【獣医師監修】犬の歯磨きのコツやおすすめの犬用歯ブラシをご紹介
愛犬の口臭や虫歯など、口内環境が気になったことはありませんか?できればきれいにケアしてあげたいけれど、なかなか上手に磨けないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、上手な歯磨きのポイントやおすすめ歯ブラシをご紹介。ぜひ参考にしてみてください!
愛犬の口臭や虫歯など、口内環境が気になったことはありませんか?できればきれいにケアしてあげたいけれど、なかなか上手に磨けないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、上手な歯磨きのポイントやおすすめ歯ブラシをご紹介。ぜひ参考にしてみてください!
「虫歯になりにくい」とも言われる犬ですが、決してデンタルケアが不要なわけではありません。糖分の多いおやつや人間の食事を食べることなどによって、虫歯になることも珍しくなく、さらに不衛生な口内環境は歯周病を招き、心臓などの臓器に大きな影響が出ることも。犬の歯磨きは、口内をきれいにするだけでなく、そのような深刻な病気を防ぐ効果もあります。
効果①
食べカスなどが口の中に残っていると歯垢となり、やがてそれは石灰化して歯石となります。人間の場合は石灰化するまでに20日ほどかかりますが、犬は3~5日ほどで歯石になり、さらにその歯石を除去するにも全身麻酔が必要…と、愛犬にも飼い主さんにも大きな負担に。
歯垢の段階で定期的に歯磨きをすることによって、このようなやっかいな歯石を予防することができます。
効果②
歯石がたまると、そこに溜まった細菌から出る毒素によって歯茎が炎症を起こし、歯周病を引き起こします。歯周病を放置しているとやがて歯は抜け落ち、さらに悪化すると菌血症によって心臓や肝臓などの臓器に障害が出てしまうことも。そんな恐ろしい歯周病を防ぐためにも、犬の歯磨きはとても大切です。
効果③
犬の歯磨きは、愛犬と飼い主さんとのコミュニケーションタイムにもなります。
たとえそれが上手にできなくても、長い時間でなくても、やさしく声を掛けながら歯磨きを続けることは立派なスキンシップになるでしょう。
「上手にできたね」の一言も、愛犬にとってはとてもうれしいご褒美になります。
効果④
普段から口や顔まわりに触れられることに慣れておくことで、動物病院での歯科検診や診察がスムーズにできるようになることがあります。いざというときの練習という意識で歯磨きを習慣にしていくのも良いでしょう。
人間用の歯ブラシと同じように、犬用の歯ブラシにも「超小型犬用」「小型犬用」「大型犬用」などのサイズバリエーションがあります。また、ヘッドの形や毛の柔らかさなどもさまざま。
例えば、トイプードルやチワワのような小型犬には丸型ヘッドのものを。大型犬にはヘッドの大きなものを選ぶなど、愛犬の体格や口の大きさなどに合わせて、適したものを選びましょう。
犬の歯磨きアイテムはスティックタイプの歯ブラシだけではなく、指サックタイプやシートタイプもあります。
はじめての歯磨きはシートタイプから練習していき、慣れてきたら徐々にブラシを使って磨くなど、愛犬にとって歯磨きが負担にならないよう工夫をしましょう。
飼い主さんの指に巻き付けて、そのまま歯を磨くことができる歯磨きシートです。
歯磨きデビューしたばかりの、まだ慣れていない犬に適しているでしょう。はじめのうちは抵抗することもあるかもしれませんが、毎日少しずつ、飼い主さんの指で口元を触ってあげるだけでもOK。
慣れてきたら前歯や犬歯から練習を進め、徐々に指の届くところまで磨いていきましょう。このシートタイプは、ちょっと汚れが気になったときなどに手軽にデンタルケアができるため、歯磨きに慣れている犬にも便利なアイテムです。
指サックのように飼い主さんの指にはめることができる歯ブラシです。シートを使ったデンタルケアに慣れてきたら使いはじめるのが良いでしょう。シートタイプと同じ要領で磨きますが、先端がブラシになっているため、シートよりも歯の細かい部分に付いた汚れも落とすことができます。
人間の歯ブラシと同じようなスティックタイプの歯ブラシで、歯磨きに大きな抵抗がない犬におすすめです。指では届かない奥歯まで磨けるのがうれしいポイント。ただし、抵抗されたときに喉に触れてしまったり、犬が噛んで歯ブラシが壊れてしまうなどの危険性もあるため、少しでも嫌がる場合はスティックタイプは控えたほうが良いでしょう。
指の中に入れるシートタイプや指サックタイプのものは、誤飲事故に十分注意が必要です。シートは口の中で破れてしまうようなことのない丈夫な素材のものを。また、指サックタイプであれば、指から外れてしまわない安全設計になっているかを必ず確認しましょう。
また、犬の口内は非常にデリケートなため、ブラシはなるべくやわらかいものを選ぶのがベストです。
Point①
スティックタイプの歯ブラシは鉛筆を持つように持つのがGood。余計な力が入りづらく、細かいところまで磨きやすくなります。指サックタイプであれば、外れないよう安全に装着できているかを必ず確認しておきましょう。
Point②
歯と歯ぐきの境目に45度の角度でブラシを当て、横方向に小刻みに動かしながら、1本ずつみがいていきます。愛犬の好みの歯磨き粉を使ってあげると、愛犬にとってもお楽しみタイムになるかもしれません。
Point③
嫌がるときは決して無理に奥歯までブラシを入れず、前歯や犬歯だけで終わらせてOK。磨き終わったら、たっぷり褒めておやつを与えましょう。歯を磨いたばかりですが、歯磨きが嫌なものであるという記憶にさせないことがまずは大切なので、ここでのおやつは◎です。
Point④
犬の歯磨きの頻度はできれば毎日が理想的です。毎日は難しい場合でも、歯垢の石灰化を防ぐためには、少なくとも3日に1回は磨いてあげると良いでしょう。
犬の口内環境だけでなく、健康管理のためにもとても大切な歯磨き。
スキンシップをとりながら病気の予防までできてしまう、いいことだらけの習慣ですね。愛犬にとっても、飼い主さんとのうれしい時間になるよう工夫しながら、毎日のデンタルケアを続けてみてください!
犬注目記事
子犬を迎えたなら知っておきたい「子犬に多い病気、気をつけたい症状」
背骨の骨同士の間にある椎間板が変性・変形することで神経症状を引き起こす「椎間板ヘルニア」を知る
膝の骨がずれて跛行する関節疾患「膝蓋骨脱臼」を知る
脳神経細胞の一時的障害によって発作が起こる「てんかん」を知る
猫注目記事
子猫を迎えたなら知っておきたい「子猫に多い病気、気をつけたい症状」
猫の皮膚病、それ放っておいても大丈夫?
毛布をはむはむ、ちゅぱちゅぱ… 猫の“ウール・サッキング”とは?
「ウンチ」は“臭い”“汚い”だけじゃない、猫の健康を知るバロメーターなのだ!
監修いただいたのは…
2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医 獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。