【獣医師監修】チワワの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!
公認犬種の中ではもっとも小型のチワワ。
ぶるぶる震えてどこかか弱そうなイメージがありますが、いえいえ、大きな犬にも向かっていくほど勇敢で犬らしい面をもち合わせているのがチワワです。源流はメキシコのトルテカ文明、アステカ文明にあるというのが有力説。
今回は、小さな体に大きな謎を秘めたチワワをご紹介しましょう。
公認犬種の中ではもっとも小型のチワワ。
ぶるぶる震えてどこかか弱そうなイメージがありますが、いえいえ、大きな犬にも向かっていくほど勇敢で犬らしい面をもち合わせているのがチワワです。源流はメキシコのトルテカ文明、アステカ文明にあるというのが有力説。
今回は、小さな体に大きな謎を秘めたチワワをご紹介しましょう。
目次
チワワの入手先
チワワを迎えるときの費用相場は?
原産国:メキシコ
チワワの起源については、①メキシコのトルテカおよびアステカ文明時代に生存していたとされる「テチチ」という犬を小型化したもの、②スペイン軍がメキシコに侵攻した後、スペイン人がもち込んだ犬が基になった、③中国人がもち込んだ顔の短い犬から派生した、などいくつかの説があります。
有力とされるのは①のテチチ説で、特に貴族にとっては大切な犬だったらしく、死者が出ると冥界へのお供として一緒に埋葬されたといいます。
数百年以上の時を経て、1800年代後半にメキシコのチワワ州を訪れたアメリカ人が小さな犬を目にし、物珍しさもあってかアメリカに連れて帰るようになります。
やがて1920年代頃になると世間に知られるようになりますが、徐々に眼が大きく、マズルの短い犬へとかつての姿を変えていました。
メキシコでの呼び名は、「チワウェーニョ(CHIHUAHUEÑO)」。本国では今でも多くの愛好家がいます。
チワワの最大の特徴は、公認犬種の中でもっとも小型であるということ。
歴史的には、祖先犬たちが宗教的儀式や食用に用いられていたと考えられている点も特異的です。
また、頭蓋骨の頭頂部のやや前方にある大泉門と呼ばれる部分が、通常は生まれてくる時、または生まれて間もなく閉じるところ、チワワでは開いたままである犬が珍しくないというのも特徴的と言えば特徴的でしょう。
チワワの体高は13cm~20cm、体重は1kg~3kg程度。
チワワは超小型でコンパクトな体形をしています。
スタンダード上、特にオス犬では側望した時に体高と体長の比率がスクエア気味であることが望まれていますが、実際には脚が長めのハイオンタイプや、逆に短めのドワーフタイプが存在します。
頭部は丸みを帯びたアップルヘッドで、はっきりしたストップがあり、マズルは短め。大きく丸い眼はやや離れてついています。
被毛はスムースコートとロングコートの2種があり、ロングコートでは前胸や耳、脚の後ろ側、尻尾、お尻などに飾り毛があります。毛色は豊富で、ジャパン ケネル クラブ(JKC)や国際畜犬連盟(FCI)ではマールを除いたすべての色調と組み合わせを認めています。
チワワは超小型ながら活動的な犬です。
家族に対しては愛情深く、ファミリードッグとしての資質を十分備えていますが、一方で、警戒心ももち合わせ、番犬とは言わずとも、アラート犬としての役目も果たせます。子どもは少々苦手な犬が多いようなので、特によそのお子さんと接する時には配慮したほうがいいかもしれません。
もっとも、犬種にはそれぞれ傾向的な気質や特性、行動というものはありますが、この犬種だからこういう性格をしていると断言できるものではありません。
最近、犬の行動特性は遺伝と関連するものの、犬種との関連はわずか9%にすぎないという研究結果が発表されました(※1)。
つまり、犬種から行動特性を予測するのは難しく、個々に違いがあるということ。
行動は気質・性格とも関係します。それを考えるならば、代々受け継がれたチワワの良さを引き出してあげられるかは、飼い主さんの育て方、接し方や、環境、経験などが大きく関係するということでしょう。
チワワを迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、動物保護団体・動物愛護センターなどのルートがありますが、その前に知っておきたいこともあります。
それを理解した上で、入手先を決めましょう。
1.「動物の愛護及び管理に関する法律」により、販売者は対象となる動物を直接見せ、飼育方法などについて購入者と対面した上で文書を用いて説明しなければなりません。これを怠る販売者は避けたほうがいいでしょう。
2.2022年6月1日より、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。犬を購入後は、飼い主さんの連絡先などの情報を変更登録する必要があります。
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「令和4年6月1日から開始するマイクロチップ登録制度に関する飼い主の方向けQ&A」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
入手先1
ペットショップで販売される犬は、契約ブリーダー、自社(自家)繁殖の他、多くが生体市場経由で仕入れられた子犬です。
現在、動愛法の改正により、生後56日(8週齢)に満たない子犬子猫は販売できなくなっているので(特例として天然記念物指定を受けている日本犬の場合は生後49日)、子犬の生年月日は確認するようにしましょう。
子犬を選ぶ際には、できれば親犬を見ることができると理想的ですが、ペットショップでは稀と言わざるを得ません。
入手先2
真摯なブリーダーは特定の犬種にこだわりをもって繁殖しており、その犬種についての知識も豊富です。
子犬の価格については、ブリーダー登録サイトは別として、ブリーダーのホームページ上では公開していないケースが多いため、直接問い合わせる必要があります。
予約をすれば見学も可。親犬を見られる率が高い点はプラスポイントです。
なお、場合によっては子犬が産まれるまで数ヶ月待たなければならないこともあります。
入手先3
行き場のない犬はまだまだ多くおり、そうした犬を迎えるのも一つの選択肢です。この場合、すでに成犬であることが多く、老犬である場合も珍しくありません。
入手先としては動物保護団体や各自治体の動物愛護センターなどがありますが、里親になるには一人暮らしや65歳以上の人は不可、その自治体在住者のみなどそれぞれ条件が設けられていることがあるのでよく確認してください。
犬は子犬から飼わなければならないということはありません。成犬でもしつけ直すことは可能です。何より、辛い思いをした分、人の愛情に飢えている犬も多いもの。時間をかけて気持ちが通じ合う一瞬が訪れた時の嬉しさは代えがたい宝となることでしょう。
チワワと暮らしたいと思った時、保護犬の里親になる選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
現在、子犬の価格は以前に比べて大幅に高騰しています。したがって、決して安い買い物ではなく、ましてや一つの命を預かるわけですから、熟考の後、犬をお迎えください。
その結果、チワワを迎えると決めた場合、おおむね以下の初期費用がかかります(商品に関しては一般的なものから少々リッチなものまで含みます)。
チワワを迎える場合の費用の目安
項目 | 費用の目安 |
---|---|
チワワの子犬の価格 | 15万円~ |
狂犬病予防注射 | 3,000円~5,000円程度 |
注射済票 | 500円程度 |
犬の登録料 | 3,000円 |
混合ワクチン(5種~10種) | 5,000円~1万円程度(※2) |
犬用ベッド | 3,000円~5,000円程度 |
サークル・ケージ | 5,000円~2万円程度 |
食器・水飲み・フード(ドライフード1袋)類 | 3,000円~1万円程度 |
トイレ・トイレシート類 | 4,000円~8,000円程度 |
ブラシ・コーム・爪切り類 | 3,000円~8,000円程度 |
首輪・リード類 | 2,000円~6,000円程度 |
おもちゃ類 | 1,000円~3,000円程度 |
合計 | 約3万円~8万円程度+ 子犬の価格 |
※価格はあくまでも目安であり、販売者や子犬の状況、動物病院、商品などの条件によって変動します。
※狂犬病予防法により、犬を迎えてから、もしくは生後91日以上たってから30日以内に狂犬病予防注射を受けることが義務付けられています。ただし、病気や高齢など事情があって接種できない場合は、届け出をすることで免除が可能となります。接種場所は自治体による集合注射と動物病院とがあり、費用に若干の違いがあります。
※2022年6月より環境省管轄の下に新たに始まった「犬と猫のマイクロチップ情報登録」。
狂犬病予防法の「特例(ワンストップサービス)」に参加している市区町村の場合は、この新登録制度にマイクロチップ情報を登録すると、同時に市区町村にも情報が通知され、これをもって狂犬病予防法における登録も済み、マイクロチップが鑑札と見なされます(ただし、別途登録料は必要)。
⇒環境省「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく 犬と猫のマイクロチップ情報登録」https://reg.mc.env.go.jp/owner/microchip_registration_system
チワワに限らず、子犬にとって大事なことの一つが社会化です。
生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」にある子犬は好奇心が旺盛で、いろいろな物事を吸収しながら犬として生きていく上での基礎を築いていきます。
特にこの時期には子犬にとってトラウマにならない範囲で、人や物、音、環境などいろいろなものに慣らすようにしましょう。
また、前述したように、チワワでは大泉門が開いたまま(大泉門開存/モレラ)の場合もあり、そのような犬では頭部への強い刺激は禁物です。間違ってしつけと称して頭を叩くなどしませんように。
その他、チワワは意外に太りやすい傾向にあるので、肥満にならないよう体重管理にも気をつけましょう。
チワワは健康的な犬ですが、超小型犬ゆえに気をつけたい病気もあります。
たとえば、関節疾患や脳の病気、心臓疾患、歯のトラブルなど。
歯の問題は軽くみられがちですが、歯周病は進行すると、細菌によって口腔内に穴が開いてしまう内歯瘻(ないしろう)をはじめ、眼や顎の下など皮膚に穴が開いてしまう外歯瘻(がいしろう)、口腔と鼻腔とを隔てる骨が溶けてつながってしまう口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)、下顎が溶けることによって起こる骨折などにつながってしまうことがあるので注意が必要です。
その他、心臓病や肝臓病など他の病気に悪影響を与えてしまうこともあります。
チワワは口が小さいため歯が密集して生えており、歯垢・歯石がたまりやすいので、子犬の頃から歯磨きに慣らし、歯の健康を守るようにしましょう。
子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
血中の糖分が著しく低下することで、元気喪失や痙攣などが見られる。特にチワワのような小型犬の子犬はなりやすいと言われる。
膝のお皿の骨(膝蓋骨)が大腿骨の溝から外れてしまう関節疾患。
脳室内に脳脊髄液が過剰に溜まることで脳が圧迫され、活動性や学習能力の低下、歩行障害、痙攣などが見られるようになる。
抱いていて落とす、高いところからの飛び降り、走り回っていて壁に激突する、間違って踏みつけるなどの状況で骨折することがあるので注意を。
チワワは体高が低い分、地面からの反射熱を受けやすい上、子犬はより熱中症になりやすい。
そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。
左心房と左心室の間にある僧帽弁が加齢や他の心臓疾患によって変性し、うまく働かなくなることで血液が逆流してしまう。
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。
認知症に関連する行動が一つ以上見られたのは、12歳の犬で53%、13歳で70%、15歳では86%という調査報告もある(※3)。食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛犬の行動にも注意を。
⇒【獣医師監修】犬の熱中症は危険!応急処置と危険な状況別の対処法
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/645⇒【獣医師監修】犬の認知症の症状とは?予防のコツや介護方法も解説
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/891チワワの平均寿命は14歳~16歳程度と言われます。
参考までに、東京大学の研究チームがペット霊園のデータを使用して行った日本の犬の平均寿命に関する調査(2018年発表)では、チワワでの平均寿命は11.8歳、死亡時の最高齢は21.7歳でした(※4)。
また、同様に一般社団法人 東京都獣医師会霊園協会がペット霊園のデータ(2012年~2015年、1万3,516頭)を基にした調査では、チワワの平均寿命は11.6歳と東京大学の調査結果とほぼ同じですが、シー・ズーやパピヨンなど他の小型犬に比べると短い寿命でした(※5)。
チワワは超小型犬なので飼育費用や飼育スペース、運動量、飼い主さんの体力的負担など少なくて済みますが、その反面、怪我や病気、肥満など配慮したいことがあります。
ありがちなのは、運動は室内だけで十分だろうと勘違いしてしまうこと。たとえ小さくても犬は犬、社会化や精神の健康のためには散歩・運動が必要です。無理のない範囲で、できるだけ外に連れ出してあげましょう。
また、可愛さからつい抱いていたくなりますが、抱き癖をつけると自分で歩かない、飼い主さんに守られているという意識から他人に対して厳しい態度に出るようになるというようなこともあるので、適度な距離を保つことも必要でしょう。
チワワは小さくても犬らしい犬です。どうぞ彼らの犬としての欲求を満たしてあげながら、楽しいチワワライフをお送りください。
(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)
※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度などには個体差があります。
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2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。