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猫に寄生したダニの駆除方法とは?原因から危険性まで解説

猫に寄生したダニの駆除方法とは?原因から危険性まで解説

ダニはかゆみなどの皮膚症状を引き起こすだけでなく、さまざまな病気の媒介になることもある害虫です。愛猫はもちろん、飼い主さんのためにも万全なダニ対策をしておきたいものですね。
そこで今回は、猫に寄生するダニについて、駆除方法や予防策などをご紹介します。

1.猫に寄生するダニとは

猫に寄生するダニとは

マダニ

マダニは、地上1m程度の高さの植物で動物や人間を待ち伏せをし、皮膚に噛み付いた後にセメント物質を分泌して固着します。吸血前の体長は3〜8mmほどですが、吸血をする約10倍の大きさになることも。春から秋にかけて活発化すると言われていますが、緑が多い場所や温暖な気候、適度な湿度があれば冬でも活動できるため、寒い時期でも油断はできません。
さらにマダニは吸血するだけではなく、動物や人間に害のあるさまざまな病気の媒介になることもあり、ダニの中でも非常にやっかいなものと言えます。

ヒゼンダニ

ヒゼンダニは体長と0.2mm前後と非常に小さく、動物の皮膚に穴を掘って寄生し、皮脂などを餌に生息します。強いかゆみや発疹をともなう「疥癬」を引き起こすことがありますが、この「疥癬」は感染力がとても強く、まれに人間へ感染することもあります。

ミミヒゼンダニ

ミミヒゼンダニは体長0.3mm前後の小さなダニで、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に寄生。耳垢や耳から出る分泌物を餌に生息します。
「耳ダニ症」や「耳疥癬(みみかいせん)」と呼ばれる病気を引き起こすことがあり、発症すると、強い痛みやかゆみからしきりに耳をかいたり、壁や床に耳を擦りつけるといった仕草が見られます。

ツメダニ

さまざまな種類のあるツメダニですが、猫に寄生するのは主に「ネコツメダニ」という種類です。体長は約0.4~0.5mmで、白っぽい色が特徴。頭に付いた巨大なかぎ爪を使って動物の皮膚に寄生します。「ツメダニ症」と呼ばれる病気を引き起こすことがあり、大量のフケや湿疹や脱毛、さらに人間が咬まれると、強い痛みやかゆみが生じる「ダニ刺咬性皮膚炎」になることがあります。

2.猫にダニが寄生する原因

ケース①

屋外で

ダニは、緑の多い草むらをはじめ屋外に多く住みついているため、外へ出ることのある自由飼育の猫は寄生リスクが高まると言えるでしょう。また、室内飼いの場合でも、ベランダや玄関先など外の環境と近い場所は寄生リスクが高まります。

ケース②

家の中で

快適な室温や湿度を保つことのできる室内は、カーペットや布団などにダニが住みつきやすい環境でもあり、外に出ない猫でもダニが寄生してしまうことがあります。

ケース③

同居している犬や人から

同居している犬が散歩に出た際に寄生して、そのまま家に持ち込んでしまうこともあります。また同様に、飼い主さんの服や体に付いたまま家に持ち込むことで、猫に寄生することがあります。

3.ダニの寄生が引き起こす感染症

ダニの寄生が引き起こす感染症

前述にもあるように、猫に寄生する4種類のダニの中でも、重篤な症状の出る感染症を引き起こす可能性があるのがマダニです。ここでは、マダニが媒介する危険な感染症をご紹介します。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

人間も感染する場合があり、発熱・嘔吐・下痢・倦怠感などの症状がみられます。 最悪の場合、命を脅かす危険性もあり、特に猫が感染した場合の死亡率は非常に高いと言われています。特効薬はないため、できるだけ迅速なマダニ駆除対策が重要となります。

猫ヘモプラズマ感染症

マダニやノミなどの咬傷から、猫ヘモプラズマ感染症の病原体が猫の赤血球に感染。それにより赤血球が破壊され、貧血を引き起こします。発熱・食欲不振・脱水症状、さらに歯茎や白目の色が薄く変色する「可視粘膜蒼白」などが見られることもあります。

ライム症

マダニが媒介する「ボレリア」と呼ばれる細菌の一種が引き起こす感染症です。猫が発症した場合の症状としては、元気や食欲の減退、発熱などですが、人間にも感染・発症する可能性があり、その際は発熱・悪寒・筋肉痛・頭痛・関節痛・倦怠感などの症状が見られます。

4.猫に寄生したダニの駆除方法

もしもダニが寄生してしまったら、できるだけ早く動物病院へ連れていき、駆虫薬の投薬など適切な処置をしてもらいましょう。自宅でダニをつぶすなど、自己判断のケアはNG。ダニによる被害を広げてしまう危険性があるため、獣医師による駆除が必要です。

5.猫にダニが寄生しないための予防法

猫にダニが寄生しないための予防法

予防法①

定期駆虫

定期的に予防薬を投与しましょう。市販薬もありますが、動物病院で適切なものを処方してもらうのがベストです。

予防法②

清潔な飼育環境

不衛生な生活環境はダニの被害を拡大させてしまいます。こまめな掃除や洗濯をしながら、清潔な飼育環境を心がけましょう。

予防法③

ブラッシングを念入りに

寄生したダニを完全に取り除くことは難しいですが、定期的にブラッシングをすることで、ダニの早期発見と被害拡大防止につながります。

6.まとめ

愛猫だけではなく、飼い主さんの健康をも脅かすやっかいなダニ。寄生する前にしっかりと予防しておきたいものですね。定期的な駆虫などの予防を心がけ、万全なダニ対策をしておきましょう。

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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