健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

技あり!シャンプー123

上手なシャンプーでスッキリ・キレイ
夏の時季はノミやダニなど外部寄生虫への注意が必要です。また、皮膚病を防ぐためにも、丁寧なシャンプーで愛犬や愛猫の被毛や皮膚を清潔にしておいてあげましょう。上手に仕上げるコツを交えながら、基本的なシャンプーの仕方をご紹介します。

ブラッシング

短毛の犬はラバーブラシでムダな抜け毛を取り去ります。 耳の後ろや内股などはコームで丁寧に。

シャンプー前には必ず全身をブラッシング。抜け毛を除去し、もつれをゼロにしておきます。これをしておかないと根元まで洗えないばかりか、もつれが固まり後で取れなくなります。
口の周りや耳の後ろ、内股、首輪があたる部分などもつれが多い場所は特に念入りに。同時に肌の状態や耳の中をチェックしましょう。

毛質に合ったブラシを選ぼう!

湯洗い

全身にシャワーをかけて、大まかな汚れを落とします。ここで大切なのは、根元までしっかりと濡らしておくこと。
あらかじめ濡れていないのにシャンプーをすると、皮膚炎の原因になることもあります。シャワーは後ろ足やお尻から頭へかけていきましょう。いきなり頭や顔にかけるのは、怖がる場合があるので避けます。

お湯が顔にかかるのを嫌がる場合、スポンジにお湯を含ませてふき洗いします。

シャワーヘッドを体に押し付けながらお湯をかけ、根元や地肌まで濡らします。こうすると「ジャー」と音がしないので、犬に安心感を与えます。
お湯が使えるお風呂場がベスト

犬のシャンプーはお湯を使います。適温は38~39℃。この湯温ですと洗浄成分が溶けやすく、体温とほぼ同じ温度のため犬にも違和感がありません。夏場は少しぬるめでもOK。防水性のエプロンや、タンクトップ・短パンといった濡れても大丈夫なスタイルで。じっとしていられない犬なら、濡れてもいいナイロン製の首輪をしておくと便利です。また大型犬のシャンプーはひとりでは大変なので、家族で協力して行いましょう。

シャンプー

犬や猫専用のシャンプーを利用し、2~3倍に薄めて使います。あらかじめ別容器に用意しておくと便利です。シャンプーをつけたら、こすり過ぎないようにゆっくり洗います。ラバーブラシを使ってもいいでしょう。湯洗いと同様、後ろ足やお尻から頭へかけて洗っていきます。肛門腺絞りはこのときに。
 指の間や爪の際まで要チェック。汚れが気になる箇所は部分洗いをします。毛足が長い場合はからまないように注意して。難関の顔は最後に洗います。鼻から遠い部分からゆっくりと。特に嫌がる犬にはシャンプーを含ませたスポンジを用い、やさしく洗います。

指の腹を使ってマッサージするように地肌を洗っていきます。

目やにが固まっていたら、濡れてふやけたところでコームを使い取り去ります。鼻先に向けてとかすようにしましょう。
肛門腺を絞る
おもちゃで気を紛らわす

シャンプーが苦手なワンちゃんには、別の人が横についてお気に入りのおもちゃを振るなどして、気を紛らわせましょう。シャンプー中に優しく声をかけながら、ほめてあげるのも一案ですね。

すすぎ

シャワーヘッドを体につけて根元までしっかりすすぎます。湯洗いとは逆に上から下へ。

シャンプー剤が残らないよう、充分にすすぎます。シャワーの温度は湯洗い同様に38~39℃。指の腹を使いながら、シャワーを頭部からかけ始めて下へ降りていき、最後に足の裏を流します。せっかくすすいだ部分に洗浄成分が落ちてこないよう、必ず上から下へ順にすすぎます。
すすぎにくい内股、脇、お腹、足先などは特に念入りに。ぬめりが残っていないかどうか、指で確認しながらすすぎましょう。このとき足裏にシャンプーが残ってしまいがちなので、チェックを怠りなく。洗い場の下にすのこを敷いておくと便利です。

鼻先を常に上へ

リンス・すすぎ

被毛に輝きとツヤを与えるのがリンス。あらかじめ薄めておいたリンス液をつけながら、手のひらで被毛全体になじませていきます。頭や背中から足へ向かって、上から下へ。お腹の内側も忘れずに。
全体にリンスがいきとどいたら、シャンプー後のすすぎ同様、しっかりとシャワーですすぎます。地肌を指の腹でチェックし、ぬめり感が完全にとれているか確認しましょう。

リンスはあらかじめ分量のお湯で薄めておきます。
手のひらを使ってリンス液をなじませるようにつけていきます。
毛質や肌に合わせてシャンプーを選ぼう

私たち人間同様、犬用のシャンプーにも様々なタイプがあります。シャンプーの配合成分や効果はもちろんのこと、愛犬の毛の長さや質、年齢、肌質などを考慮して、フィットするものを選びます。また、皮膚にトラブルがある場合は必ず獣医師に相談し、アドバイスをもらいましょう。

ドライング

手でなでたり、被毛を軽く絞るなどして、水気を切ります。お風呂場なら、犬自身にブルブルと何度か振わせるのもいいでしょう。まず、吸収性の高いタオルで充分にタオルドライをします。普通のタオルなら、数枚用意しておきましょう。
犬が体を振わせてもしぶきが飛ばないくらいになったら、ドライヤーをかけます。温風を使いますが、熱くなりすぎないよう注意。なるべく風量の多いドライヤーを使う方が早く乾きます。根元まで完全に乾かすことがポイントです。完全に乾いていないと、フケや皮膚炎の原因にもなるので注意しましょう。

タオルは体の上部から足元の順で拭いていきます。毛の上からではなく、根元と地肌をしっかり拭くことが肝心。タオルは何度も交換しましょう。

ドライヤーを毛の根元に当てながら、毛の流れに逆らってスリッカーブラシやコーム、手グシでとかします。冷風をあてて冷たい箇所はまだ乾いていないので、チェックしながら完全に乾かしましょう。
超吸収タイプのタオルを活用
月に一回を目安に

いつも愛犬をきれいにしておきたいといっても、シャンプーをしすぎるのはよくありません。洗いすぎると被毛の油分が減るため、水分をはじく力が落ちます。また、フケの原因にもなり、さらに皮膚に弾力がなくなることもありますので、月に一回程度が目安です。それでも汚れや匂いが気になるようなら部分洗いをしたり、市販のブラッシングスプレーを使うなどしてお手入れします。

自宅でシャンプーするのは、愛犬の体をチェックできるいい機械でもあります。スキンシップを兼ねてトライしてみましょう。