愛犬のいる暮らしにすっかり慣れ、いつものように過ごしていたら、ふと「あれ?もしかしたら年のせい?」と気づかされる瞬間が来ます。最近は老犬ならではの悩みを抱える飼い主さんが少なくありません。 |
以前は散歩が大好きだったのですが、最近では出かけるのを億劫がります。老犬になったらそれほど散歩に出かけなくてもいいでしょうか。
老犬にとっての散歩は、運動すること以上に気分転換をするためのものという意味合いが強くなります。ですから、散歩をしないとかえって老化が進んでしまう恐れがあり、老犬にも散歩は欠かせません。老犬向けに負担を少なくして工夫と変化を加えれば、筋肉同様に脳も刺激され、老化を少しでも食い止めるのに役立つでしょう。
とりかかりやすいのは、散歩に出る時間帯、回数、コースを変えてみることです。歩く時間帯を変えるだけで今まで知らなかった人や犬に出会ったり、景色の見え方も変わって新鮮に思えることでしょう。また、回数は単に減らすのではなく、一度に長時間歩くことが難しくなるため、今まで1日2回合わせて1時間だった散歩を3回に分けるなどして調整します。
疲れたらいつでも家に戻りやすいように、自宅を中心に周回できるコースを5分、10分、20分と数コース設定しておき、その日のコンディションに合わせて組み合わせるといいでしょう。
散歩中は足腰の老化防止を意識して歩き方にもひと工夫。できるだけゆっくりと歩く、段差が少ない階段を上り下りする、公園の入口にある車止めを大きくジグザグ歩きする、後ろ向きに歩くなどすると、普段使わない筋肉や脳に刺激を与えることができます。ただし、あくまで歩くペースは犬に合わせ、疲れているようならすぐ立ち止まったり公園のベンチで休憩するなど、様子を見ながら行いましょう。
散歩に行く気がなさそうなら、試しに仲良しのワンちゃんを誘ってみましょう。また、散歩時にお気に入りのおもちゃやおやつを持っていくと、お散歩に出たらごほうびがもらえると思ってモチベーションが高まる場合があります。
11歳のオスのコーギーです。トイレは散歩のときにしますが、最近では回数が頻繁になり、そのたびにマンションから連れ出すのは大変です。今より足が弱ってきたらと思うと、家の内でもできるようにしておきたいのですが…。
散歩のときにしかトイレをしない場合、若くて元気なうちはそれで困ることはありません。しかし、老犬になって足腰が弱り、いつまで元気に外を歩けるのかと不安に思いだしたころ、室内で排泄できることの大切さに気づくことが多いのです。
たとえ若い犬でなくても、トレーニングを粘り強く続けることで外から室内へ移行できることもあります。まず手始めに、散歩に出るときにトイレシーツを持って行き、犬が排泄しそうになったらすかさずその場で地面に敷いてみましょう。このときに必ず「ワンツー、ワンツー」などと決まった声をかけます。これをしばらく続けているとしだいにトイレシーツとかけ声が排泄行動に結びついていきます。
次に散歩直前に玄関ドアの内側にトイレシーツを敷き、かけ声をかけて排泄を促してみるのです。すぐに反応しなくても5分、10分待つうちにできることがあります。もしできたらしっかりほめて、そのあと散歩に出るようにしましょう。そうしてトイレシーツを敷く場所を玄関から徐々に部屋の中へ移行させていくといいでしょう。
すでに老犬症状が進んでこうしたトレーニングを行うのが難しそうなら、トイレに行きたくて外に出ようと玄関で吠えている犬にかまわず、あえてその場でおもらしさせます。そうしておもらしをしたら、飼い主が「上手にオシッコできたね」とことさらにほめてあげれば、犬は「そうか、家の中で排泄するのはいいことなんだ」と学習します。玄関やリビングのドアのそばなど、おもらしをしやすい場所にトイレシーツを敷いておくといいでしょう。ただし、もしトイレシーツ以外の場所でしてしまったときでもほめてあげましょう。散歩はトイレのあとで連れていくようにします。
最終的には、犬がおもらしをよくする場所の中で、かつ飼い主にとっても都合のいい場所に限定していければ成功です。
老化の段階が進んで常におもらししたり寝たきりになったら、オムツの着用を考えてもいいでしょう。最近の犬用オムツは機能的に優れ、大きさや種類も豊富ですが、着けっ放しはムレやカブレを起こし、膀胱炎になることもあるので要注意。着けない時間を必ず作ってあげましょう。