災害時・非常時にどんなに平常心を保とうとしても難しいのは当たり前です。状況が理解できず、いつもと違う飼い主さんを目の当たりにしたペット達のストレスはどれほどのものでしょうか。
今回は災害時・非常時にペットのストレスをなるべく少なくしてあげるために飼い主さんができることについて、世田谷区にある犬の保育園Parco del Caneカーネ保育園の園長 高田由香さんにお話を伺いました。
ペットの心身の健康を守るために
ペットと一緒に避難所や安全な場所への経路を確認しておきましょう。
小動物や猫・小型犬の場合、どのようなケースやバッグに入れたら移動しやすいのか、歩かせて避難することになる中型犬・大型犬の場合、どの道が一番安全にたどり着けるのかをしっかりと確認してください。
歩かせて避難する場合、初めて歩く道は警戒しやすいものです。
避難経路を普段のお散歩コースにしておくと非常時にペットがパニックを起こしにくくなると思います。
さらに、ペットが立ち止まる苦手なポイントを知ることができ、事前にそこに慣らしたり、避ける工夫をすることができます。
避難所で過ごす場合、ペット達は今までの家族だけとの生活と違い、不特定多数の人が行き来する場所で過ごすことになります。
普段から、人が集まる場所に出向き、様々な年齢層の人の声を聞いたり動きを見て慣れておくとよいでしょう。
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我が家の犬達は、人慣れ練習に大きめの駅の改札を使います。
いろいろな姿、年齢層の人、「かわいいですね」と声を掛けてくれる人もいれば、あまり好意的に見てくれない人もいます。
「世の中にはいろいろな人がいるけど、ボクたちはいつも通りにあわてず騒がずいれば、何もいやなことは起こらない」ということを学習してもらっています。
非常時、ペット達を一時的に施設などに預けなくてはならない状況になることがあります。
預け先に「うちの子」のことを理解してもらい、なるべくペット達にストレスなく過ごしてもらうようにするのも飼い主さんの務めです。
普段の様子をわかってもらうため、下記のことをまとめておくとよいでしょう
飼い主さんのための防災チェックリスト配布中!
プリントして、忘れ物がないかチェックしてみましょう。
防災への備え応援グッズはこちら
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◎もしもの備えセット
玄関に貼れば自宅にいる犬・猫の救助を知らせる「防災ステッカー」に飼い主の身に何かあった時、ペットの救護依頼を知らせる「ペット救護依頼カード」に証明書など必要なものをまとめて持ち出せる収納ケースをセットに。
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◎オリジナル防災スターターセット
本当に必要な物はそれぞれ違う。自分の子に必要な物を足して、うちのこオリジナルの防災袋が作れる防災セット!
折畳み式のボウルに便処理袋、高吸収タオルに非常袋入り。
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その他
リラックスしている時の表情を撮った写真があると、その写真から預け先での違いがわかり、体調の変化やストレスのかかり具合を発見してもらいやすくなります。
高田先生
ペットの心身の健康を守るために
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非常時でもなるべく日常に近い状態でペット達に過ごしてもらうことが、ペットの心身の健康を守ることにつながります。
いざというときはどうしても慌ててしまうもの。
飼い主さんが慌てることで、ペットに与える心理的な影響は計り知れません。
災害時で急に非日常になるのではなく、日常から、出来る限り様々な環境に慣らしておきましょう。
大切なペットの安全確保、ストレスの軽減は飼い主さん自身や周囲の方々のためにもとても大切です。
備えあれば患いなし。充分な準備を心がけましょう。
高田由香(たかだ・ゆか)さん
Parco del Caneカーネ保育園 園長
日本ドッグパーク普及協会認定ドッグアドバイザーA 級。日本ペットマッサージ協会認定ペットマッサージセラピスト。2006年、世田谷・用賀に「犬の保育園 Parco del Caneカーネ保育園」を開園。園長となる。犬の保育園の他、ペット共生マンションでのしつけ教室やセミナー、ペット博でのペットマッサージのデモンストレーション、ウェブサイトでのペット相談やコラム執筆など、多分野で犬に関わる毎日を送っている。現在の愛犬は、パピヨン、パピヨンxマルチーズのミックス、双子のチワワの4匹。