目次
-
-
犬の目やにとは?
-
犬の目やにの種類は?
-
-
-
病気1.アレルギー
-
病気2.角膜炎・角膜潰瘍
-
病気3.結膜炎
-
病気4.流涙症
-
病気5.ドライアイ
-
病気6.まつ毛の異常
-
病気7.眼瞼内反症・外反症
-
1.犬の目やにが多くなる原因と種類は?
「うちの犬は目やにがよく出る」という方は要チェック!
目やにの種類や病気について詳しく調べました。
- 犬の目やにとは?
- 犬の目やにの種類は?
犬の目やにとは?
犬の目やにとは、皮膚の垢のようなもので医学的には眼脂(がんし)と呼ばれます。
古くなった細胞や目の表面についたゴミやホコリが涙と一緒に流れ出てて、目の周りで固まったものが総称されて「目やに」と呼ばれています。目の病気を患っている場合は、細菌感染を伴って膿が混じっていることもあります。
犬の目やにの種類は?
目やにはいくつかの種類があります。
1つ目は、寝起きのような生理現象から出る目やにです。白色や黒色で少量ならば、そのままにしておいても問題ないでしょう。
2つ目は、草木や自分の爪などで目に傷がついた外傷によるものです。散歩やドッグランで遊んだ後はチェックしてあげましょう。
3つ目は、感染症、結膜炎、角膜炎、眼瞼炎などの病気を原因とするものです。普段より目をこすっている、目が開かないほどの目やにが出ている場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
そして、気をつけたいのが子犬とシニア犬の目やにです。子犬の目やには結膜炎によるものが多く、なかでもウイルス性結膜炎には注意が必要です。
代表的な感染症はジステンバーウイルス感染症が挙げられます。近年はワクチン接種の普及で減少しましたが、母親からの移行抗体がなくなる時期はとても危険。ワクチン接種が完了していない場合は、他の犬や動物との接触を避けましょう。
もし、黄色っぽい目やにや鼻汁が出て、元気も食欲もない場合はすぐに動物病院へ。一方、シニア犬は涙の量が減るためドライアイになりやすく、ゴミや老廃物を洗い流せずに目やにが増えてきます。角膜に傷がつきやすくなるので注意が必要です。
2.犬の目やにを引き起こす病気
寝起きのような生理現象で出るものばかりではありません。食べ物や花粉に過剰に反応するアレルギーによる目やにや、角膜に傷がついて起こる角膜炎、生まれつきまぶたが内側または外側にめくれている眼瞼内反症・外販症によるものなど原因はさまざま。
目やにの原因となる代表的な病気7つを詳しく見ていきましょう。
アレルギー
食べ物、花粉、ハウスダストマイト、ノミなどへのアレルギー反応で目やにが出ます。
かゆみを伴うことが多く、目の周りが赤くなる、腫れるなどの症状が見られ、時には結膜浮腫が起こることもあります。結膜浮腫は結膜がむくんで、ぶよぶよとしたゼリー状になっている状態。目をさわらずに数時間待って、それでも腫れが引かない場合は動物病院に相談しましょう。
アレルギーになりやすい柴犬、コッカー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリアなどに多く見られます。
角膜炎・角膜潰瘍
外傷、細菌感染、ウイルス感染が引き起こす角膜炎や角膜潰瘍によって目やにが出ます。角膜が炎症を起こしている状態が角膜炎、角膜が傷ついて起こるのが角膜潰瘍です。
涙の量や目やにが増える、目をしばしばさせる、目が赤い、目を閉じているなどの症状が見られます。重症の場合は角膜が白く濁って見えます。軽症の場合は目薬で治療しますが、重症の場合は手術が必要になることも。目が大きくとび出たパグやシーズーに多い病気です。
結膜炎
結膜は、角膜の周りにある粘膜と、上下まぶたの裏側にある粘膜のこと。細菌やウイルス感染、外傷、アレルギーによって結膜に炎症が起きている状態を結膜炎といいます。
結膜炎は、涙や目やにが増えるほか、充血する、まぶたの裏が腫れる、目をこすりつける、目を掻く、上下のまぶたがくっつくなどの症状が見られます。非感染性の結膜炎はうつりませんが、細菌やウイルスが原因の場合は完治するまで他の犬との接触を避けましょう。
流涙症
流涙症には3つのケースがあります。
1つ目は涙を目から鼻に流す鼻涙管が詰まって涙があふれ出る場合、2つ目はゴミや逆さまつ毛による刺激のため洗い流そうとして涙が過剰に産出される場合、3つ目は両方原因である場合です。
流涙症になると目やにが増えるだけでなく、大量の涙を放置すると酸化や細菌繁殖が起こって茶色い涙やけになります。シーズーやトイ・プードル、マルチーズで多く見られます。
ドライアイ
ドライアイは涙の量が減少して目が乾く病気です。
自己免疫によって起きることが多いといわれており、目やにが増える、充血する、目をしょぼつかせるなどの症状があるほか、角膜が乾いてしまうため角膜炎や角膜潰瘍が生じる可能性もあります。ドライアイの中には先天性、感染症、神経性を原因とするケースもあり、治療方法はさまざま。目が大きくとび出たパグ、シーズー、ペキニーズ、そしてシニア犬で多く見られます。
まつ毛の異常
逆さまつ毛や、まつ毛が生える部位ではないところからまつ毛が生える異所性睫毛(いしょせいしょうもう)が、結膜や角膜などを刺激して炎症を引き起こします。涙や目やにが増えるほか、充血している、目を閉じているなどの症状があり、重症の場合は角膜潰瘍に至ることも。
治療方法は、動物病院で定期的にまつ毛を抜く方法から手術までさまざま。シーズーやトイ・プードルで多く見られます。成犬になってから発生することもあります。
眼瞼内反症・外反症
内反症はまぶたが内側に入りこむもので、外反症はまぶたが外側にめくれるもの。先天的な異常を原因とするケースがほとんどで、根本治療には手術が必要です。涙や目やにが多く、痛みやかゆみで目をこする、痛みで目を閉じているなどの症状があり、軽症の場合は目薬や定期的にまつ毛を抜く方法で治療します。
顔の皮膚がルーズなブルドッグやセント・バーナード、コッカー・スパニエル、ラブラドール・レトリーバーで多く見られます。
3.犬の目やにの対処法・ケア方法
寝起きのように生理現象で出ている目やには、少量なら放置しておいても構いません。しかし、大量の目やにをそのままにしておくと皮膚の通気が悪くなって炎症の原因に。
特にシニア犬は涙の量が減るためドライアイになりやすく、ゴミや老廃物を洗い流せず目やにが増えてきます。加えて、睡眠時間が増えるため、どうしても目やにが溜まりやすくなってしまうのです。そのまま放置すると、目やにが固くなって目が開けにくい状態に陥ってしまうことも。
愛犬を病気から守るために、目やには小まめに取り除いてあげましょう。
日常的なケア
【準備するもの】
コットンや綿棒、ペット用の顔用ウェットティッシュなど
【手順】
1. コットンや綿棒をぬるま湯で濡らす。ペット用ウェットティッシュはそのまま使ってOK。
2. 愛犬を優しく抱きかかえ、手や腕で頭を固定する。
3. 目やにをそっと取り除く。
目やにが固くなって取れにくい場合は、人肌に温めた蒸しタオルをそっと当てて柔らかくしてから取りましょう。取れにくいからといってゴシゴシこすると、目や鼻を傷つけてしまう可能性があります。1回で柔らかくならない場合は、何回かに分けて柔らかくしていきましょう。もし愛犬が嫌がった場合は、時間を空けて試してください。無理に押さえつけたり、怒ったりするのはNG。飼い主さんがリラックスして接することが何よりも大切です。シャンプーの機会が近い場合はシャンプーまで待っても構いません。
【注意点】
・ティッシュはおすすめできません。ティッシュは繊維が粗く、皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。
・綿棒のように先が細いものを目に近づけると怖がる犬が少なくありません。慣れないうちはコットンやペット用ウェットティッシュを使いましょう。
目やにが増えている場合
黄色や緑色の目やにが出ていたり、目やにが増えていたりする場合は、病気の可能性があります。かかりつけの動物病院で適切な点眼薬を処方してもらいましょう。
4.こんな症状が見られたらすぐに動物病院へ
目やにが少量で白色や黒色ならば、そこまで心配する必要はないでしょう。寝起きのような生理現象で出ている目やにだと思われます。
しかし、中にはすぐ動物病院で治療すべき目やにがあります。目の病気は進むのが早く、対処が遅れると失明するケースも。ワクチン接種が完了していない子犬は感染症にかかりやすいため、特に注意が必要です。危険な目やにの量や色、目やに以外の症状についてもチェックしておきましょう。
■目やにの量
目やにが多いのは、目で炎症などの異常が起きているサインです。「目やにを取った1~2時間後に目やにがついている」など目やにが増えていると気づいたら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
■目やにの色
健康な犬の目やには茶色、黒色、灰色、白色が一般的。黄色や緑色の目やにがついていたら、感染症を引き起こしている可能性があります。
感染症や炎症にかかっている場合、目が充血している、目をしばしばさせる、痛みから目を閉じているなど、目やに以外の症状が見られます。他の犬との接触を避け、動物病院で適切な治療を受けてください。また、自分の爪で目を傷つけてしまう可能性があります。お家にエリザベスカラーがあればつけてあげてましょう。
■動物病院に行く前にすること
動物病院で診察を受ける時は、できるだけ目やにを取り除かず、目の状態がわかるようにしておきましょう。お家での様子を携帯電話で写真撮影しておいたり、メモしておいたりすると診断がスムーズです。
5.犬の目やにが出にくくなる予防法
「目やにを小まめにきれいにしてあげたいけれど、忙しくてなかなか手がまわらない」という飼い主さんが少なくないと思います。白色や黒色で少量の目やにならば、それほど心配する必要はありません。大切なのは、犬の目やにが病気を知らせるサインだと心に留めて、日頃から観察しておくこと。
次に挙げる3つの予防法は、スキンシップの中で取り組める簡単なものばかりです。目やにの異常にも気づきやすくなりますので、ぜひ気軽に始めてみましょう。
❶ブラッシングやトリミングでいつも清潔に
ゴミやホコリが目に入ると、どうしても目やにが出やすくなってしまいます。小まめなブラッシングやシャンプーで清潔に保ってあげましょう。
目の周りの毛が長い犬は、毛が目に入って傷つけてしまう可能性があります。トリミングサロンで定期的にカットしてもらうか、自宅で小まめに切ってあげましょう。ただし、パグなど短頭種においては、鼻の横のしわに生えている毛を短くすると余計に角膜を刺激する場合があります。
❷散歩やドッグランでは草木に気をつけて
夢中になって遊んでいるうちに、草や木などの尖ったものが目に刺さってしまうことがあります。散歩やハイキングに連れて行った時は気をつけてあげましょう。
ドッグランでは他の犬との接触に要注意。じゃれ合っているうちに目に傷がついてしまうことも。散歩やドッグランで遊んだ後は、目をパチパチしたり、目を気にする素振りをしたりということがないかチェックしましょう。
❸日頃から愛犬の状態をチェック
目やにの原因は、ゴミや外傷だけではありません。体質的なアレルギー、先天性の眼瞼内反症・外反症やドライアイ、細菌やウイルス感染症などさまざま。
予防が難しい病気も少なくありません。散歩後やブラッシング時など、日頃から全身をチェックする習慣をつけておきましょう。
健康状態を知っておくと異常に気づきやすく、病気の早期発見につながります。
6.まとめ
目やには目の病気を知らせるサインです。健康な目やになら固くならないうちに取り除き、病気の可能性がある場合はかかりつけの動物病院にご相談ください。
目の病気で特に気をつけたいのが感染症です。ワクチン接種が完了していない子犬はかかりやすく、重篤化しやすいので異変を感じたらすぐに診察を受けましょう。感染が疑われる場合は他の犬との接触を避け、飼い主さんも接した後は手洗いを徹底してください。
お話を伺ったのは…
ロッキー動物病院 院長
獣医師 蔵所 宏好先生
「病気でないのに毎日行きたくなる病院」をキャッチコピーに掲げるロッキー動物病院の院長。「動物医療を通じて、犬や猫と生活することは、とても楽しいことで人生を豊かにするということを伝える」をモットーにしている。プライベートでは空手の少年部指導員であり、ホームページで映画について語るブロガーでもある。