【獣医師監修】犬のおすわりの教え方は?しつけ方のコツやできない場合の解決策
愛犬に教えておきたいさまざまなしつけ。
中でも「おすわり」は、基本のしつけとしてしっかりと覚えさせておきたいものです。
でも、いつ、どんな方法でしつけるのが良いのか、悩んでしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは「おすわり」を身に付ける必要性から、そのトレーニング方法やコツをご紹介します。
愛犬に教えておきたいさまざまなしつけ。
中でも「おすわり」は、基本のしつけとしてしっかりと覚えさせておきたいものです。
でも、いつ、どんな方法でしつけるのが良いのか、悩んでしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは「おすわり」を身に付ける必要性から、そのトレーニング方法やコツをご紹介します。
目次
犬の「おすわり」とは、犬がしっかりとおしりを地面につけて座っている体勢のことをいいます。この体勢は犬の興奮状態にある気持ちを落ち着かせるため、突発的な犬の問題行動や、重大な事故を未然に防ぐことができるもの。
つまり、犬とその周囲の人がより平穏に暮らしていくためには欠かすことのできない、非常に大切なしつけです。
また、同じようにトレーニングをしておきたいしつけとして「待て」や「伏せ」がありますが、「おすわり」はそれらの“基本体勢”。
おすわりができることによって、他のしつけもスムーズにトレーニングできるようになるため、まずはおすわりをしっかりと身に付けておきたいものです。
メリット1
例えば、お散歩中に別の犬と出会ったときや、家族以外の人が近づいてきたときなどに、犬は興奮して飛びついたり、激しく吠えたりしてしまうことがあります。このようなときにおすわりを指示することによって、問題行動を抑えトラブルを回避することができます。
メリット2
お散歩中、ふとした瞬間に愛犬が車道に飛び出してしまいそうになった経験はありませんか。また、何らかの原因で突然リードが外れてしまう、といったこともあるかもしれません。そんな緊急時に「おすわり」は、交通事故から愛犬を守るものとなります。
メリット3
信号待ちやドアマナーが必要なシーンなど、その場でじっと待っていなければならない状況は、生活の中で必ず発生するものです。そんな、社会で生きていくうえで不可欠となる基本的マナーを身に付けることで、自らの命を守るだけではなく、他者との共存を円滑なものにします。
メリット4
前述にもあるように、「待て」や「伏せ」などのしつけは、おすわりの体勢からトレーニングをするため、おすわりができることによって、これらのしつけトレーニングがスムーズになります。
子犬は吸収力が高いため、しつけトレーニングをスタートするのは子犬のうちが適しているといわれています。
しつけの基本となるおすわりは、生後3ヶ月くらいからトレーニングするのが良いでしょう。
ただし、子犬との生活でまず大切なのは、飼い主さんとの信頼関係の構築。
慌てることなく、まずは日々のスキンシップやコミュニケーション、アイコンタクトなどで確かな信頼関係を育み、しっかりとした基盤が作られたうえでトレーニングをスタートしましょう。
⇒参考記事:【ドッグトレーナ監修】子犬のしつけポイントを初心者にも分かりやすく解説!「おすわり」「待て」が自在にできる愛犬に!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/900
おすわりなどのしつけをトレーニングしないまま成犬になったとしても、決してもう身に付かないわけではありません。それまで一緒に暮らしてきた中で、しっかりと信頼関係が築かれていれば大丈夫。
子犬へのしつけと比べると少し時間がかかってしまうかもしれませんが、根気よくトレーニングしていけば、成犬でもおすわりができるようになります。
「おすわりをするといいことがある」という認識を持たせるために、上手にできたときのご褒美としておやつを用意しましょう。
愛犬の好きなおやつがベストですが、トレーニング中は複数回与えることになるため、カロリーが低いものや、小さめのもの、小さくちぎったものなどがおすすめです。
どのしつけトレーニングでも、アイコンタクトは基本中の基本。
飼い主さんとしっかりと目が合うことで信頼関係が確かなものとなり、指示を聞く態勢を取るべき合図ともなります。
⇒参考記事:【獣医師監修】犬にアイコンタクトを教えるメリットは?教え方のコツも紹介
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/908
しつけを教えるときには、犬を集中させることが大切。
テレビがついている、近くで子供が遊んでいる、おもちゃが転がっている…などの環境では集中ができません。しっかりと集中できる環境を作りましょう。
ステップ1
ステップ2
ステップ3
ステップ4
ステップ5
「おすわり」と同じ意味で「シット」など他の言葉を使うこともできますが、トレーニングをスタートする時点で必ず1つの言葉に決めておき、必ず家族全員で統一させることが大切。
同じ「おすわり」でも、相手によって違う言葉で求められると犬は混乱し、スムーズなトレーニングができなくなってしまいます。
上手におすわりできないからといって、愛犬のおしりを手で押して座らせるような行為はNG。恐怖心を覚えてしまうため、トレーニングが楽しいものではなくなってしまいます。
はじめは上手にできなくても、無理に座らせるようなことはせず根気よく進めましょう。
犬の集中力は5分~、長くても10分程度と言われてます。
トレーニング=嫌なものという認識にならないためにも、たとえ上手にできない日があっても、10分以内には切り上げるようにしましょう。
おすわりがなかなか上手にできないときには、このような方法を試してみてください。
しつこく追いかけたり、おしりを押して無理やり座らせるような行為はNG。
うしろに壁があるところを選べば、後ずさりしても壁に当たって止まることができます。
手を上げる位置を高くしてみましょう。
その際は、高く上げた手によって愛犬とのアイコンタクトが遮られないように注意が必要です。
どうしてもトレーニングが上手にできないときは、しつけ教室を利用するのも1つの手です。おすわりを身に付けるだけではなく、なぜ飼い主さんとのトレーニングが成功しないのか、そこにある根本的な原因などの相談にも乗ってくれるので、他のしつけトレーニングにも大いに役立つでしょう。
おすわり以外にも、教えておきたいしつけはさまざまあります。
どのしつけも、愛犬の命はもちろん、問題行動や他者とのトラブルを防ぎ、愛犬の幸せな暮らしを守るもの。一度に全てを教え込むことはできませんが、飼い主さんも楽しみながら、根気よく1つずつトレーニングをしていきましょう。
「呼び戻し(おいで)」は、飼い主さんが遠くにいる犬を呼んだときに、近くに来させるしつけです。
トラブルを回避させる他、災害などの有事の際に、確実に飼い主さんの元へ来させることができるようになります。
⇒参考記事:【獣医師監修】犬に「おいで」と言っても来ない理由は?呼び戻しの教え方を解説!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/911
「静止(待て)」は、飼い主さんの指示と同時に動きを止め、許可が出るまでその場でじっとさせるしつけです。
交通事故や、犬が口にしてはいけないものへ飛びついて食べてしまうのを防ぐことができます。
⇒参考記事:【ドッグトレーナ監修】犬の「待て」の教え方は?必要性や教える際のコツを紹介!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/899
「ハウス」は、犬がケージやクレートなどにスムーズに入り、そこで安心して過ごすことができるようになるためのしつけです。
愛犬の苦手な環境下でも心を落ち着かせることができるようになり、お出かけ時や災害時の避難先などでも役に立ちます。
⇒参考記事:【ドッグトレーナ監修】犬のハウスのしつけ方は?効果的な練習方法とコツを解説
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/903
「ふせ」は、犬が肘とおなかを地面に密着している体勢のことをいいます。
この体勢を保ち、かつ犬がリラックスした状態でいられることが、本来の正しい「ふせ」。
興奮する気持ちを落ち着かせ、突発的な危険行為を防ぐことができます。
犬の「おすわり」は、犬とその周囲の人がより平穏に暮らしていくためには欠かすことのできないしつけ。また、「待て」や「伏せ」など、他のしつけの基本となるため、子犬のうちから覚えておきたい非常に大切なものです。
「おすわりするといいことがある!」「トレーニングって楽しいな」
そんな風に感じさせる工夫をしながら、飼い主さんも楽しんでチャレンジしてみてください。
犬注目記事
子犬を迎えたなら知っておきたい「子犬に多い病気、気をつけたい症状」
背骨の骨同士の間にある椎間板が変性・変形することで神経症状を引き起こす「椎間板ヘルニア」を知る
膝の骨がずれて跛行する関節疾患「膝蓋骨脱臼」を知る
脳神経細胞の一時的障害によって発作が起こる「てんかん」を知る
猫注目記事
子猫を迎えたなら知っておきたい「子猫に多い病気、気をつけたい症状」
猫の皮膚病、それ放っておいても大丈夫?
毛布をはむはむ、ちゅぱちゅぱ… 猫の“ウール・サッキング”とは?
「ウンチ」は“臭い”“汚い”だけじゃない、猫の健康を知るバロメーターなのだ!
監修いただいたのは…
獣医師・博士(獣医学)
増田 宏司先生
<職歴>
・2004~2006東京大学大学院 ポストドクトラルフェロー(学術研究支援員)
・2006~東京農業大学農学部 講師
・2012~東京農業大学農学部 准教授
・2015~東京農業大学農学部 教授
<学歴>
東京大学大学院 農学生命科学研究科
獣医学博士課程修了(2004)
<専門分野>
動物行動学、行動治療学
<著書>
『犬の幸せ♡私の幸せ~ワンコ先生が教える動物行動学~』恒文社(2009)
『このくらいはわかって!ワンコの言い分』さくら舎(2012)
『バイオセラピー学入門 人と生き物の新しい関係をつくる福祉農学』講談社(2012)
『犬語ブック』日本文芸社(2013)
『東日本大震災からの真の農業復興への挑戦』ぎょうせい(2014) など