第8回最新ネコ科学!ネコの習性編
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ぜひ、あなたと愛するネコのためにお役立てください。
1.ネコの短期記憶は30秒で急速に低下
「4つの箱を用意し、ネコの前で立方体をどれかひとつに入れる。ネコを一定時間待機させ、立方体の入った箱に近づいたらご褒美をあげる」そんな実験をモンクトン大学が行ったところ、待機時間0秒だと正解率は約73%なのに対し、待機時間30秒だと正解率は約35%まで低下しました。
一方、60秒待機しても正解率が60%程度だったネコもいたため、短期記憶は個体差が大きいといえます。
出典/Fiset, S., Doré, F.Y. Duration of cats' (Felis catus) working memory for disappearing objects. Anim Cogn 9, 62–70 (2006).
https://doi.org/10.1007/s10071-005-0005-4
2.ネコの腸内で重要な善玉菌は「腸球菌」
東京大学や日本獣医生命科学大学などが、離乳前、離乳後、成年期、高齢期、老齢期、それぞれ10匹のネコの腸内細菌を解析。人の善玉菌はビフィズス菌であるのに対し、ネコの善玉菌は腸球菌であることがわかりました。
また、ネコは加齢により腸内フローラ(腸内細菌が菌種ごとに分布していること)が老化することも判明。高齢ネコでは腸球菌が劣勢、悪玉菌が優勢になるそうです。高齢ネコには腸球菌の含まれるサプリを与えれば、腸内環境が改善されるかもしれません。
出典/Masuoka H, Shimada K, Kiyosue-Yasuda T, Kiyosue M, Oishi Y, et al. (2017) Transition of the intestinal microbiota of cats with age. PLOS ONE 12(8): e0181739.
3.ネコのオシッコが臭いのは「コーキシン」のせい
理化学研究所と岩手大学の研究グループは、ネコの尿中にだけ存在するたんぱく質を発見しました。「コーキシン」と名づけて研究を重ねた結果、この物質がオシッコのニオイを強くしていることがあきらかに。
コーキシンは未去勢のオスに多く、異性を惹き付ける役割も担っていると考えられます。
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尿中コーキシン濃度
0.6〜1.25g/L
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尿中コーキシン濃度
0.1〜0.25g/L
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尿中コーキシン濃度
0.1〜0.38g/L
コーキシンの数を減少させるようなフードやサプリが開発されれば、ネコのオシッコ臭に悩んでいる人も減りそうです。
出典/理化学研究所、岩手大学「ネコの尿臭の原因となる化合物を生産するメカニズムを解明」
4.ネコの利き足はオスが左足、メスが右足が多い
ネコの利き足を、クイーンズ大学の心理学者らが44匹のネコを対象に調査を実施しました。トイレに入るときや階段を下りるときにどちらの足から踏み出すか、狭い穴からエサを取り出すときにどちらの足を使うか観察したところ、オスは左足、メスは右足の傾向だったそうです。
イヌは左利きや両利きだと怖がりだという研究結果もあります。ネコも利き足と性格の関連性を調べてほしいですね!
出典/Louise J. McDowell, Deborah L. Wells, Peter G. Hepper,Lateralization of spontaneous behaviours in the domestic cat, Felis silvestris,Animal Behaviour,Volume 135,2018,Pages 37-43,ISSN 0003-3472,
5.ネコは水に濡れると1秒間に9回体を振って乾かす
被毛のある動物は、水に濡れると体を激しく振って水分を飛ばします。この行為をジョージア工科大学がハイスピードカメラで撮影。対象となったのは16種の動物です。1秒間の振とう回数を数えたところ、ネズミは29回、ライオンは5回、クマは4回、そしてネコは9回でした。
被毛が水に濡れたままだと体温が低下して命に関わります。そのため、目にもとまらぬスピードで体を振って乾燥させているのです。
出典/Dickerson AK, Mills ZG, Hu DL. Wet mammals shake at tuned frequencies to dry. J R Soc Interface. 2012;9(77):3208-3218. doi:10.1098/rsif.2012.0429
6.ネコがマタタビでゴロゴロ転がるのは蚊除けのため
ネコにマタタビを与えると、顔をこすり付けたりゴロゴロ転がったりします。なぜこうした行動を見せるのか?それを京都大学や岩手大学などの共同研究チームがあきらかにしました。
研究チームはマタタビに含まれる「ネペタラクトール」という物質に蚊の忌避効果があることを発見。ネペタラクトールを顔や体にこすり付けたネコは、蚊に刺されにくいことが確認されました。
蚊はフィラリアなどの寄生虫を媒介します。ネコはマタタビに含まれる蚊の忌避成分を体に付着させ、身を守っているんですね。
出典/Reiko Uenoyama, Tamako Miyazaki, Jane L. Hurst, Robert J. Beynon, Masaatsu Adachi, Takanobu Murooka, Ibuki Onoda, Yu Miyazawa, Rieko Katayama, Tetsuro Yamashita, Shuji Kaneko, Toshio Nishikawa, and Masao Miyazaki,SCIENCE ADVANCES20 JAN 2021 : EABD9135
7.ニューロンの数ではイヌはネコの2倍賢い
情報の伝達を行う神経細胞「ニューロン」の数は、動物の知能に関係すると考えられています。カリフォルニア大学などが行った調査によると、ネコのニューロンは約2億5000万個。一方、イヌのニューロンは雑種で約4億2900万個、ゴールデン・レトリバーで約6億2700万個あることが判明。この値だけ見れば、イヌはネコの2倍くらい賢いことに。
しかし、動物の知性はニューロンの数だけで決まるわけではありません。「○○ができるから賢い」ともいえず、知性は単純比較しにくいのです。
出典/Jardim-Messeder Débora, Lambert Kelly, Noctor Stephen, Pestana Fernanda M., de Castro Leal Maria E., Bertelsen Mads F., Alagaili Abdulaziz N., Mohammad Osama B., Manger Paul R., Herculano-Houzel Suzana,Dogs Have the Most Neurons, Though Not the Largest Brain: Trade-Off between Body Mass and Number of Neurons in the Cerebral Cortex of Large Carnivoran Species,Frontiers in Neuroanatomy,Volume 11,2017,Pages 118.
以上、「最新ネコ科学!ネコの習性編」でした。ネコの意外な習性がわかりましたね。
次回、第9回は「最新ネコ科学!ネコの心理編」をご紹介します。
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第8回は、最新の研究で明らかになった「ネコの習性」についてご紹介。ナゾが多いといわれてきたネコですが、驚くべき生態がわかってきたのです…!(『ネコお得技大全 完全保存版』より抜粋)