【専門家監修】子犬の噛み癖~その理由や対処法をご紹介~
子犬と遊んでいるときに手を噛まれた…そんな経験をしたことはないでしょうか。
痛い思いをしたり、ときには大切なものがボロボロになってしまったり、飼い主さんを困らせてしまうこともあるでしょう。そんな子犬の“噛む”について、その理由や対処方法などを詳しくご紹介します。
子犬と遊んでいるときに手を噛まれた…そんな経験をしたことはないでしょうか。
痛い思いをしたり、ときには大切なものがボロボロになってしまったり、飼い主さんを困らせてしまうこともあるでしょう。そんな子犬の“噛む”について、その理由や対処方法などを詳しくご紹介します。
理由①
元来狩りをして暮らしていた犬には、獲物を追いかけて捕らえる狩猟本能が備わっていて、遊びを通してその欲求を満たしています。そのため、目の前にある動くものや一緒に遊んでいる飼い主さんの手などを、遊びの一環で噛むことがあります。
理由②
子犬は生後1ケ月ごろから乳歯が生え始め、生後6~7ケ月ごろには永久歯に生え変わりますが、この生え変わりの期間は口の中がむずむずとかゆい感覚を持ちます。そんな違和感を解消させるために、家具などを噛むことがあります。
理由③
興味のわいたものを口の中に入れて感触を確かめたいという好奇心から、身の回りのさまざまなものを噛むことがあります。
子犬にとって「噛む」という行為は、初めて見るものを確認したり、遊びたい欲求を満たす自然な行動で、健全に成長していくためには欠かせないことです。犬にとっては噛んで良いものと悪いものの区別はつかないので、飼い主さんにとって望ましいもので噛んで遊ぶ習慣を持つよう、環境を整えてあげることが重要です。
前述のように、子犬は生まれ持った本能や、「歯の入れ替わり」をきっかけとした生理的な理由からさまざまなものを噛むため、その行為自体をNGとしてしまうとストレスが溜まってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、噛んでも良いおもちゃを与えたり、飼い主さんが一緒に遊んであげるなどして、“噛む欲求が満たされる”環境を作ってあげましょう。また、噛んでも良いものとそうでないものの区別を、わかりやすくつけておくことも大切です。衣類は愛犬の手の届かないところに収納したり、噛まれては困る家具には近づかないよう柵を設けるなど、お互いのストレスを軽減させる工夫をしましょう。
犬は、100センチ以内の場所に焦点が合わせづらいため、ぬいぐるみなどのような手で持つ場所が少ないおもちゃだと、間違って手を噛んでしまうことも。そのため一緒に遊ぶときは、持ち手を十分に離すことのできるロープのようなおもちゃで遊ぶと良いでしょう。
また、犬はお互いにじゃれ合いながら甘噛みをすることも好むので、パペットなどでその相手となってあげるのも良いでしょう。飼い主さんの手がスッポリ隠れるパペットであれば、手を噛まれることなく、犬の楽しさを満たしてあげることができます。
甘噛みは、子犬にとって飼い主さんと一緒に遊びたいという気持ちの表れです。そのため、叱ることは飼い主さんとコミュニケーションを取りたいという気持ちを拒否することになり、お互いの関係が悪化してしまいます。特に、怒鳴ったり叩いたりすると恐怖心から自分の身を守ろうとして本気で噛むようになる可能性があるので、絶対にしてはいけません。
犬は動いているものを噛んで遊びたくなるので、手などを噛んできたら手を後ろに隠し、動きを止めましょう。
家具などに関しては噛んでから止めさせるのではなく、「近くに置かない」「近づかせない」といった噛まれないための予防を。まずは、遊びを通して“噛みたい”欲求を日頃から満たしておくことが大切です。
ビニールやキャップなど、飲み込んでは危険なものを口にしたときは、叱って取り出そうとするのではなく必ずご褒美と交換しましょう。その際、ご褒美を持って犬に近づくのではなく、犬から距離をとって犬の近くにご褒美を投げます。くわえているものを口から出してご褒美を食べだしたら、出したものから遠ざけるようにご褒美を投げて、十分な距離が取れてからそっと回収するようにしましょう。
子犬の頃の噛み癖は、日頃から十分に噛む機会を与えれば、徐々にその頻度は減っていきます。知育玩具やロープなどのおもちゃを活用して、飼い主さんにとっても望ましいもので噛む欲求を満たしてあげるように習慣づけましょう。
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監修いただいたのは…
ドッグトレーナー / 学術博士 鹿野 正顕先生
麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家やドッグトレーナーの育成を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立。犬の飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、ドッグトレーナーとしても指導にも携わっている。2009年には世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得。
スタディ・ドッグ・スクール 代表 株式会社 Animal Life Solutions (ALS)代表取締役社長 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事長 理事・事業企画委員動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed)