【獣医師監修】スコティッシュフォールドの性格や飼い方のコツ、なりやすい病気まで全部紹介!
ぺたんと前に折りたたまれた小さな耳にまあるい顔のフォルムが特徴的な猫種「スコティッシュフォールド」。人懐っこく、穏やかで家庭的な性格であることも手伝って、国内で大変人気のある猫種です。
では実際に「スコティッシュフォールド」を飼う場合のコツとは? また遺伝性疾患など、「スコティッシュフォールド」を飼う上で知っておきたい基礎知識をお届けします。
ぺたんと前に折りたたまれた小さな耳にまあるい顔のフォルムが特徴的な猫種「スコティッシュフォールド」。人懐っこく、穏やかで家庭的な性格であることも手伝って、国内で大変人気のある猫種です。
では実際に「スコティッシュフォールド」を飼う場合のコツとは? また遺伝性疾患など、「スコティッシュフォールド」を飼う上で知っておきたい基礎知識をお届けします。
目次
【遺伝性疾患】骨軟骨異形成症
尿路結石症・外耳炎
「スコティッシュフォールド」の特徴としてよく挙げられるのが、前方に倒れた小さな耳と、丸みのある顔のフォルムです。
「スコティッシュフォールド」には、「ブリティッシュ・ショートヘア」や「アメリカン・ショートヘア」の血が入っています。小さい鼻やふっくらとした頬などの特徴は、それらの猫種から引き継いでいるようです。
ただでさえ丸みのある顔のフォルムを、パタンと倒れた“折れ耳”がより丸く強調しています。
そのような柔らかな雰囲気に反し、体型は意外とがっしりしているのも特徴のひとつ。体重は3~6kgと幅があり、特にオスは想像以上に大きくなることもあります。
毛色は白や黒、三毛、タピーなど、さまざま。「ブリティッシュ・ショートヘア」や「アメリカン・ショートヘア」と同じく、やや短めの弾力のある被毛が密集して生えているのが一般的です。長毛の場合には、特別に「スコティッシュ・フォールド・ロングヘア」と呼ばれます。
遊び好きではありますが比較的運動量が少なく、鳴き声も小さいため飼いやすい猫種のひとつと言えるでしょう。
「スコティッシュフォールド」(Scottish=スコットランドの、fold=折りたたむ)の名の通り、スコットランドが原産の猫です。
1961年にスコットランドのテーサイド州にて、耳の折れた白い雌猫をブリーダーのウィリアム・ロス氏が発見したのが始まりと言われています。 ロス氏はこの猫を引き取り、「スコティッシュフォールド」の繁殖をスタートさせました。
しかし、この猫種が確立するまでの道のりは簡単なものではありませんでした。「スコティッシュフォールド」の特徴である“折れ耳”は、生後3週齢以降に現れ始めるものの、安定するのに3~4ヶ月かかり、その間に耳がストレートに戻ることもありました。
そもそも、この特有の“折れ耳”は優勢遺伝で、折れ耳の猫と耳が立った猫を交配したときに折れ耳が生まれる確率は50%です。
だからといって、折れ耳の猫同士を交配させると、重篤な骨の異常である骨軟骨異形成症を持って生まれてくる可能性が高まります。そのため、「スコティッシュフォールド」は交配させる際、必ず他の猫種と交配させることが必要だと報告されています。
今では「ブリティッシュ・ショートヘア」や「アメリカン・ショートヘア」と交配することで遺伝性の病気の可能性を低くできると結論づけられたことから、主要な団体公認の猫種になりました。
ちなみに立ち耳の「スコティッシュフォールド」を、最近では「スコティッシュストレート」と呼ぶこともあるそうです。
「スコティッシュフォールド」は人気の猫種なので、ほとんどのペットショップで販売されています。そのため比較的スムーズに出会うことができるのではないでしょうか。
血統をよく理解したうえで迎え入れたい場合には、ブリーダーから購入する方法もあります。人気の猫種のため、ペットショップと同様にブリーダーの数も多く、ネットで検索すれば多くの情報が出てきます。
「スコティッシュフォールド」は、ある疾患にかかりやすい猫種です。
迎える前に知っておきたい、「スコティッシュフォールド」がかかりやすい病気について紹介します。
骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)は、スコティッシュフォールドに特徴的な遺伝性疾患です。強い骨の異常、骨瘤(コツリュウ)が関節付近にできることで痛みを発します。症状のひとつとして、指の骨の骨格変形などが見られます。
症状が進むと四肢の関節に痛みを抑えるために、動いたり、歩いたりすることを嫌がるようになります。現時点では有効な治療法がないため、発症後に行えるのは投薬により炎症を抑えたり、痛みを緩和させたりする対症療法のみとなります。
骨軟骨異形成症は、猫の外見から気づくのが難しい病気です。そのため、日々の歩き方などをよく観察し、小さな異常が見られた際に、なるべく早く気づいてあげることがポイントとなります。
SNSなどで人気な、両後肢を前に放り出した“スコ座り”などが頻繁に見られた場合も注意が必要です。これは、関節にかかる負担を軽減するポーズで関節に疾患がある場合や肥満の子によく見られます。
異常に気づいたら、一度しっかりと動物病院で検査を受けることをおすすめします。
もし足の痛みが出た場合には、室内の段差を減らす、体重をコントロールするなどのサポートを行ってあげると良いでしょう。
その他、スコティッシュフォールドがかかりやすいといわれる病気に「尿路結石症」や「外耳炎」があります。この2つは遺伝性のものではなく、特に「尿路結石症」は多くの猫種がシニア期に発症する病気です。
見た目も性格もとってもチャーミングで人気の猫種「スコティッシュフォールド」。
特徴的な遺伝性疾患をもつ猫種ですので、日々の観察と定期的なチェックで“小さなサイン”を見逃さないようにしてください。
それ以外に特に難しい飼育のコツなどはない猫種なので、愛情をたっぷり注ぎながら接していくことが何より大切になります。
あとは被毛が密に生えている猫種なので、週に2度ほど、ブラッシングしてあげると肌が健やかに保たれ良いでしょう。
日々のお手入れを通して、愛猫の様子をしっかり観察することで病気の早期発見にもつなげ、一日でも長く、愛猫との幸せな日々をつないでください。
(ライター PEPPY編集部)
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監修いただいたのは…
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists 院長
獣医師 山本 宗伸先生
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists(https://tokyocatspecialists.jp/clinic/) 院長。
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫に魅了され、獣医学の道へ。
都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。