【専門家監修】メインクーンの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!
野趣を感じる風貌とは裏腹に、実は“気の良い”メインクーン。
アメリカのメイン州が原産地とされ、同州のシンボルとして「メイン州の猫」にもなっています。
鳴き声は一般的な猫とは少々違い、足の指が6本で生まれることもあるという特徴をもつメインクーンを今回はご紹介しましょう。
野趣を感じる風貌とは裏腹に、実は“気の良い”メインクーン。
アメリカのメイン州が原産地とされ、同州のシンボルとして「メイン州の猫」にもなっています。
鳴き声は一般的な猫とは少々違い、足の指が6本で生まれることもあるという特徴をもつメインクーンを今回はご紹介しましょう。
目次
メインクーンの入手先
メインクーンを迎えるときの費用相場は?
原産国:アメリカ(メイン州)
「メインクーン」という猫種名の由来は、”メイン”は原産地と考えられているメイン州から、そして”クーン”はアライグマ(ラクーン)に似ているという点にあります。
かつて、メインクーンは土着の猫とアライグマとの異種交雑から誕生したという説があったそうで驚きですが、アライグマに似た毛色とふさふさの尻尾がそう思わせたのでしょう。
起源については、ニューイングランドの船員が海外からもち込んだアンゴラタイプの猫、またはヴァイキングがもち込んだロングヘアの猫と、土着の短毛猫との交雑によって誕生したというのが一般的な説になっています。
その他、マリー・アントワネットが亡命計画を立てた際に、メイン州のウィスカセットに送られた6匹の猫が基になっているという説もありますが、いずれも裏付けには欠け、メインクーンのルーツについては判然としないままです。
※ニューイングランド=ニューヨーク州より東にあるメイン州、バーモント州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州を含むアメリカ北東部の地域を指す。
メインクーンはなんと言ってもワイルドなビジュアルが人目を引きます。さぞ気位の高い猫なのだろうと思うとそうでもなく、意外に遊び好きで、人懐こく、そのギャップがメインクーンの特徴の一つと言ってもいいでしょう。
「ニャオ」と鳴くことがあまりない、足の指が6本ある個体もいるというのもユニークです。
メイン州の冬季の環境は厳しく、遺伝子変異による多指症の足は雪の上でも有利に活動できるよう、雪靴の役目を果たしていたのではないかとの考え方もありますが、はっきりしたことはわかりません。
参考までに、国際猫協会(The International Cat Association / TICA)では、多指症のメインクーンをメインクーン・ポリダクティルとして区別しています。
メインクーンの体重はオス猫で8kg~10kg、メス猫で5.5kg~7kg程度。メスも十分大柄ですが、特にオスは猫の中でも大型です。
三角形のピンと立った大きめの耳と耳の先端にちょこんとついた飾り毛、ふさふさの尻尾、そしてシャギーコートと呼ばれる長さにばらつきのある分厚い被毛は特徴的です。
毛色はブラウン、レッド(オレンジ)、クリーム、ブラック、シルバー、ブルー、ホワイトなど。
模様の出方(パターン)には人気のタビー(縞模様)や、タビーの中でもマーブル模様に似た渦巻くような模様が出るクラシック、キャリコ(三毛)、トーティ(トータスシェル、サビ/赤と黒が交じり合ったもの)、バイカラー(白と有色の2色の組み合わせ)、ソリッド(単色)などがあります。たとえば、レッド・クラシック・タビー、ブラック&ホワイト、ブラウン・タビー&ホワイト、ブラウン・パッチド・タビー&ホワイト、ブラック・スモークなど毛色の呼び方は豊富です。
メインクーンの愛称は、「ジェントル・ジャイアント」。「気の良いでかい奴」「大きな紳士」とでも訳すことができますが、この一言だけでメインクーンの気質、特徴をよく言い表しています。
人や他の猫、犬などともうまくやっていけるだけの穏やかさがあり、その一方で成長しても遊び心をなくさないという子猫っぽいところもあります。
大きさは別として、気質的には一緒に暮らしやすい猫種と言えるでしょう。
メインクーンを迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、動物保護団体・動物愛護センターなどのルートがありますが、その前に知っておきたいこともあります。
それを理解した上で、入手先を決めましょう。
1.「動物の愛護及び管理に関する法律」により、販売者は対象となる動物を直接見せ、飼育方法などについて購入者と対面した上で文書を用いて説明しなければなりません。これを怠る販売者はNGと言わざるを得ません。
2.2022年6月1日より、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。猫を購入後は、飼い主さん自身の情報へと変更登録する必要があります。
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「令和4年6月1日から開始するマイクロチップ登録制度に関する飼い主の方向けQ&A」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
入手先1
ペットショップで販売される猫は、契約ブリーダー、自社(自家)繁殖の他、多くが生体市場経由で仕入れられた子猫です。
現在、動愛法の改正により、生後56日(8週齢)に満たない子犬子猫は販売できなくなっているので(特例として天然記念物指定を受けている日本犬の場合は生後49日)、子猫の生年月日は確認するようにしましょう。
子猫を選ぶ際には、できれば親猫を見ることができると理想的ですが、ペットショップでは稀です。
入手先2
真摯なブリーダーは特定の猫種にこだわりをもって繁殖しており、その猫種についての知識も豊富です。
子猫の価格については、ブリーダー登録サイトは別として、ブリーダーのホームページ上では公開していないことがあるので、直接問い合わせる必要があります。
予約をすれば見学も可。親猫や、子猫が育った環境を見られる点はプラスポイントです。
入手先3
行き場のない猫はまだまだ多くおり、そうした猫を迎えるのも一つの選択肢です。この場合、子猫とは限らず、成猫や老猫もいます。
入手先としては動物保護団体や各自治体の動物愛護センターなどがありますが、里親になるには一人暮らしや65歳以上の人は不可、その自治体在住者のみなどそれぞれ条件が設けられていることがあるのでよく確認してください。
現在、子犬子猫の価格は以前に比べて大幅に高騰しています。したがって、決して安い買い物ではなく、ましてや一つの命を預かるわけですから、熟考の後、猫をお迎えください。
その結果、メインクーンを迎えると決めた場合、おおむね以下の初期費用がかかります(商品に関しては一般的なものから少々リッチなものものまで含みます)。
メインクーンを迎える場合の費用の目安
項目 | 費用の目安 |
---|---|
メインクーンの子猫の価格 | 13万円~ |
混合ワクチン(Felv含む) | 3,000円~1万円程度(※1) |
猫用ベッド | 1,000円~5,000円程度 |
サークル・ケージ | 5,000円~1万5,000円程度 |
食器・水飲み・フード(ドライフード1袋)類 | 3,000円~8,000円程度 |
トイレ・トイレシート類 | 3,000円~7,000円程度 |
ブラシ・コーム・爪切り類 | 3,000円~6,000円程度 |
おもちゃ類 | 1,000円~2,000円程度 |
キャットタワー | 5,000円~2万円程度 |
合計 | 約2万5,000円~7万円程度+ 子猫の価格 |
※価格はあくまでも目安であり、販売者や子猫の状況、動物病院、商品などの条件によって変動します。
メインクーンの豊かな被毛と皮膚の健康を保ち、毛玉を防ぐには、少なくとも週に1~2回程度のブラッシングが必要です。爪や耳などのお手入れももちろんですが、こういったグルーミングを嫌がらないよう、子猫のうちから少しずつ慣らしていくといいでしょう。
かつてはネズミ捕りを仕事としていたため、狩りの意欲が強い個体もいるようです。そうした欲求を満たし、肥満を予防するためにも十分な運動ができる環境を用意したいものです。
なお、メインクーンは成長しきるまでに3~5年かかると言われるので、成長を急がず、ゆっくり見守るくらいの余裕も必要でしょう。
メインクーンは健康的な猫種ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、尿石症や心臓疾患、歯のトラブル、毛球症、脱走による事故など。
歯周病は歯だけの問題ではなく、進行すると歯周病菌の毒素が血流に乗って全身に回り、心臓疾患や腎臓疾患など他の病気に悪影響を与えてしまうことがあるので軽く考えることはできません。
可能な限り歯磨きをするとともに、日々のお手入れのついでに歯や口の中のチェックもするようにしましょう。
子猫~若い猫では、以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
特に若い猫では好奇心からちょっとした隙間から外に出てしまうこともある。
毛づくろいの際に飲み込んでしまった毛が吐き出しも排泄もできない場合、最悪、腸閉塞を起こし、手術が必要になることがある。
酵素の一種であるピルビン酸キナーゼの不足により、赤血球が破壊されることで貧血が起こる。生後2~3ヶ月頃での発症が多い。
メインクーンは寒さには強いものの、暑さには弱いとされるので、熱中症には注意が必要。
そして、成猫~高齢猫では、以下のような病気に注意が必要です。
成分により、いくつか種類がある結石の中で、猫ではシュウ酸カルシウム結晶とストルバイト結晶が多いと言われる。
心臓の左心室の伸筋が肥厚することで心不全を起こす心臓疾患。メインクーンでは遺伝的にこの病気を発症することがある。
コーネル大学の猫保健センターによると、中年期~10歳以上の猫のほとんどが関節炎をもっているという研究結果もあるそう(※2)。
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。皮膚腫瘍の場合、猫では半数以上が悪性と言われる。
食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛猫の行動にも注意を。
⇒【獣医師監修】猫の暑さ対策はどうすべき?熱中症の予防法やおすすめ対策グッズを紹介!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/904⇒【獣医師監修】ネコに認知症はある?疑われる行動や飼い主の対応方法を解説
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/905国際猫協会(TICA)によると、メインクーンの寿命は12歳半以上としています(※3)。一般的には13歳~15歳程度と言われますが、中には20歳近く生きる猫もいるようです。
一般社団法人ペットフード協会の「令和3年全国犬猫飼育実態調査」では、日本の猫の平均寿命は15.66歳(※4)。
これを見る限りでは、平均的な寿命まで生きられるかもしれない猫種といったところでしょうか。
メインクーンは気立てが良く、穏やかですが、人にべったりというわけではなく、程よく距離を保てる猫でもあります。ビジュアルは野生的ながら、猫と人とのコミュニケーションを楽しめる資質ももち合わせており、人気の秘密はそのあたりにもありそうです。
ただ、大型であるということも踏まえ、自分に飼えるかどうか熟考の末、メインクーンをお迎えください。
(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)
※猫は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度などには個体差があります。
犬注目記事
子犬を迎えたなら知っておきたい「子犬に多い病気、気をつけたい症状」
背骨の骨同士の間にある椎間板が変性・変形することで神経症状を引き起こす「椎間板ヘルニア」を知る
膝の骨がずれて跛行する関節疾患「膝蓋骨脱臼」を知る
脳神経細胞の一時的障害によって発作が起こる「てんかん」を知る
猫注目記事
子猫を迎えたなら知っておきたい「子猫に多い病気、気をつけたい症状」
猫の皮膚病、それ放っておいても大丈夫?
毛布をはむはむ、ちゅぱちゅぱ… 猫の“ウール・サッキング”とは?
「ウンチ」は“臭い”“汚い”だけじゃない、猫の健康を知るバロメーターなのだ!
監修いただいたのは…
東京農業大学 農学部動物科学科 動物行動学研究室 教授
内山 秀彦先生
麻布大学 動物応用科学専攻修了(博士)
ヒトと動物の関係学会 常任理事
主な専門は「ヒトと動物の関係学」。 特にアニマルセラピーによる癒やしのメカニズムや猫と人との関係について研究している。