【専門家監修】子猫へのフードの正しい与え方は?週齢別にフードの適切な量や頻度、選び方を紹介
子猫から成猫に成長するまでの過程では、その食生活にも変化が伴います。
しかし、いつからどんなものをどのように与えたら良いのか、悩んでしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、愛猫に負担をかけることなく上手に食事を切り替えていくポイントや、おすすめの子猫用フードをご紹介します。
子猫から成猫に成長するまでの過程では、その食生活にも変化が伴います。
しかし、いつからどんなものをどのように与えたら良いのか、悩んでしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、愛猫に負担をかけることなく上手に食事を切り替えていくポイントや、おすすめの子猫用フードをご紹介します。
目次
生後1カ月くらいまではミルクのみで育ちますが、その後は乳歯が生えはじめ、フードに興味もわいてくるようになります。このタイミングで少しずつ子猫用のドライフードに切り替えていきましょう。
フードは“子猫用”と表示のあるもの、かつ子猫の成長に欠かすことのできないビタミンやミネラル類、タンパク質等がバランス良く含まれている「総合栄養食」を選びます。
ミルクから卒業したばかりのこの時期の子猫には、お湯でふやかし、やわらかくしたドライフード(離乳食)を与えます。
一度にたくさんの量は食べられないので、はじめはほんの一口からスタート。警戒して食べられない子猫には、飼い主さんの手のひらに乗せてあげると良いでしょう。
ミルクの併用もしながら、1日の給餌量を5~6回ほどに分けましょう。
ふやかしたドライフードをしっかりと食べられるようになり、体重も順調に増えているようであれば、少しずつ普通の硬さのドライフードへ切り替えていきましょう。
やはりここでも、ドライフードは子猫用のもの、かつ「総合栄養食」を選びます。
突然ドライフードに切り替えるのではなく、少しずつシフトしていくのが大切です。はじめのうちはふやかしたドライフードと混ぜたり、ウェットフードを少し足してあげると良いでしょう。
体も大きくなり食欲旺盛になりますが、やはりまだ胃は小さいため、一度に食べられる量は多くありません。1日3~4回に分けて与えましょう。
食欲旺盛な子猫に欲しがるだけ与えて良いものか?反対に、食の細い猫がしっかりと必要な栄養素を摂取できているのか?など、子猫には一日にどのくらいの量のフードを与えるべきなのか、判断ができないこともあるのではないでしょうか。
市販のフードには給餌量が記載されていますが、これもあくまでも目安なので、わからないときは獣医師に相談するのがベスト。動物病院では、月齢や体重、日頃の運動量などから一日に必要なフードの量を算出してくれます。
肥満や栄養不足を防ぐためにも、愛猫にふさわしいフードの量を把握しておくことをおすすめします。
おおよその目安としては生後12カ月ほどで成猫用フードに切り替えますが、体重や日頃の食事の様子などによって違ってきます。
例えば、食が細い子猫や理想的な体重まで増えていない子猫には、高カロリーの子猫用フードを続けてもOKですが、食欲旺盛で体重が増えてしまいがちな子猫には、早めに成猫用フードへの切り替えを検討しても良いかもしれません。
飼い主さんでは判断が難しいときは、こちらもぜひ動物病院へ相談をしてみましょう。
どんなに食欲旺盛で元気に食べてくれても、一気に食べることは嘔吐や体調不良を招きかねません。
ガツガツと食べてしまいがちな子猫には、一口ずつ与えるなど工夫をしながら、ゆっくりと消化できるようにしましょう。
離乳食に切り替えるタイミングで、水分摂取もミルクから水へシフトしていきます。
腎臓ケアが大切になる猫にとっては、水分補給は非常に重要。いつでもきれいな水が飲めるよう、飼い主さんも心がけましょう。
ミルクから離乳食へ切り替えたり、はじめてのフードを与えたタイミングで、万一下痢や嘔吐などが見られたらフードが体に合っていない可能性があります。
一度与えるのをストップし、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。
子猫がフードを食べない理由には、さまざまなものが考えられます。
無理に食べさせるようなことはせず、まずはその理由と適切な対処方法を探ることが大切です。
原因1
猫は環境の変化や慣れない人との接触などによってストレスを抱え、フードを食べなくなってしまうことがあります。食欲低下の他にも、攻撃的になる、グルーミングの頻度が高くなる、などのサインが見られたらストレスの可能性が高いでしょう。まずはその原因を振り返り、できる限りストレスを軽減させてあげましょう。
原因2
体調不良が原因でフードが食べられない可能性もあります。食欲低下以外にも、水も飲まない、下痢をしている、元気がない、などの様子が見られたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
原因3
猫は「いろいろな物を食べられたほうが生存に有利である」と考える、「ネオフィリア」という習性を持ちます。この習性によって、目新しいフードばかりを好んだり選り好みをすることもめずらしくありません。
このようなときはフードをお湯で少しふやかし、香りを引き立たせると食べてくれることがあります。また、風味高いウェットフードを少し混ぜても良いでしょう。
子猫のフード選びにおいて、まずは成長に必要な栄養素がバランス良く含まれているかが大切です。必ず「総合栄養食」を選びながら、成分表示の確認も忘れずに。
高カロリーで、品質の良い動物性のタンパク質が豊富に入っているものをおすすめします。
人間と同じように、合成添加物は将来の発病リスクを高め、猫の健康寿命に影響すると言われています。
また肉食である猫は、穀物の消化吸収が上手にできません。特に消化機能が発達していない子猫には穀物を使ったフードは避けたほうが良いため、無添加、かつ穀物不使用(グレインフリー)のものが安全と言えます。
「総合栄養食」がメインとなるドライフードは栄養が豊富で、長期保存も可能なためとても便利です。一方ウェットフードは栄養の補助的な役割を果たす「一般食」が多いので、それだけでは必要な栄養は摂取できないものが多いですが、風味豊かで嗜好性が高く、食が細い猫や水分を多く必要とするときにはおすすめ。 栄養バランスが良くどちらも安全なものであれば、上手に併用しても良いでしょう。
猫のフードにも、肉をメインにしたものと魚をメインにしたもの、それぞれが販売されています。好みもありますがどちらもおいしく食べられるようであれば、あまり偏ることのないようバランスよく選んであげるのがおすすめ。 猫の食事に対する好みは生後6カ月頃までに決まると言われているため、子猫のうちにバリエーション豊かな食事ができると良いでしょう。
子猫にとってはじめてのフード。成猫になるまでのとても大切なこの時期に、しっかりと成長をサポートしてあげましょう。十分な栄養素はもちろん、飼い主さんが信頼のできる、安全性の高いフードを選んでみてください。
毎日のおいしいごはんですくすくと成長──。
そんな愛猫の姿は、飼い主さんにとってもうれしいものですね!
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監修いただいたのは…
2018年 東京農業大学 農学部動物科学科 動物行動学研究室 教授
内山 秀彦先生
麻布大学 動物応用科学専攻修了(博士)
ヒトと動物の関係学会 常任理事
主な専門は「ヒトと動物の関係学」。
特にアニマルセラピーによる癒やしのメカニズムや猫と人との関係について研究している。