近年、大型で非常に強い台風や地震により各地で大きな災害が発生しています。今もなお、救助活動や復旧作業が続いている被災地域も。そこで、いざという時に備え、日常から飼い主さんが意識しておきたい愛犬・愛猫への「しつけ」について、世田谷区にある犬の保育園Parco del Caneカーネ保育園の園長 高田由香さんにお話を伺いました。
たくさんほめて、ほめて、小さな成功体験を作っていきましょう!
災害時の愛犬・愛猫のストレスを軽減するために、普段から災害時の安全確保や避難所で生活しなければならない時のことを想定することが大切です。日常の毎日において、クレートやキャリーバッグで一定時間過ごす練習をしておきましょう。
クレートの中でごはんを食べさせたり、とっておきのおやつを食べさせたりして、「クレートに入ると良いことがある!」と思わせることが大切です。成功したら、毎回褒めてあげることを繰り返してあげてください。小さな成功体験を一緒に積み重ねていきましょう。
クレートトレーニングの方法は、コラムの第三回「避難に使えるクレートトレーニング!」をご覧になってください。
避難先で過ごすことになった場合、気になるのが排せつの問題です。環境の変化やストレスで排せつの回数が少なくなってしまったり、決められた場所でできなくなってしまう心配があります。わんちゃんの場合、掛け声で排せつを促すことをトレーニングできます。
わんちゃんが排せつしている時に「ワンツーワンツー」などの掛け声をかけ、排せつし終わったらごほうびを。
「ワンツーワンツーの掛け声→排せつ→いいことがある!」と認識するようになり、掛け声に促されて排せつができるようになります。
排せつをしそうなタイミングに声掛けをスタートするのがポイントです。
災害時は様々な危険が潜んでおり、大切な家族の一員であるペットをケガや病気から守ることができるのは飼い主しかいません。日頃から「安心安全」のための備えをしておくことも大切です。
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服
防寒対策や暑さ対策に役立ちます。(最近は冷感素材を使ったペットの服も多いです)
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靴
ケージに入れたり抱っこができないサイズのわんちゃんは、避難する際歩かせなければなりません。落下物などでケガをしないように普段から靴に慣らしておくと安心です。
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ハーネスと
リードのセット猫ちゃんの場合、お散歩の習慣がないのでなじみがないと思いますが、災害時の逃走防止のためにハーネスとリードをつける練習をしておくとよいと思います。
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おむつ
避難先で排せつの失敗をしてしまう心配がある時に着用すると安心です。おむつをつけてもストレスなく動けるように慣らしておきましょう。
新しいものに慣らすときは無理強いせずに短時間から慣らし、「すごいね!」「かわいいね!」などたくさんほめて気分を良くしてあげることを心がけてください。
高田先生
普段から「頼れる飼い主」に
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災害時のような非常時は、とても不安です。言葉がわからず状況が理解できないペット達の不安はいかばかりでしょう。非常時、ペットに安心を与えてあげられるのは飼い主さんに他なりません。
私が実践している「ペットの不安を取り除き、落ち着かせる方法」をご紹介します。我が家の犬達やお預りしているわんちゃんに落ち着いてほしい時、ゆっくりとした口調・静かなトーンで話しかけます。
抱き上げるなど体に触れる時は、急に触れず「いい?触るよー。」などと静かに声を掛けながらゆっくりと触れるようにします。体を撫でる時もゆっくりと静かに撫でます。
普段の生活の中でも「ゆっくり、落ち着いて」を意識してペットに接してあげることで安心感を与えることができ、非常時にも役立つと思います。
高田由香(たかだ・ゆか)さん
Parco del Caneカーネ保育園 園長
日本ドッグパーク普及協会認定ドッグアドバイザーA 級。日本ペットマッサージ協会認定ペットマッサージセラピスト。2006年、世田谷・用賀に「犬の保育園 Parco del Caneカーネ保育園」を開園。園長となる。犬の保育園の他、ペット共生マンションでのしつけ教室やセミナー、ペット博でのペットマッサージのデモンストレーション、ウェブサイトでのペット相談やコラム執筆など、多分野で犬に関わる毎日を送っている。現在の愛犬は、パピヨン、パピヨンxマルチーズのミックス、双子のチワワの4匹。