しっぽは、体のバランスをとる働きをしています。とくに走行中のカーブするときなど、方向転換に合わせてしっぽでうまくバランスをとり、スピードを維持します。高速で走る動物にとって、しっぽはたいへん重要な役割を果たしているのです。
寒いときは、犬は体を丸め、しっぽでくるっと体を包むようにして体温低下を防ぎます。短いしっぽでは役に立ちませんが、シベリアン・ハスキーやサモエドなどの北方系の犬種は、いかにも温かそうなふさふさしたしっぽを持っています。
飼い主さんにとって一番身近なのは、コミュニケーション機能でしょう。うれしいときはぶんぶんと左右に力強く振り、怖いときには元気なく下げて足の間にたくし込み、「やるか!」と攻撃態勢になればピンと立つ。しっぽには、その時々の犬の気持ちが非常によく表れます。犬同士、こうしてコミュニケーションをとり合っているわけです。
では、犬のしっぽはどんな構造になっているのでしょうか。
人と犬は同じ哺乳動物ですから、形こそ違っても、骨の種類はほどんど同じです。そのなかで、骨の数が人と大きく異なるのがしっぽの骨、「尾骨」です。しっぽが退化した人では、尾骨は数個しかありませんが、犬は6~23個あります。この尾椎は先端に行くほど細くなっているので、犬のしっぽは先が尖っているのです。
しっぽは長さも形状もさまざまで、なかには先天的にしっぽがなかったり、断尾する犬種も。代表的なしっぽをいくつか紹介すると・・・。
これ以外にも、まだまだいろんな形状のしっぽがあります。愛犬のしっぽはどんな形ですか?
しっぽは強くぶつけたり、踏まれたりすると、骨折や脱臼することがあります。しっぽのケガで厄介なのは、よく動かす場所なので安静にしておくことが難しいこと。そのため、治りが遅くなりがちです。
元気がなくしっぽが下がったままのときは、肛門周辺にトラブルを抱えていることも。肛門のうに分泌物がたまりすぎていたり、肛門周囲に炎症を起こしていたりすると、かばうようにしっぽを下げていることがあります。
また、「馬尾症候群」でも、しっぽが上がらなくなることがあります。これは犬の腰椎・仙椎の中を走る馬尾神経に障害を起こす病気で、痛みや足腰のふらつき、放置すれば、後ろ足が麻痺することもあります。
犬が自分のしっぽをしつこく追い回していることがありませんか? これもお尻の周辺に違和感を感じているのかもしれません。肛門まわりに炎症がないか、 しっぽやお尻にノミなどの害虫がついていないかチェックを。また、犬が退屈やストレスを感じている時にも、しっぽを追い回します。
最近では、「常同障害」と呼ばれる病気も注目されています。同じ行動を目的もなく繰り返す病気で、自分のしっぽを追い回すのもその一つ。柴犬に多発することが知られています。遺伝的な要因が疑われていますが、まだ解明はされていません。