第4回行動学的に正しいネコモテ術 基本編
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ぜひ、あなたと愛するネコのためにお役立てください。
「行動学的に正しいネコモテ術」について獣医師に取材しました!
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獣医師
山本 宗伸先生「Tokyo Cat Specialists」院長。国際猫医学会所属。開院前は都内やニューヨークのネコ専門動物病院にて研鑽を積む。著書に『ネコペディア』(秀明出版会)
1.問題行動は「負の罰」と「正の強化」で解決!
ソファでツメをとぐ、食卓に上がるなど、ネコの問題行動を解決するには、「負の罰」と「正の強化」を組み合わせるのが正解。「負の罰」と「正の強化」について解説します。
■ 「負の罰」とは?
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動物行動学では、何かをなくして行動を減少させることを「負の罰」といいます。
たとえばネコにおやつを与えるとき、興奮して噛むようなら、おやつを取り上げてしまいます。これにより、噛む行為が減少しやすくなります。
■ 「正の強化」とは?
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何かを与えて行動の増加を図るのが「正の強化」。
たとえばネコが正しい場所で排泄できたら、ほめたりおやつを与えたりします。こうした“ご褒美”が刺激となり、ネコは同じ場所で排泄することが多くなります。
■例)噛み癖を直したい!
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スキンシップや遊びの最中にネコが噛んできたら、その場をすぐに離れましょう。ネコから“飼い主を取り上げる”ことが大切。
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後日、ネコとスキンシップをとったり遊んだりします。またネコが噛んできたら、やはりその場を離れ、相手にしないようにします。
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遊びやスキンシップの際、ネコが噛まなかったら、すぐにおやつやフードを与えましょう。繰り返すことで“噛み癖”が直っていきます。
2.「ペットモード」と「野性モード」を見極める
ネコはもともと単独生活を営む動物。ペットのネコにも〝野性〞が残っています。ネコの気分に合わせてふれ合うことが大切です。
■ペットモード
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時間帯→日中
泣き声→小さい
ツメとぎ→弱めにとぐ
目→穏やか
ペットモードのときは、なでたりブラッシングしたりしてリラックスさせましょう。
■野性モード
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時間帯→朝や夕方
泣き声→大きい
ツメとぎ→強めにとぐ
目→いきいきしている
ネコにとって遊びは擬似的な狩猟。野性モードのときは、十分に遊ばせましょう。
朝や夕方などは「野性モード」になりやすく、活動的。そんなときはムリにスキンシップをとらず、おもちゃなどで遊ばせるのが良いでしょう。一方、日中は活動量が減り、「ペットモード」になる傾向にあります。なでたり抱いたり、ネコとまったりした時間を過ごすのに向いています。また、ツメ切りやブラッシングといったお手入れをするのもオススメ。
3.香り付きの洗剤や柔軟剤はネコのストレスになりやすい
イヌほどではありませんが、ネコは人間よりはるかにすぐれた嗅覚の持ち主。それゆえ室内や飼い主から強いニオイが漂っていると、ストレスになる可能性があります。
出典:『イラストで見る猫学』(講談社)
ニオイを感知する嗅細胞は嗅上皮に存在します。ネコは人間より嗅上皮の面積が7、8倍多く、嗅細胞も5倍前後。40 ~ 50 万種類のニオイを認識できるといわれています。
ネコがよくいる部屋には芳香剤などを置かず、無臭にするのがベスト。とくに柑橘系のニオイは、ネコが苦手なので注意が必要です。また、最近ブームの香り付き洗剤は、ネコにとって〝香害〞になるおそれも……。
4.天気によってネコとの接し方を変える
「雨の日のネコは眠い」といわれますが、これはネコに野性が残っていることが理由と考えられます。雨天時は狩りも縄張りのパトロールも困難で、体力を温存しておいたほうが合理的。室内で暮らすネコも、雨による湿気の影響で眠気が強くなる可能性があります。
下図を参考にして、ネコとふれ合いましょう。
※おおよその傾向であり、性格や品種によっては当てはまらないこともあります
5.ネコモテの3箇条はコレ!
「勢いよく近付かない」「大きな音を出さない」「かまいすぎない」がネコモテの3箇条。
ネコが好みやすいのは、動作が激しくなく、静か。そしてベタベタしてこない人。つまり「おばあちゃん」のような存在です。逆に苦手なのは「子ども」。大きな音を立てる、急に近付いてくる、たくさん触ろうとする、とネコの嫌がる要素が揃っているからです。
■勢いよく近付かない
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ネコからすると、人間は巨大。急に近付いてきたら恐怖を感じるものです。ネコのそばに行くときは、ゆっくり&足音を立てないようにしましょう。
とくに初対面のネコは警戒しているので、アプローチの仕方が大切。
■大きな音を出さない
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ネコは子どものように騒々しい人が苦手。目の前で大きな音を立てたり、大声を出したりすると心証が悪くなってしまいます。おっとり、静かにしていることで、自然とネコのほうから寄ってきてくれるはず。
■かまいすぎない
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ネコがかわいいあまり、長時間かまうのは避けましょう。ネコのストレスになる可能性があります。また、初対面のネコはしばらくかまわず、“無害”であることを知ってもらい、少しずつ距離を縮めていきましょう。
ネコはイヌと異なり、非常にマイペース。自分の気持ちではなく、ネコの気持ちを尊重して接するようにしましょう。愛猫はもちろん、初対面のネコにもモテやすくなります。
6.かまわないほうが第一印象UP
ネコの多くは、飼い主以外を警戒するもの。友人宅やネコカフェにいるネコとは、目を合わせず、最初はかまわないようにしましょう。害がないことがわかれば、ネコのほうから寄ってきてくれます。
愛猫以外のネコとは目を合わさず、いきなりかまわないのがポイント。ネコが警戒を解くまで辛抱して。
7.毛繕い中や食事中のネコにはかまわない
ネコは気持ちを落ち着かせるために毛繕いをすることもありますし、食事中は食べることに集中しています。見つめられたりさわられたりすると、ストレスになることも。毛繕い中や食事中はかまわないのが正解。
繊細な子や野性の強い子は、食事中や毛繕い中にかまわれると、相手を攻撃することもあります。
8.ネコの人見知りにはおやつ作戦
インターフォンが鳴ったら、ネコにおやつを与えましょう。「インターフォンが鳴る=おやつをもらえる」と覚えてもらいます。繰り返せば、ネコが隠れにくくなるはず。来客中にネコが姿を現したら、お客さんからネコにおやつをあげてもらいましょう。知らない人に対する苦手意識が弱まります。
■ 「知らない人が来る=良いことが起きる」と覚えてもらうのが大事
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インターフォンが鳴ったらすぐにおやつをあげる
家族や友人、さらには宅配業者などがインターフォンを鳴らしたら、ネコが気に入っているおやつをすぐ与えましょう。「インターフォンの音がおやつをもらえる合図」と覚えてもらいます。
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お客さんからもおやつをあげてもらう
ネコがお客さんの前に姿を現すようになったら、より人なつこくさせるチャンス。お客さんにおやつを渡し、ネコに与えてもらいましょう。
以上、「行動学的に正しいネコモテ術」の基本編でした。
ネコの性質を理解して、ネコとの距離をもっと縮めましょう!
次回、第5回は「行動学的に正しいネコモテ術」のスキンシップ編をご紹介します。
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ネコDK
定価:880円
判型:A4ワイド
ページ数:96ページ
発行元:株式会社晋遊舎
晋遊舎公式サイト:https://www.shinyusha.co.jp/
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第4回は、「ネコモテ術」の基本編。動物行動学にもとづいた接し方でネコとのキズナをもっと深められる方法を獣医師の先生に教えてもらいました!