病院でパピークラスやノースズワークレッスンを開催。ペット共生型有料老人ホームで高齢者とペットとの暮らしのサポートも行っている。