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犬の予防接種についてスケジュールや種類、副作用を解説!

犬の予防接種についてスケジュールや種類、副作用を解説!

感染症から愛犬を守るには、ワクチン接種という方法があります。

1つは狂犬病予防のワクチン。これは法律で定められた飼い主の義務であり、年1回、狂犬病の予防接種を受ける必要があります。この義務を怠ると20万円以下の罰金に処せられますのでご注意ください。
もう1つは混合ワクチン。これは細菌、ウィルスなどへの抵抗力をつけて、感染を予防するものです。

ドッグランやペットホテルではワクチン接種証明書の提示を求めるところがほとんどですので、犬を迎えたらこの2つは接種するものと心得ておきましょう。

1.犬のワクチンにはどんな種類がある?

犬のワクチンには、狂犬病ワクチン、混合ワクチン、コアワクチン、ノンコアワクチンの4つがあります。

コアワクチンは、どんな犬も感染する恐れがある病気を予防するためのワクチン。
ノンコアワクチンは、特定の病気を予防するためのワクチンです。
混合ワクチンは、コアワクチンだけで構成されたものと、コアワクチンとノンコアワクチンで構成されたものがあり、その組み合わせは製薬会社によって異なります。

狂犬病ワクチン

狂犬病は致死率100%の恐ろしい病気です。発症すると効果的な治療法はありません。
人を含むすべての哺乳類に感染する恐れがある人畜共通感染症で、日本においては1956年を最後に発生していません。
しかし、世界では年間およそ5万5000人が亡くなっているといわれています。
【参照】厚生労働省「狂犬病に関するQ&Aについて」

コアワクチン

コアワクチンは、どのような犬も死の危険性がある感染症を予防するためのワクチンです。
狂犬病もその1つ。犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬アデノウイルスⅡ型感染症、伝染性肝炎への抵抗力を高めるために接種します。

ノンコアワクチン

ノンコアワクチンは、犬コロナウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症、犬レプトスピラ感染症という、特定の感染症を予防するためのワクチンです。
地域の流行や飼育環境によって感染リスクは異なります。かかりつけの動物病院に相談のうえ、危険性が高い場合は接種させましょう。

混合ワクチン

複数のワクチンが含まれている混合ワクチンです。
2種から11種まであり、その組み合わせや費用は製薬会社によってさまざま。一度に複数のワクチンが入るので、犬によっては副作用が出る場合もあります。
愛犬に合うかどうか、獣医師に相談しましょう。

2.犬の予防接種はなぜ必要?

犬の予防接種はなぜ必要?

私たちの周りには細菌やウイルスなどの病原体が日常的に存在しており、なかには犬の命を脅かすものもあります。
このような危険な病原体の発症を予防し、感染時の重症化を防ぐのがワクチン接種の目的。抵抗力の弱い子犬やシニア犬は特に発症しやすく、重症化しやすいため、ワクチン接種が命綱になります。

狂犬病の予防接種は飼い主の義務です

厚生労働省が定める「狂犬病予防法」によって、犬を迎え入れたら30日以内(生後90日以内の場合は、生後90日を経過した日)に、飼い主さんはお住まいの市区町村へ犬の登録を申請する義務があります。

そして年1回は、狂犬病の予防接種を愛犬に受けさせる必要があり、これらの義務を怠ると20万円以下の罰金に処せられます。

日本において、狂犬病は1956年を最後に発症していません。しかし、一部の国を除いて全世界で発症しているため、感染の可能性はゼロではありません。
愛犬を守るためにも必ず予防接種を受けさせましょう。
【参照】厚生労働省「狂犬病に関するQ&Aについて」

3.ワクチン接種の適正回数・頻度は?

混合ワクチンの接種回数は、1歳未満の子犬で3回、成犬で年1回が一般的です。

子犬は初乳を通じて母犬から免疫をもらいますが、その効果は45日から90日程で減少。そのため生後2か月頃が、ワクチン接種1回目のタイミングになります。

1回目から約3~4週間後に2回目、2回目から約3~4週間後に3回目を接種。この「3回接種」が世界的に推奨されています。最後の3回目から約1年後、成犬としての1回目を接種します。

4.犬のワクチン接種による副作用のリスクについて

人間のワクチン同様、副作用の可能性はゼロではありません。
接種1時間以内に、嘔吐やチアノーゼといったアナフィラキシーショックの症状が見られた場合は、すぐ動物病院に連れていきましょう。接種して数時間後に顔の腫れやかゆみが出るケースもあります。短頭種は呼吸困難に陥る可能性もあるので注意してください。

副作用の恐れがあっても接種しない場合の感染リスクはとても大きく、愛犬を守るにはやはりワクチン接種が有効です。

5.愛犬にワクチン接種させるタイミングはいつ?

愛犬にワクチン接種させるタイミングはいつ?

混合ワクチンは、生後2か月頃が1回目のタイミングです。
その後は約3~4週間後おきに接種。3回接種が終わった後は年1回接種するのが一般的です。

しかし近年、免疫の付き方に個体差があるという研究結果が報告されました。
混合ワクチンは一度に複数のワクチンを接種できますが、その持続性は犬によって異なるというわけです。効果が持続しているコアワクチンは毎年打つ必要がありません。
ただし、狂犬病ワクチンとノンコアワクチンは効果が持続しないため、年1回の接種が必要です。

犬の抗体検査について

犬の抗体検査とは、犬が持っている抗体量を測る検査です。

混合ワクチンによって複数のワクチンが体内に入ります。しかし、コアワクチンAの抗体量は3年以上持続し、コアワクチンBの抗体量は約1年で減少する、というように犬によって差があることがわかったのです。

狂犬病やノンコアワクチンは効果が持続しないため年1回の接種を必要としますが、抗体が一定以上あるコアワクチンは接種の必要がありません。
抗体検査によって、必要なワクチンを必要なタイミングで受けさせることができるのです。

ワクチン接種は感染症から愛犬を守るために必要ですが、副作用の可能性はゼロではありません。
必要以上にワクチン接種をさせないために抗体検査は有効です。

6.狂犬病の予防接種はいつ受けることができる?

4月1日から6月30日に受けるのが基本です。
地域によって差はありますが、登録した市町村から案内が届きます。

公園や広場で実施される集合注射を利用しても良いですし、かかりつけの動物病院で接種しても良いでしょう。費用は、集合注射で3,000円程度。動物病院で接種する場合は、病院によって費用が異なりますので事前にご確認ください。
いずれも予防接種後に「注射済票」が発行されます。

7.混合ワクチンで予防できる感染症の種類は?

混合ワクチンは、2種から11種まであり、すべての犬にとって危険な感染症を防ぐ「コアワクチン」だけを混合したものと、地域や生活環境に応じて接種することが望ましい「ノンコアワクチン」と「コアワクチン」を組み合わせたものがあります。

【犬の混合ワクチンで予防できる感染症】

    2種 3種 4種 5種 6種 7種 8種 10種

コアワクチン

犬ジステンパー

犬伝染性肝炎

 

犬アデノウイルスⅡ型

 

犬パルボウイルス

   

ノンコアワクチン

犬パラインフルエンザウイルス

   

犬コロナウイルス

         

犬レプトスピラ(イクテモヘモラジー)

         

犬レプトスピラ(カニコーラ)

         

犬レプトスピラ(グリポチフォーサ)

             

犬レプトスピラ(ポモナ型)

             

コアワクチンで予防できる感染症

犬ジステンパー

致死率50~90%の恐ろしい感染症です。有効な薬がないため、治療は脱水を防ぐ点滴といった対症療法が中心。

犬伝染性肝炎

軽傷の場合は鼻水が出る程度ですが、子犬においては致死率の高い病気です。元気消失、食欲消失、嘔吐、下痢、発熱、扁桃腺の腫れ、角膜の白濁などが主な症状です。

犬アデノウイルスⅡ型感染症

感染力が強いうえに、子犬の場合は致死率が高いので注意が必要です。咳、くしゃみ、鼻水、発熱、食欲不振が主な症状。他のウイルスや細菌との複合感染によって肺炎を起こす可能性があります。

犬パルボウイルス感染症

激しい嘔吐や下痢によって脱水症状を起こすため、入院して治療します。脱水防止の点滴を行うほか、腸内細菌による感染を抑える薬などで治療します。

ノンコアワクチンで予防できる感染症

犬パラインフルエンザウイルス感染症

犬アデノウイルスⅡ型と同様、感染力の強い感染症です。咳、くしゃみ、鼻水、発熱、食欲不振が主な症状。他のウイルスや細菌との複合感染によって肺炎を起こす可能性があります。

犬コロナウイルス感染症

感染力が強く、犬パルボウイルスとの複合感染で重症化する可能性があります。下痢、嘔吐が主な症状。有効な薬はないため、脱水防止の点滴や下痢止めの投薬などの対症療法を行います。

犬レプトスピラ感染症

重症化しやすく致死率の高い感染症です。そのため治療費は高額にのぼることも。重症化すると腎不全や肝不全を引き起こすため、各種検査のうえ抗生剤や利尿剤を投与します。

混合ワクチンの種類の選び方は飼育環境次第!

混合ワクチンの種類の選び方は飼育環境次第!

愛犬に適した混合ワクチンは、ライフスタイルによってさまざまです。
ほとんど家から出ない子、散歩で外出する子、キャンプやドッグランでよく遊ぶ子では、感染リスクが異なります。
ふだん散歩をしている場所が、ビルの立ち並ぶ都会なのか、自然あふれる田舎なのかによっても変わってくるでしょう。

さらに、地域で感染症が流行している可能性も少なくありません。外出の頻度、他の犬と接する頻度、アウトドアレジャーの頻度をまとめておき、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

8.ワクチン接種にかかる費用は?

混合ワクチン接種にかかる費用は動物病院によって異なりますが、2種で3,000円~5,000円程、7種以上は7,000円~10,000円程が目安です。

病気の治療ではなく予防行為にあたりますので、ペット保険の対象外というケースが少なくありません。ペット保険に加入されている方は保険内容をチェックしてください。

そして、ワクチンを接種する時間帯は、副作用が起こる場合を考えて午前中を選ぶと良いでしょう。
万が一、異変が見られたらすぐに動物病院に連絡して指示を仰いでください。
ワクチンは小さな体に負担をかけます。接種後2~3日は激しい運動を避け、3~7日はトリミングやシャンプーを控えましょう。

6.まとめ

ワクチンを接種すると、犬の体内では病原体の免疫が作られます。この免疫によって感染症の発症を防止でき、発症しても重症化を防ぐことができます。

特に子犬は重症化しやすいので、母犬からの抗体が薄れる生後2か月頃にはワクチン接種を。成犬については、どのワクチンをどのタイミングで接種させるか、ワクチン計画を立てても良いでしょう。
抗体検査を実施しているかどうかも含めて、かかりつけの動物病院にご相談ください。

監修いただいたのは…

みゅう動物病院 院長
獣医師 本田 善久先生

病気の治療はもちろん、各種予防、1日ドック、しつけ教室などのトータルケアをめざしておられます。

みゅう動物病院 院長 獣医師 本田 善久先生

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