新しく始まったこちらのコラム。今回は心理療法士であり、大の愛猫家でもある佐藤睦子先生に、21年間共に過ごした愛猫“ミニ君”を失った時のお話をお伺いしました。
悲しみにくれる先生の心の支えになったのは?
ある一言が一歩を踏み出す気持ちに
ペットを亡くすのは、大切な人を失うのと同じくらい喪失感があることだと思います。勝手に涙が出てくる、気分が落ち込む、食欲がない、眠れない……どれも大切な人を失った時の喪失体験と同じです。
私は3年前のお正月に、21年間一緒に暮らした愛猫「ミニ君」を亡くしました。ミニ君は、心理士として初めて勤めた病院の前で拾った猫。ロンドンに留学した時も、大学に勤めた時もずっとそばにいてくれた同志のような存在でした。
ですから、息を引き取った時はとても淋しくて。
こころにぽっかりと空いた大きな穴を抱えてなす術もなく、私はブログに想いの丈を綴りました。
お話を伺ったのは
佐藤睦子先生
京都ノートルダム女子大学心理学研究科准教授。日本心理臨床学会会員。病院・学校などでの自らの実践を通じて、心理面接における治療者の在り方について研究を行う。親子3匹+新入り2匹の猫と暮らす。
▲ 人生を共に歩んできたミニ君は同志のような存在。
▲ 左上からほたる君、はうるちゃん、まる君
その時、ある読者の方からコメントをいただいたのです。
それは「亡くなった子は虹の橋のたもとで待っているそうですよ」というもの。
この話がこころに響き、ようやく一歩を踏み出す気持ちになれました。
愛した存在を失い悲しむのは当然のこと
ペットを亡くした時に「たかがペットじゃないか」「代わりに買ってくればいいじゃないか」とこころない意見を言う人がいるかもしれません。
しかし、ペットは家族同様に愛してきた大切な存在。悲しむのは当たり前なのです。
人に忌引きがあるように、ペットの時にはご自身で有給休暇を取り、体を休めてから再スタートするのも一つだと思います。そして、少し時間が経ってから悲しみが戻ってくる場合もあるでしょう。
抜け落ちたヒゲを拾っておいて、大切に保管しているそう。
たとえば、いつも4つ並べていたお椀が3つで良いことに気づいたり……そんな時は思い切り悲しんでください。ご自身で抱えきれない時はメンタルクリニックなどのカウンセリング機関を利用するのも一つ。
愛していればいるほど失った時の後悔は激しくなりますが、もし「できる限りがんばった」というこころの支えがあれば少しは和らぐかもしれません。
ペットは正直に気持ちを伝えてくれるかけがえのないパートナー。
いつもそばにいてくれるあたたかさは、こころにエネルギーを与えてくれる存在です。
失う悲しみは大きくても、やっぱり私はノーキャット・ノーライフ。猫のいない人生は考えられないですね。
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京都ノートルダム女子大学 心理臨床センター
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このコラムについて
『 あなたはどう向き合う? ペットロス 』
かけがえのない存在を失った時、私たちはどうしたらいいのでしょうか。気持ちの変化やその時の心境を、さまざまな方の声を通して、一緒に考えていこうというコラムです。