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症状が出てからでは遅い?「猫と犬の腎臓病について」

 「腎臓っておしっこをつくる大切なところでしょう!?」ということは、多分みなさん十分ご存知のことと思います。では、その腎臓の機能がうまく働かなくなった状態である腎不全が、猫や犬の事故以外の主要な死亡原因であることは知っていましたか?そして、なんらかの症状が出てくるのは、腎臓の機能がかなり壊されてしまってからであることを。

  不適切な食事は腎臓に負担をかけ、腎機能の低下を促してしまいます。とくに、高齢の猫では腎臓のケアがとても大切になりますので、まずチェックリストを見て、思い当たることがひとつでもあったら、早めに動物病院にご相談ください。
チェックリスト表(あなたのペットは腎臓病予備軍!?)

腎臓の役割

腎臓は、体にとって不要な代謝産物や有機物を血液から尿へ「排泄」する働きのほか、体に必要な物質を「再吸収」する働きも持っており、体を一定の状態に保つようにしています。さらに、ホルモンを分泌して、血圧の調整や赤血球の生成を行うなど、体全体のバランス調整を行う、とても大切な器官です。

 

腎臓病はどのように進行するの

  腎臓は一部の機能が低下しても、他の部分でその機能を補うといった代償作用を行うために、なかなか臨床症状が現れません。とはいえ、機能が低下した組織は 元に戻ることはありませんので、残された組織は今まで以上に作業を行うことになります。そのため負担がどんどん重くなり、徐々に機能の低下が進んでいきます。

 腎臓の機能がうまく働かず、さまざまな臨床症状が現れるようになった状態を腎不全と呼びますが、これは急性と慢性に分けられます。慢性腎不全は早めに気づくことにより、その進行を抑えることが可能ですので、ここではその慢性腎不全の進行と管理について説明します。

機能している肝臓の割合

症状を改善し腎臓病の進行を抑える食事管理

 いったん腎臓の機能が侵されてしまうと、元の状態に戻すことはできません。しかし、早期の食事の管理と治療によって、その進行を抑えることは可能です。

食事のポイント
蛋白質を過剰に含まない 老廃物を減らすために蛋白質を過剰に与えないようにします。質のよい蛋白質を適切量与えることによって、腎臓の作業量を軽くして尿毒症への進行を抑え症状も軽減します。
ミネラルの制限 カルシウムとリンの過剰は腎不全を悪化させ、ナトリウムの過剰摂取は多飲多尿になります。
食物繊維の増量 腸内細菌を増やして血液中の余分な窒素を減らし、腎臓の負担を軽くします。
脂肪を十分に含む カロリーを十分とって筋肉量を落とさないようにします。オメガ3脂肪酸は腎臓の損傷を和らげます。
電解質バランスを整える 腎不全状態では、アシドーシス(酸性に傾く)がみられ、この状態が続くと、骨量や筋肉量が落ちます。 食物中の電解質の調整や薬によってバランスを整えます。

高齢化とともに腎臓の機能は低下してきます。犬猫ともに7歳を目安にして、腎臓の作業量を減らすような食事管理が必要です。すでに、腎臓の状態が悪化している場合には、獣医師と相談のうえ、適切な特別療法食を与えてクオリティ・オブ・ライフの向上に努めましょう。

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ヒルズのプリスクリプション・ダイエットは、さまざまな病気に対応した特別療法食です。獣医師の診断に基づいてペットの体の状態に合わせた栄養管理が可能です。詳しくは動物病院にご相談ください。

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