今回のコラムは、北海道釧路市出身、札幌市在住の会社員M.Nさんに11年間共に過ごした愛犬“デューク君”を失った時のお話をお伺いしました。
悲しみにくれるM.Nさんやご家族の心の支えになったのは…。
散歩中の異変によって腫瘍を発見
2016年の5月7日に、イタリアングレーハウンドの「デューク」を亡くしました。
散歩中にへたり込み、病院に駆け込みましたが原因不明。隣町にある帯広畜産大学動物医療センターを受診して、組織球性肉腫と診断されました。獣医師曰く「貪食をする細胞の悪性種」とのことでした。すでに肺から、脾臓、腎臓に転移しており手術はできない状態。
苦しい息遣いのデュークは「どうしてこんなに苦しいの?」と不安な表情で検査室へ入っていきました。そして長い時間が過ぎて出てきた時、私は驚きました。
お話を伺ったのは
M.Nさん
犬猫問わずに動物が大好き。小学校時代には自分ひとりでブリーダーと交渉し、愛犬ボビーを家族に迎え入れた経験も。現在は札幌市の飲食系企業で活躍している。
▲(写真左)雪道でも大丈夫!デューク君はお父さんとの散歩が大好きでした。(写真右)M.Nさんご家族とデューク君の思い出が詰まった写真立て。
デュークの顔に不安な影はなく、「すべてを受け入れたから心配しないで」と言わんばかりに尻尾を振っていたのです。あの姿は今も忘れられません。“持って1か月”という診断でしたが、数日後、母の腕の中でデュークはゆっくりと呼吸することやめてしまいました。
焦らずにゆっくりと前に進んでいく
▲ ご両親はお線香とろうそくの火を毎日欠かさずに灯しているそう。
1年半経った今でもデュークをそばに感じていますし、「また会いたい」という気持ちは変りません。あの子はさびしがり屋でいつも体のどこかを人にくっつけているタイプ。聡明で慎重、人の言葉に耳を傾けて判断できる長所も持っていました。 最初は私が飼い始めたのですが仕事の関係で不在がちになり、両親に預けたところこれ以上ないほど大きな愛情を注いでもらいました。だからこそ両親の悲しみは深かったのです。
眠れず、食べられず、背後で音がすると「デューク?」と声をかけたり、ソファに座る時は踏まないように足元を確認したり。
一方、デュークを送り出した夜に出張が入っていた私は、出張先のコンビニエンスストアで写真を50枚出力し、アルバムや写真立てに収めて両親に送りました。写真を手に取るたび思い出があふれだし、涙が止まらなかったことを覚えています。
ペットロスから本当に抜け出せるのは少し先の話だと思いますが、旅行に出かけるなど両親は元気を取り戻しつつあります。最期は悲しいけれど、ペットがくれるあたたかさは何にも代えがたいもの。いつか次の家族と出会えるのを心のどこかで楽しみにしています。
このコラムについて
『 あなたはどう向き合う? ペットロス 』
かけがえのない存在を失った時、私たちはどうしたらいいのでしょうか。気持ちの変化やその時の心境を、さまざまな方の声を通して、一緒に考えていこうというコラムです。