健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

犬と遊ぼう 呼び寄せ

今回から4回にわたって実際に犬と遊びながら、愛犬を教育できてしまう、そんな方法をご紹介します。

こうしたやり方をマスターしておくことで、愛犬との生活が楽しさを増し、しかもしつけもできてしまうのです。ぜひ、覚えておいてください。

今回は「呼び寄せ」を応用した遊びをご紹介します。簡単なものばかりですから、ぜひ愛犬と試してみてください。

最初は1~2歩の短い距離から

 犬から1~2歩離れた所で、犬に食べ物を見せながら「○○、おいで」と呼びます。犬が近寄ってきたら、すぐにほめてあげ、その食べ物を与えます。犬がそれを食べたら、また1~2歩離れて同じように「おいで」と呼んでみてください。

これを何度も繰り返して、犬がすぐ来るようになったら、次は食べ物をポケットにしまい、手を叩いたり、床を指でトントン叩くなどの合図音を送って犬を呼んでみてください。それで犬が近寄って来たらポケットから食べ物を出してあげてください。

人間が楽しそうにしてあげる

 人間が軽やかに楽しそうに動きまわると、犬もいっそう楽しくなります。こうして、段々犬から離れる距離を長くしていきます。

 ちょっとわがままになってきた犬でも、こうして遊んでいるといつの間にか、人間の後に従って歩いたり、呼ばれたら従うことを嫌がらなくなり、明るく素直な犬に変身していきます。

家族や友人が数人いるときなら、みんなで輪になって犬を囲み、変わりばんこに犬を呼び寄せ、来たときにはご褒美を上げてください。このやり方ですと、人間はのんびりと腰を下ろしたままで、犬には十分な運動をさせることができます。

犬と隠れんぼ

 また、こんな方法もあります。

誰かに犬を押さえていてもらい、飼い主さんが犬にオモチャや食べ物を見せびらしながら近くに隠れます。始めのうちは隠れた場所から声を出して、犬を呼んであげてください。

慣れてくると黙って隠れても、犬は大好きな飼い主さんが、これまた大好きなオモチャや食べ物を持っていった場所を探し当てようと夢中になります。犬が上手く飼い主さんを見つけたら、その場にいる人皆で大喜びしてほめて上げましょう。見えない人を探す遊びはレスキュードッグをつくる基礎練習にもなっているのです。

障害物で一工夫、犬に自信を

 段ボールでトンネルを作ったり、障害物を置いたりして、犬がどこかをくぐったり、ジャンプしたりとしなければ、呼んだ人の側に行けないように工夫して犬を呼び寄せます。

 犬が怖がるようならば、人が先に立ってジャンプ台をまたいだり、トンネルをくぐったりして、お手本を見せてあげましょう。最初は、犬からあまり離れずに呼んであげた方が犬も安心します。

 こうして、始めて見る物や、ちょっと怖いものをすり抜けて大好きな飼い主さんの後ろに付いて行くことは、犬と人との絆を強くして、犬に自信を与えます。

 普段の散歩道が突然の工事や台風などのために形を変えてしまった、ということは犬の一生の内には必ずあります。

愛犬がどんなものを怖がるのか、どうすれば苦手を克服できるか、といったことを知っておくことは、火事や地震や台風等で愛犬を連れて逃げるときとても役に立ちます。

 また、引き綱をつけていなくても喜んで人について歩き、どんな障害物でも平気になれば、アジリティー競技ににも参加できます。