猫がご飯を食べてくれなくなった?!原因や対処法などを解説
いつもの食事を急に愛猫が食べなくなった…。そんな異変に気づいたら思わず心配になってしまいますよね。本記事では、猫が食欲不振になる原因や、対処法、病院受診の目安について解説します。
いつもの食事を急に愛猫が食べなくなった…。そんな異変に気づいたら思わず心配になってしまいますよね。本記事では、猫が食欲不振になる原因や、対処法、病院受診の目安について解説します。
目次
脱水
脂肪肝
原因① 飽きた
原因② そもそも好みじゃない
原因③ ストレス
原因④ 発情期
原因⑤ 加齢
対処法① あげ方を工夫する
対処法② アレンジする
対処法③ フードを変える
対処法④ 運動不足を解消
対処法⑤ 食事環境を整える
動物病院に連れて行く目安とは?
こんな症状も見られたら、病気のサインかも
子猫か、成猫か、また健康か、病気があるかなどによって、食欲不振だと判断する日数は異なります。
健康であっても子猫の場合には半日以上何も食べなければ要注意です。同じく高齢の猫や病気持ちの猫なども予備能力が低いことから、食欲不振だと感じたら早めに対処する必要があります。
成猫の場合、若くて健康であれば2日ほど食べなくても平気だと言われます。ただ、1日以上何も食べないときには注意して観察するようにしましょう。
食欲不振が続くと、以下のような症状が出る可能性があります。
食事量や水を飲む量が減ると、体液が不足し、必要な水分と電解質が不足してしまい“脱水”となります。脱水は腎臓をはじめとした複数の臓器に障害を引き起こすため、重度になると命にかかわる場合もあります。
腎臓病や糖尿病である猫の場合、より急速に脱水となるため飼い主さんは注意が必要です。
ここで気をつけたいのは、水を飲んでいても食べていなければ脱水している場合があるということです。食べないけれど水を飲むときは、脱水により喉が渇いている可能性が高いです。特に腎臓病や糖尿病を患っている場合には水を飲むだけでは追い付かず、どんどん脱水が進行してしまいます。
水を飲んでいても食べていない場合には、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
別名「肝リピドーシス」ともいいます。
急速に分解された体内の脂肪が肝臓に蓄積することで引き起こされます。特に肥満猫は発症しやすいので注意が必要です。
病気のない成猫でも、肥満猫の場合、2日以上何も食べていないと“脂肪肝”を発症する恐れがあります。「太っているから2日くらい食べていなくても大丈夫だろう」という考えは危険で、むしろ肥満猫の食欲不振には早めに対応する必要があります。
脂肪肝の治療は非常に大変かつ長期の入院治療を行わないと助からない場合もあります。食欲不振にはすぐに対応するのはもちろん、そもそも愛猫が太らないように日々から気をつけたいものです。
前提として、猫はもともと食欲にムラがある動物です。食べたいときに食べたい分量を食べる習性を持つため、ごはんを食べない=必ずしも健康に問題があるというわけではありません。
また個体差により食欲も変わってきます。身体の大きさの違いだけでなく、運動量や飼育環境(一頭飼い、多頭飼いなど)によっても食べる量に違いが出てきます。
そのため一度に食べる量はちょっとずつでも、一日全体で見たときに、必要な量を食べているのであれば問題ない可能性が高いです。
“そのときの気分で食べない”場合を除き、猫がごはんを食べない原因の一部を挙げてみましょう。
原因1
昨日まで同じフードをモリモリ食べていたのに、急に食べなくなると思わず心配してしまいますよね。猫はずっと同じ食事を与えていると、飽きて食べなくなることがあります。これは猫が新しいものを好む習性を持つためです。
また、ずっと食べていたものでも、そのフードを食べた直後に吐いてしまったり、苦い薬が入っていたりした経験があると、それ以来フードを食べなくなることもあります。
原因2
「同じフードだと飽きるかなと思い、変えてみたら全然食べなくなった!なぜ?」。そんな場合には、そもそもそのフードが好みじゃない可能性もあります。
猫は食の好みが強い動物です。味わいだけでなく、食感などにも好みがあると言われており、特に香りには敏感です。香りが苦手なフードだと、見向きもしてくれない可能性があります。
また多くの猫は離乳期(生後8週間まで)に食べたものを、成長してからも好む傾向があるといわれます。その後、はじめて出会う香りや味わいのフードなどは。食べず嫌いで拒否してしまう場合があります。
原因3
健康診断やワクチンのために病院へ行ったり、引っ越しや飼い主の旅行などでいつもと違う環境に置かれたりすると猫はストレスを感じ、一時的に食欲が低下することがあります。
家から移動すること、いつもと違うにおいや物音のすること、知らない人に触られること…、これらは猫にとってストレスになる可能性が高いです。
特にワクチンを打ったあとなどはゆっくり安静にして様子を見てあげてください。薬の副作用で体調を崩す可能性もあります。ぐったりしているなど様子がおかしい場合には、すぐに動物病院を受診し獣医師に相談しましょう。
特にいつもと変わりない生活をしているのにおかしいなぁ…という場合には、食事環境が愛猫にとって快適なものになっているかどうか、今一度見直してみましょう。
トイレと食事する場所が近い、食器が汚れている、器の底が深すぎてヒゲや首輪の飾りがいちいち器に触る、なども猫にとってのストレスとなります。
原因4
不妊手術をしていない場合、発情期に食欲が低下するケースが見られます。
猫の発情は、日照時間の長さに影響されるので日当たりの良い部屋で飼われている猫の場合、発情する頻度も多くなります。
発情のサインについては以下の記事内でも詳しく紹介していますので、良ければ参考にご覧ください。
⇒参考記事:猫の発情期の特徴や時期・期間・対策について獣医師が解説!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/843
原因5
人間も年を取ると食が細くなることがありますが猫も同じです。活動量が減り、噛む力や消化能力が衰えると同時に食欲も低下します。
嗅覚が衰えたことでフードのにおいを捉えられなくなり、ごはんがあることに気づけていない場合もあります。
ただ加齢で食が減ることがあっても、全く食べなくなるのは普通ではありません。異常のサインなので、早めにかかりつけ医を受診するようにしてください。
原因が分かったら適切に対応し、愛猫にしっかりごはんを食べて栄養をつけてほしいものですね。
ここからは家で試せる、猫がごはんを食べないときの対処法を5つ紹介します。
対処法1
不思議なことに、今まで食べなかったフードを飼い主さんの手から与えると食べるようになったということもあります。毎回手であげるクセがついてしまうとお皿から食べなくなってしまうこともあるので、やりすぎには注意ですが、食欲が落ちてきたと感じたらまず試してみるのはおすすめです。
また部屋のいろいろな場所に少しずつフードを置くのも、狩り気分が味わえて良いとされています。特に転がすとフードが出てくるおもちゃなどは狩猟本能も刺激できて良いでしょう。
対処法2
今まではおいしく食べていたフードに飽きてしまった場合に効果があるのが、フードを温めること。
普段の食事を少し温めるだけで食欲が増すことがあります。温めると香りが立つので、特に老猫には試してみてほしい対処法です。ドライフード、ウェットフード、共に温めてみる価値はあります。
また猫用のふりかけやトッピングを使い、少し香りや風味を変えることで食欲が戻る場合もあります。
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市販の『総合栄養食』と書かれたキャットフードを与えている場合、基本的に必要な栄養素は足りていますので、トッピングによるカロリーオーバーにはくれぐれも気をつけましょう。
対処法3
そもそも好みのフードじゃなくて見向きもしない場合には、思い切って変えてみるのが良いでしょう。
例えば、鶏肉や豚肉など、お肉をメインとしたフードを食べない場合には鮭などの魚をメインにしたものに変えてみるのも、食欲が戻る一つの対処法と言えます。
一概には言えませんが、日本の猫の場合、魚のにおいがするフードを好む傾向があるそうです。
ただフードを急に変えるとお腹を壊す可能性もあるので、今までのフードに少しずつ混ぜながら変更していくのが良いでしょう。
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対処法4
運動量を増やすことで食欲が戻ることもあります。キャットタワーを置くなど、普段から運動がしやすい環境を整えてあげるとより良いでしょう。適度な運動はストレスの解消にもつながります。
また飼い主さんが家にいるときは、一緒に遊んであげるのが良いでしょう。
一般的に猫は動くものを追いかけることが大好きなので、動くおもちゃや猫じゃらしなどを使い、毎日数分でも良いので遊びましょう。コミュニケーションも取れ、一石二鳥です。
対処法5
まず食事のスペースは、猫のトイレから離れた静かな場所に用意します。テレビの傍など、大きな音がするところは避けましょう。
食器が深すぎる場合には、ヒゲや首輪の飾りが当たらないような、底が平たい形状なお皿に変えてみましょう。毎回キレイに洗うのはもちろん、プラスチックに比べてニオイや細菌がつきにくい陶器のお皿に変えてみるのも良いかもしれません。
多頭飼いの場合には、食事の場所を分けてあげると、より落ち着いて食べられるようになるでしょう。
ここまでは、特に病気が原因でない場合の食欲低下に対する対処法を紹介してきましたが、もちろん動物病院への受診が必要なケースもあります。
以下では、どのくらいの間ごはんを食べなかったら動物病院へ行くべきか、その目安や食欲不振に隠れている病気のサインをご紹介します。
長時間にわたって愛猫が食べ物を口にしないときは、何かしらの異常が隠れている可能性が高いため、注意が必要です。
特に生後半年以内の子猫の場合、食事を抜くことで低血糖になる可能性もあるので、たとえ元気に見えても早期に動物病院を受診する必要があります。
あきらかにぐったりとしていたり、下痢や嘔吐が見られたり、息が荒い場合には、絶食時間関係なくすぐに動物病院を受診しましょう。
猫がごはんを食べないときは、あわせて他の症状も見られないかを確認することも大切です。以下のような様子も見られる場合は、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。
いつもより元気がない場合は、健康上に問題を抱えている可能性があります。おもちゃへの反応が鈍かったり、人気のないところに隠れようとしたりするのも同様のサインです。
猫が発症しやすい腎臓病をはじめ、糖尿病や甲状腺機能亢進症を患っている場合、水を飲む量が増えます。ごはんをあまり食べないにもかかわらずいつもよりも頻繁に水を飲んでいるときには、こうした病気が隠れているかもしれません。
ごはんを食べようとはするけれど、スムーズに咀嚼ができていなかったり、うまく飲み込めなかったりする場合は、口腔内に何らかのトラブルが起こっている可能性があります。
猫は健康な状態でも吐くことがあり、食べた直後の吐き戻しや毛玉の吐き出しなどにおいては大きな心配はいりません。しかし、その頻度が多い、嘔吐物が茶色やピンク色をしているなど注意が必要なケースもあります。その場合は早めに動物病院を受診をしましょう。
⇒参考記事:【獣医師監修】猫が吐く原因は?病気の可能性や対処法について解説
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/373
尿路結石症や膀胱炎、尿路閉塞などの泌尿器疾患を発症している場合、嘔吐や食欲不振といった症状とあわせておしっこが出なくなることがあります。おしっこがまったく出ないまま放置をしていると尿毒症を起こすリスクがあるため、丸一日ほど出ていないようであればすぐに受診をしましょう。
下痢を伴っている、呼吸が苦しそう、大量のヨダレが出る、ぐったりとしている、といった状態が見られたら、緊急性が高く命にかかわることもあります。
愛猫がご飯を食べなくなったときに考えられる原因と、その対処法を紹介しました。食欲がない=必ずしも病気である、ということではないので、あわてて病院を受診する必要はありませんが、長時間何も食べないときなどは注意が必要です。
普段と違う様子や異常を感じたら、迷わず早めに動物病院を受診しましょう。
食事、睡眠、トイレなど、愛猫の生活にとって必要な環境が清潔に快適に保たれているかなどを日々チェックし、安心して暮らせる環境づくりを整えていきたいものです。
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監修いただいたのは…
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists 院長
獣医師 山本 宗伸先生
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists
(https://tokyocatspecialists.jp/clinic/) 院長。
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫に魅了され、獣医学の道へ。
都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat
Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。