犬・猫・人では必要な栄養素が異なります。例えば、犬は人よりたんぱく質、脂質を多く必要とします。猫は犬より高タンパク食を摂取しているため、ビタミンB6の要求量が多くなります。
人用の食べ物では過剰摂取になる成分も含まれますし、不要な物・中毒を起こすようなものもあります。そして、ドッグフードには、猫に必要なタウリンが含まれておらず必要な脂肪の種類も違うので、猫にはキャットフード、犬にはドッグフードを与えてください。
総合栄養食の基準を満たしたドライフードなら、新鮮な水と一緒に与えるだけで、健康を維持するのに必要な栄養をすべて摂取できます。また種類も豊富なので、ライフステージやアレルギーなど、愛犬・愛猫の体質やライフスタイルなどに合わせて選ぶこともできます。逆にウェットフードは嗜好性が高いので、食欲がないときにいいですね。水分含有量も多く、食事と一緒に水分を摂取できるので、脱水症状の起こしやすい高齢期や、腎臓疾患の心配な猫には特におすすめです。
お湯でふやかすと、香りが出てきて食欲を刺激します。また、ウェットフードやふりかけをトッピングするアレンジもおすすめ。食事場所を変えたり、遊びと絡めてみる方法もあります。食事の前に、散歩や軽い運動を行い、内蔵を活発化してから与えることも効果的です。
フードの種類や室温・運動量によっても水分の摂取量は変化します。「主食がドライフードで、屋外で暮らし、運動量の多い子」と「主食がウェットフード、エアコンで温度管理された室内で暮らし、運動量の少ない子」では後者の方が水分摂取量が少なくなります。また、高齢期はのどの乾きを感じにくくなるために脱水を起こしていることがあります。水分を多く摂取することで老廃物が体外へ排出されやすくなり、循環体液(血液さらさらやリンパの流れをよくする)を増やすことは身体にとって良いことです。水分を摂取しやすい環境(水器や配置など)や工夫も必要です。特に猫は砂漠で生活していた動物ゆえに、水分をあまり摂取しない傾向があります。腎臓疾患に陥る子も多くいるため、普段から水分を多く摂取するように心がけましょう。
多くの内蔵機能疾患では嘔吐が症状の一つとして現れます。消化器官に問題がある場合もあるので、一度診察を受けることをおすすめします。健康上問題がなくても、フードを食べるスピードが速かったり(他の子と競って食べる、空腹時間が長くかつ急激にに摂取する状況)、食べる量が多すぎることも原因として考えられます。その場合は、嘔吐(食べてから時間が経過して吐く)ではなく吐出と言って、食べてすぐにそのままの状態で食べ物を吐き出すことが多いです。また、フードの切り替え時に慣れないフードにびっくりして吐き出してしまうこともあります。
栄養添加物(栄養バランスを整えるため)のビタミン類・ミネラル類・アミノ酸などや、一般的に添加物の認識の高い、フードの品質保持のための酸化防止剤、食欲増進や見栄え向上のための着色料や発色剤などがあります。酸化防止剤ではビタミンC、ビタミンE、緑茶抽出物、ローズマリー抽出物、クエン酸などの自然派成分が注目されています。
犬は決まった時間・決まった回数の方が、犬自身も食事のタイミングがわかりやすくよいですが、あまり時間を神経質に決めてしまうと食事の時間がずれることで犬にストレスを与えてしまうことがあります。目安程度に時間を決めるとよいでしょう。猫は食べ残す子は一日分を1回で与え、その子のペースで食べられるようにしてもいいですが、すぐに食べきってしまい、次を要求する子は回数を分けたほうがいいでしょう。その場合は2回以上になるように気をつけましょう。
避妊・去勢後は基礎代謝が悪くなるため、同じ量を与えていると太ってしまう場合があります。フード量を減らし、様子を見ながら調整していきましょう。
通常、ペットも年齢とともに、運動量が減り、関節や消化吸収能力も弱くなってきます。そうした条件を考慮して開発されているのが高齢犬あるいは高齢猫用フードです。また、高齢期にはいると1度にたくさんの量を摂取できなくなる為、カロリーの密度も高く設定されており、少量でも十分な栄養素が摂取できるように配慮されています。
成長期 | 維持期 | 高齢期 | |
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小型犬 | 9~12ヶ月まで | 1~7歳まで | 7歳~ |
中型犬 | 9~12ヶ月まで | 1~6歳まで | 6歳~ |
大型犬 | 18ヶ月まで | 1.5~5歳まで | 5歳~ |
猫 | 12ヶ月まで | 1~6歳まで | 6歳~ |
たまねぎなどのネギ類には、犬や猫の赤血球に対して毒性のある物質・アリルプロピルジスルフィドという成分が含まれています。これらを摂取すると血中の赤血球の膜を破壊し、その結果、貧血や黄疸を起こしたり、赤い色の尿を出したりします。また、過熱しても破壊されないため玉ねぎの成分が溶け出した食品にも注意してください。 |
チョコレートの原料・カカオには心臓の血管や中枢神経に作用する物質・テオブロミンが含まれています。これらを摂取すると神経に作用し、痙攣や嘔吐、下痢、発熱、失禁などを引き起こし、最悪の場合には、ショック状態や急性心不全で死亡する場合があります。犬は甘い物が好きなので盗み食いにも注意してください。 |
生の魚肉や甲殻類には、ビタミンB1を分解する酵素・チアミナーゼが含まれているために、ビタミンB1欠乏症になる可能性があります。犬より猫のほうがビタミンB1の要求量が多いため欠乏症が起こりやすいので注意してください。チアミナーゼは加熱すると破壊されるため、加熱調理して与えれば問題はありません。 |
犬や猫は牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素・ラクターゼが少ないため、乳糖を分解しきれず消化不良による下痢を起こす場合があります。ヨーグルトやチーズは乳酸醗酵により乳糖は分解されています。犬や猫には専用のミルクを与えるようにしましょう。 |
鶏や白身魚の骨を与える際には注意が必要です。牛骨などと比べ、鶏の骨は簡単に折れ、先がとがった状態になるため、消化管に詰まりやすく傷つける場合があります。また、固すぎるヒヅメなどのおやつは、歯が折れてしまうこともありますので十分注意してあげましょう。 |
人間用に加工されて食べ物は、犬猫にとって塩分・糖分などがたくさん含まれています。過剰な塩分摂取は心臓や腎臓に負担となります。また、犬猫は発汗によるナトリウム排出器官が、肉球のみに限定されるため、腎臓への負担が大きくなります。 |
生の卵白に含まれるアビジンは、ビオチン(ビタミンB郡の一種)とだけ結合する物質で、消化管内で結合、腸での吸収を阻害するため、ビオチンの欠乏による脱毛や皮膚炎、成長低下などを引き起こす場合があります。ただし、アビジンは加熱するとビオチンとの結合はしないので、加熱調理すれば問題ありません。 |
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上記以外でも、過剰摂取などにより栄養バランスがくずれたりする食べ物があります。また個体差によるアレルギーもあるので、フード以外の食べ物を与える場合はご注意ください。
食事中に愛犬や愛猫におねだりされて「少しならいいか」と与えてしまいがちな人間用の食事。調味料や食べてはいけない食材が入っていることが多いので与えるのはやめましょう。
観葉植物の中には食べてしまうと中毒症状(嘔吐、下痢、呼吸困難、死亡など)を引き起こすものがあります。肝臓障害から起こる中毒症状がほとんどです。
代表的なものとして
アロエ・・・アントラキノンが含まれていて、下痢を起こします。
サゴヤシ・・・特に種子の毒性が高く、嘔吐、肝臓障害を起こします。
ほかにもアイビー、あじさい、すずらん、シクラメンなど