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私の町のペットとの暮らしをもっと豊かに!もっと楽しく!Vol.2 ボーダーライン・オレンジドット

セラピードッグで子供たちへ笑顔を。 その先の本当の想いとは―?

ボーダーライン・オレンジドット

イベントの盲導犬体験歩行で、
  ラブラドル・レトリバーの虜に

飯塚さんが盲導犬に興味を持ったのは、今から27年ほど前。 当時幼稚園だった子どもと一緒に盲導犬体験歩行のイベントに参加したことがきっかけでした。
「盲導犬に初めて関わった時、あまりにも従順で賢くて… その時、盲導犬の役割を担う、ラブラドール・レトリーバーに一目ぼれしてしまったんです。」
その後、飯塚さんはいても立ってもおられず、自身もラブラドール・レトリーバーを家族として迎え入れましたが、 その犬はイベントで見た盲導犬とは正反対。家中のものを破壊し、家の中がめちゃくちゃになったと言います。
「いたずらがひどくてちょっと驚いたのですが、なぜか、子どもたちには飛びついたり、洋服を引っ張ったりなど、悪さは一切ありませんでした。 まるで相手を見て、自分の行動を決めているようでした。」
一緒に暮らしていくうちに、ラブラドール・レトリーバーそのものの魅力を改めて実感した飯塚さんは、 盲導犬のボランティア活動にも興味を向け始めました。
ところが実際に関わってみると、「盲導犬同伴を拒んではならない」と法律で定められてるのに、飲食店で入店拒否されるなど、 盲導犬ユーザーさんが多くの問題に直面していることを知りました。
飯塚さんは一念発起。少しでも盲導犬とユーザーさんの役に立ちたいと、「盲導犬とユーザーをサポートする会」を自身で立ち上げ、 ユーザーさんと一緒に歩いて、地元の飲食店や住民に、盲導犬への理解を促す啓発活動を開始したのです。

盲導犬体験歩行イベント

盲導犬協会のPR犬とセラピー活動開始

その後も、盲導犬にかかわるボランティア活動を長く続けてきた飯塚さんですが、 現在、一番力を入れているのが「茨城県立こども病院」でのセラピードッグ訪問です。
ボランティアで長い間一緒に活動してきた盲導犬協会のPR犬「ジョン」を委託契約で預かり、 自宅で寝食を共にしながらセラピードッグ訪問を開始することになったのです。
飯塚さんとジョンのセラピー訪問は、毎週木曜日午後2時半から3時半までの一時間、病棟のプレイルームで行われます。
ジョンが部屋の真ん中に横たわると、ジョンと遊びたい子ども達が次々とジョンを撫でにやってきます。
ジョンの体に頭を乗せて寝ころぶ子、ジョンの耳をずっと撫でている子、ジョンの体に抱きつく子。
どの子もみなジョンが来るのを待っていたように笑顔になり、子どもたちの笑顔を見た保護者や病院のスタッフからも笑みがこぼれます。
ジョンは子ども達の声が心地よいのか、目を閉じて眠そう―。
飯塚さんは言います。「ジョンがここにいることそのものに、意味があるのです。」

セラピードッグ訪問

お母さんも認める、
  驚くべき“ジョン君効果”

30分ほどが過ぎると、自宅でも犬を三頭飼っているという小学生の男の子が、 お母さんに付き添われて、ジョンに会いにやってきました。
「今日は、かなり体調が悪く、病室から出られないものと思っていたのですが、 本人がどうしてもジョン君に会いたいからと、何とか出てきました。」
男の子を見ると、かなり辛そうです。
ところが・・・ジョンを撫で始めて、5分が過ぎ、10分が過ぎると、男の子の顔がどんどん笑顔に変わっていくのです。
そして遂には、隣にいた別の子どもとのおしゃべりも始まり、元気いっぱいに、終了時間までジョンを撫で続けていました。
男の子のお母さんは、こう言います。
「ジョン君効果です。ジョン君に会えると、びっくりするほど、表情が変わって明るくなります。」
また病院のスタッフによると、歩行のリハビリを躊躇していた子どもが、ジョンと一緒にリハビリを行うことで、大きな成果を出したと言います。
「ジョン君が一緒だから、ジョン君が見守ってくれるから、がんばろうと、 子ども達が前向きに治療やリハビリに取り組んでくれることは、病院としても大変ありがたいことだと思います。」
子ども達にとってジョンは、どんな薬も敵わない「心と体の特効薬」なのです。

飯塚さんのセラピードッグ訪問の
  本当の目的は、10年後の子ども達

ジョンとの訪問を続けていきたいと考えている飯塚さんですが、 実は飯塚さんのセラピー訪問への願いは、子ども達に元気を与える以外に、もっと大きな目的があるのだと言います。
「自分が一番つらい時、ジョンがそばにいて、たくさんの癒しをもらったという思い出は子ども達の中にずっと残るはずです。 そして、あの子ども達が大人になった時、ジョンに与えてもらった安らぎを忘れないでいてくれたら、 “犬”という生き物を決して悪く思わないはず。きっと、“犬”という生き物の強い味方となってくれるでしょう。 これは人間だけでなく、動物の幸せにとっても意味のある活動なのです。」
これまでに動物愛護センター等で啓発活動を行い、殺処分される命にも目を向けてきた飯塚さんにとって、 不幸な命を減らすことも、ボランティア活動の目的のひとつでした。
命を捨てるのも人間なら、その命を救い、護ることができるのも人間―。
ジョンとのセラピー訪問は、人間の福祉のためだけではなく、ジョンと触れ合った子ども達を通して、今度は動物福祉として広がっていくのです。

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プロフィール

このコーナーでは、犬猫の幸せのための活動をご紹介しています。