5回目を迎えるこちらのコラム。今回は京都市でコピーライターとして活躍される葉月蓮さんに、13年間ともに過ごした愛犬「蓮くん」を失った時のお話、ペットロスを乗り越えた工夫などをお聞きしました。
お話を伺ったのは…
OfficeRen代表コピーライター葉月蓮さん
京都在住のコピーライター。最近初めての猫を迎え入れ、猫の可愛さにも目覚めたそう。機会があれば、今からでも獣医師を目指したいというほどの動物好きとのこと。
OfficeRen(http://www.officeren.info/)
北海道から沖縄まで駆け抜けた13年間
キャバリア・キングチャールズ・スパニエルの蓮と出会ったのは、2005年こどもの日のことです。とてもわんぱくな性格で、携帯電話を壊したり、羽根布団を破ったり。半年後にはキャバリアの女の子も家族に迎え、エピソードいっぱいの楽しい毎日を送っていました。
▲ 沖縄のドッグランを駆け回る若き日の蓮くん。
その後、私の都合で札幌、東京、大阪、京都と日本を縦断。さらに長野、新潟、石川、四国、沖縄など日本各地をみんなで旅行しました。その一方で、蓮は1歳を迎えた頃からアレルギーとアトピーを発症。アレルゲンを抑えるために、拭き掃除、週1~2回のお風呂、新薬の投与など、本当に戦いの毎日でした。努力もむなしく、病状は年々悪化。蓮は痒さで眠れない夜が増えていきました。
▲ おめかしをして結婚式にも参加しました。
それが7歳を迎えた時、アレルギー専門の獣医さんと出会って状況は一変。適切な診断によって蓮の痒みはかなり収まり、少しずつ太れるようになっていきました。さらに私も独立して一緒にいられる時間が増えましたし、日当たりの良いマンションへの転居、再婚などすべてが好転していきました。
しかし、13歳を迎えた今年の5月7日、蓮は生まれて初めて食事を拒否しました。かかりつけの獣医さんに診ていただくと、肝臓がんの疑いがあるとのこと。毎日の点滴や強制給餌などで一度は持ち直しましたが、5月17日、蓮は静かにこの世を卒業しました。
「この山を越えれば希望が見える」と必死に向き合いましたが、振り返ると頑張らせすぎていたのかもしれません。アレルギー、心臓病、耳の病気、肝臓がんや腎不全……痛みや痒みから解放された蓮はとても穏やかな顔をしていました。
▲ 大阪の鶴見緑地公園に大喜びして、自分の足で最後まで歩きました。
新しい人生を笑顔でスタートするために
ユニークな性格だった蓮は、家族にたくさんの笑いと安らぎを与えてくれました。私個人としても28歳から支えてくれた蓮の存在は大きく、「自分はペットロスになるのでは」という心配は常にありました。そこで今回、5つの予防策を取ってみたのです。
▲ ご飯とおやつは生きている時と同じタイミングであげているそう。
【 私が心がけたペットロスの予防策5つ 】
① 亡くなった夜にごちそうを用意する
人間のお葬式を踏襲しました。蓮の話をしながらごちそうをいただくことで、少しずつ食欲が回復して、笑う元気が湧いてきました。
② 亡くなった子は海外留学したのだと思い込む
13歳という年齢は人間の中学校進学と同じタイミング。蓮が夢に出てきた時はとても苦しくなりましたが、何度も「あの子は海外に行ったのだ」と繰り返すことで楽になりました。
③ 環境を変える
見るたびに悲しくなる状況を避けるため、告別が終わったその日にケージを片付けました。
④ 習慣を変えない
「この食器はもう使わないんだ」と悲しむ機会を減らすために、蓮の食器は他の子たちの水入れとして使っています。
⑤ 悲しまないことへの罪悪感を手放す
「記憶が薄れる自分は薄情なのでは」と思った時は、「大丈夫。そうすべき」と罪悪感を手放すようにシフトしました。そのほうが、そばにいた頃の感覚が戻ったように思います。
悲しみの形は人それぞれ。すべての方にこの方法が当てはまるとは思いませんが、心の準備としてお役に立てばと願っています。別れは寂しくても、私はNoLife,NoAnimal。これからも、ぬくもりを与えてくれる犬や猫とともに歩んでいきたいと思っています。
このコラムについて
『 あなたはどう向き合う? ペットロス 』
かけがえのない存在を失った時、私たちはどうしたらいいのでしょうか。気持ちの変化やその時の心境を、さまざまな方の声を通して、一緒に考えていこうというコラムです。