猫の涙やけの原因とは?病気の可能性や対処法まで解説
目から溢れた涙によって、目のまわりの被毛が赤茶色に変色してしまう涙やけ。放置すると、濡れた被毛に細菌が繁殖して皮膚炎を起こしたり、目やにの異常や異臭といった症状があらわれることもあります。
ここでは、そんな涙やけの原因や対処法などをご紹介します。
目から溢れた涙によって、目のまわりの被毛が赤茶色に変色してしまう涙やけ。放置すると、濡れた被毛に細菌が繁殖して皮膚炎を起こしたり、目やにの異常や異臭といった症状があらわれることもあります。
ここでは、そんな涙やけの原因や対処法などをご紹介します。
そもそもなぜ涙やけを起こすほど涙が溢れ出てしまうのでしょうか。
それは、何らかの原因によって涙の分泌量と排出量のバランスが崩れてしまう「流涙症」が引き金になっています。
そしてその「流涙症」の原因には、
①涙の分泌量が増加すること
②分泌された涙がスムーズに排出できないこと
の2つがあげられます。
原因①
結膜炎や角膜炎・眼瞼内反症などの目の疾患や、いわゆる「猫風邪」と呼ばれるウィルス性の疾患によって涙の量が増えることがあります。また、被毛が目の中に入ってしまったり、他の猫とのケンカで傷を負っているなど、外的な刺激を受けることも涙の分泌量が増える原因となります。
原因②
本来涙は「鼻涙管」という目と鼻をつなぐ管を通って鼻へ排出されますが、その鼻涙管が詰まったり狭くなる「鼻涙管閉塞」を起こすと、分泌された涙がスムーズに排出できなくなります。
「鼻涙管閉塞」には、ペルシャやスコティッシュフォールド、ヒマラヤンなどのように、涙管が生まれつき狭いために起こる先天的なものと、ウィルス性の疾患による炎症や腫瘍などによって鼻涙管が狭くなる後天的なものがあります。
目の周りが塗れていて被毛が赤茶色に変色している、ドロッとした目やにや目の周りの臭いが気になる、猫が目の周りをしきりにこする、などの異変を感じた場合は、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。
動物病院では、鼻涙管内の検査などをしながら流涙症の原因を突き止め、その状況によって適切な処置が施されます。
自宅では、涙をこまめに拭いてあげることが大切。ティッシュペーパーは目の表面を傷つけてしまうおそれがあるため、コットンやガーゼを使ってやさしく拭き取ります。
涙やけによって目のまわりの被毛が固まっている場合は、濡らしたコットンやガーゼでふやかしたあと、目の細かい小さなコームなどでとかしてあげると被毛がきれいになります。
涙やけそのものは、溢れてくる涙をこまめに拭いてあげることである程度防ぐことができます。洗浄成分の入った猫用のアイクリーナーを使用するのも良いでしょう。
しかし、根本的な予防策としては、涙やけの原因となる流涙症への治療が必要と言えるため、どのようなアプローチが適切かを獣医師と相談するのが良いでしょう。
角膜の保護やごみを洗い流すなど、猫の目の健康を守るうえでは不可欠な涙ですが、その分泌バランスが崩れると涙やけの原因ともなりかねません。
飼い主さんによるこまめなチェックとアイケアで、いつもきれいで健康な目もとをキープしてあげましょう。
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監修いただいたのは…
2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医 獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。