犬を飼っていく中で「家族の中でワガママになり、咬む犬」が話題になっています。また、都市部やアパートやマンションなどの集合住宅では「犬のムダ吠え問題」が後を絶ちません。今回から2回にわたり飼い犬に起きる行動上のトラブル「問題行動」についてお話します。
飼い主さんの悩みなどを聞いていると「うちの犬が昨日初めて主人を咬んだんです」、「散歩の途中で突然自転車に乗っている人を咬みました」といったように、突発的に愛犬の気が荒くなったり、見境がなくなったかのような印象を受けるものがあります。本当にそうなのでしょうか?
攻撃的な問題など行動上のトラブルの中には、実際に犬の体調が悪いためにおきてしまうものや、長期に渡って進行する脳の腫瘍などのために突然性格が変わってしまうケースもあります。
しかし、こうしたケースはごく少数です。大半は「健康で、それまでまったく問題はない」と飼い主さんが思っていた犬がトラブルを起こしているのです。
それでは、実際にトラブルに発展してしまう犬の行動にはどのような傾向があるのでしょうか。また、どうしていけばそれらの問題を未然に防ぐことができるのでしょうか?
通常「人を咬んだ、吠えついた」といった攻撃的な問題行動は突然始まるものではありません。その兆しや傾向は現われているのに、飼い主さんが見落としていたり、その状況に気づいていない、といったケースがほとんどなのです。
まず、下に「人に対するトラブルに発展しやすい代表的な傾向」をまとめてみました。あなたの愛犬は何項目当てはまるかチェックしてください。もし、該当する点があれば、もう一度その状況を思い返してみてください。
愛犬にこんな傾向ありますか?
飼い主さんに絶対に守っていただきたいのは「うちの犬は危険だ」、「うちの犬には咬み癖がある」などとすぐに決め付けてしまうのでなく、愛犬の性格や傾向に対して、普段からもっと目を向けてあげる、ということです。
なぜなら、うなったり、咬んだりするきっかけや原因が不明のままですと、愛犬と一番親しいはずの飼い主さんにもトラブルを予測することができず、その後には信頼できない相手とビクビクしたまま過ごすことになってしまうからです。
監修:どうぶつ行動クリニック・FAU(ファウ) 尾形庭子先生