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Q&A

アカラスになって困ってます!

家の12才になるプードルの元気がアカラスと言う皮膚病になってしまって、尻尾の皮膚が象の皮状態で猛烈に痒がっています。病院にはもう半年以上通ってるのですが、キレイに治ってきたかと思うとまた再発してしまうの繰り返しなのです…。
老犬になり抵抗力が弱ってきた為と説明されましたが、だんだん広がってきているので可哀相です。
聞いた話なんですが、全身に広がり過ぎてどうする事も出来なくなってしまったら「安楽死」してくれと言う飼い主さんもいるというんです!絶対そんな事しないし、させたくありません!
病院の治療の他に家で出来るアカラスに効くと言うものやアカラスにかかったが今はキレイに治ったという飼い主さん達の情報、良かったらお待ちしています。

アカラスとは毛穴の中に寄生する外部寄生虫で、「毛包虫」、「デモデックス」、
「ニキビダニ」と呼ばれることもあります。この外部寄生虫はほとんどの健康な犬の体に少数寄生しています(常在寄生)が、この場合には皮膚炎を起こしません。

このアカラスが多数増殖寄生すると皮膚炎を起こしてしまいます。アカラスが増殖する原因としては犬の免疫状態、遺伝的な体質、幼犬や高齢犬で体力の低下している状態、甲状腺ホルモンが少なくなってしまっている状態(甲状腺機能低下症)や副腎皮質ホルモンが過剰になってしまっているような状態(副腎皮質機能亢進症)があげられます。また発情やストレスがきっかけとなってアカラス症を発症しまうこともあります。

 幼犬での発症のほとんどは治りますが、老齢になってからの発症は完治することはほとんどありません。このため、治療は生涯必要となることが多いものです。一度治ったように見えても、もともと皮膚に常在している寄生虫なので、再発してしまうことが良くあります。

病院での治療としては、次のものがあります。
 1.アミトラズという殺虫剤を使っての薬浴やこれを薄めたものを塗る。
 2.イベルメクチンという駆虫剤の注射や投薬、ないし皮膚へ塗る。
 3.ミルベマイシン・オキシムというフィラリア予防薬を毎日、あるいは2日に1回投薬。
 4.硫黄を含む、あるいは過酸化ベンゾイルを含むシャンプーでの薬浴

 上記の治療方法はアカラスを駆虫する効果があります。これらの治療方法に加え、細菌の二次感染がある場合には抗生物質、痒みがひどい場合には非ステロイド性の抗炎症薬の投与が必要となってきます。

 また、免疫力をあげるために、免疫賦活剤を投与や、皮膚の状態を良好にするために必須脂肪酸などの補助療法を併用する場合があります。これらの製品は動物病院で取り扱っています。

 この他に先にあげたようなホルモンの異常がないかどうかを検査し、もしそれらの疾患があるならばその治療を行っていくことでアカラスが減少することがあります。

 食事などに対するアレルギーがある場合にもアカラスが増殖する傾向にあるようなので、アレルギー検査を行い、食事内容を変更してみるというのも一つの方法かもしれません。また、検査をしない場合でも品質の良い食事に変更することが勧められます。
 
 最近、様々な栄養補助食品が開発・販売されています。これらの中で愛犬の体質にあったものがあれば、それによって免疫力が増強されるものもあるかもしれません。主治医の先生にご相談し、探してみるのも良いかもしれません。

 代替医療として、ホメオパシーや漢方薬を治療の一環に取り入れている動物病院もありますから、それらの動物病院で愛犬の体、症状にあったものを処方してもらうという方法もあります。

 ただし、アカラス症はなかなか完治が難しく、根気のいる病気であるということを
忘れないようにしましょう。