【専門家監修】子猫へのミルクの正しい与え方は?作り方や回数、卒乳時期などを解説
生後4週頃までの子猫には、高脂肪・高タンパクといったたっぷりの栄養が必要です。
母乳には細菌やウイルスなどから身を守る免疫抗体が含まれ、母猫と暮らす猫であれば母乳を与えるのがベスト。しかし母猫がいない子猫でも、飼い主さんが市販のミルクで十分に栄養を与えることができます。
ここでは、子猫へのミルクの飲ませ方や適量、注意点などをご紹介します。
生後4週頃までの子猫には、高脂肪・高タンパクといったたっぷりの栄養が必要です。
母乳には細菌やウイルスなどから身を守る免疫抗体が含まれ、母猫と暮らす猫であれば母乳を与えるのがベスト。しかし母猫がいない子猫でも、飼い主さんが市販のミルクで十分に栄養を与えることができます。
ここでは、子猫へのミルクの飲ませ方や適量、注意点などをご紹介します。
目次
ミルクを与える前に排泄を済ませておくと、子猫のお腹がすっきりしてミルクが飲みやすくなります。
ただし子猫は生後3~4週頃まで自力で排泄することができません。母猫と暮らす場合は母猫がおしりを舐めて排泄を促しますが、そうでない場合は、飼い主さんがお湯で濡らしたティッシュやガーゼなどを使って、子猫のお尻を優しく刺激してあげましょう。
哺乳瓶は耐熱のものを選び、使用するごとにしっかりと洗浄・煮沸をしておきましょう。使い捨てのできるシリンジやスポイトも便利ですが、子猫の口の中に含ませ過ぎて誤嚥を起こしてしまうリスクがあるため、まずは哺乳瓶を使用するのが安心です。
子猫に与えるミルクの温度は、人肌かそれより少し温かめ(36~38度程度)が適温です。
冷えたミルクは、子猫にとっては下痢などのリスクがあるためとても危険。適温をキープしながら哺乳ができるよう、お湯を入れたマグカップなどで温めながら与えるようにしましょう。
子猫にミルクを与えるときは、人間の赤ちゃんのように仰向けにせず、腹ばいの姿勢にして与えます。軽く後頭部を支えながら乳首をくわえさせますが、このとき子猫が空気を吸ってしまわないよう、乳首をミルクで満たしてから口元に近づけるのがポイント。
子猫が上手に吸いはじめたら、飲みやすそうな姿勢をサポートしてあげましょう。
タオルや毛布で子猫の体を包んであげると飼い主さんも与えやすく、子猫の体を冷えから守る役割もしてくれます。
口からミルクがあふれたり、乳首を避けるような様子が見られたらお腹いっぱいの合図。
哺乳を終わらせ、やさしく背中をさすりゲップをさせてあげましょう。
子猫の週齢や体重によって与えるミルクの量や頻度は違います。
ミルクのパッケージ等に記載されている量が目安になりますが、獣医師に相談しながら調整していくとより安心でしょう。
子猫に与えるミルクの量・頻度の目安
生まれたて~生後1週間
1回約4~8cc、2~3時間おき(1日40〜80ml)
生後1~3週間
1回約8〜12cc、3〜4時間おき(1日60〜80ml)
生後3週間~1カ月
1回10~20cc、4〜6時間おき(1日80〜100ml)
子猫に牛乳はおすすめできません。牛乳には「乳糖」という成分が含まれますが、子猫はこの「乳糖」を分解する酵素を持っていないため、牛乳を飲むと下痢を引き起こしてしまうリスクがあります。
子猫には必ず子猫用ミルクを与えるようにしましょう。
猫用ミルクにはさまざまなものが市販されていますが、子猫の主食となるミルクと、成猫のおやつとして販売されているミルクがあります。
購入の際に間違えることのないよう、しっかりと表示を確認することを心掛けましょう。
なかなかミルクを飲んでくれないからといって強引に飲ませるのはNG。無理に飲ませることによってミルクが胃からあふれ気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう危険性があります。
また、子猫が欲するからといって、規程量以上のミルクを与えることは消化不良の引き金となります。飼い主さんの判断でミルクを増やすことはせず、毎日の体重管理をするとともに、食欲や日頃の様子などを伝えながら獣医師へ相談しましょう。
ミルクは時間の経過とともに劣化が進んでいきます。新鮮でないミルクを子猫に与えることは非常に危険なため、ミルクを作り置きすることはNG。もちろん、一度与えて余ったミルクも次の哺乳に使うことはできません。
必ず作りたての新鮮なミルクを与えましょう。
哺乳中に鼻からミルクが出てきたり嘔吐などが見られたら、誤嚥の可能性があります。すぐに哺乳を止めて様子をみましょう。もしも呼吸が早くなるようであれば、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。
子猫の歯が生えはじめる生後20日~1カ月ほどから、少しずつ離乳食にシフトしてくのが良いでしょう。
初めてのフードは必ず子猫用のものを選び、お湯などでやわらかくふやかしてあげます。食べられるフードが少量であればミルクで栄養を補いつつ、十分にフードを食べられるようになればミルクは卒業です。
対処法1
哺乳瓶が苦手な子猫もいるため、上手に吸うことができないようであればスポイトやシリンジを使って与えてみましょう。
ただし前述にもあるように、スポイトやシリンジは一気に口の中へ入ってしまい誤嚥を引き起こすリスクもあります。十分に注意しながら哺乳しましょう。
対処法2
子猫がミルクを飲まないときは、子猫にとっておいしく飲める適温になっていない可能性があります。ミルクが冷たすぎないか、反対に熱過ぎないかを改めて確認し、ミルクの温度調整をしましょう。
対処法3
哺乳瓶からミルクを吸い上げる力が弱くミルクが飲めない猫もいるため、乳頭の先端に少し切り込みを入れて、穴を大きくしてあげると飲みやすくなることがあります。
生後1カ月くらいまでの子猫には、かならず「総合栄養食」とされているミルクを選びましょう。猫の初乳に含まれるラクトフェリン入りのものなど、母乳に近い成分で作られたミルクがおすすめです。
また、栄養を補完するための「一般食(副食)」として販売されているミルクもありますが、これだけでは子猫の成長にとって必要な栄養素を摂取することができないので、購入の際には注意が必要です。
子猫のミルクには、粉ミルクと液体ミルクの2種類があります。
粉ミルクは飼い主さんがその都度作る手間がありますが、長期保存が可能でコスパも良いと言えるでしょう。反対に液体ミルクは長期保存には向きませんが、ミルクの調整などが不要で手軽に与えることができます。
成分や栄養価が適しているかを確認したうえで、飼い主さんのライフスタイルに合ったものを選んでみてください。
ミルクは、生まれたばかりの子猫にとって命の源。
そして、一生懸命ミルクを飲む子猫の姿はとても愛おしいものですよね。
十分な栄養を与え、すくすくと健康に育ってほしいものです。
すこやかな成長のためにも非常に重要なこの時期を、飼い主さんが母猫代わりとなって守ってあげましょう。
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監修いただいたのは…
2018年 東京農業大学 農学部動物科学科 動物行動学研究室 教授
内山 秀彦先生
麻布大学 動物応用科学専攻修了(博士)
ヒトと動物の関係学会 常任理事
主な専門は「ヒトと動物の関係学」。
特にアニマルセラピーによる癒やしのメカニズムや猫と人との関係について研究している。