ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

第3回:アニマルレスキュー、いくつかの道

 ペットフード工業会による平成17年の調査では、国内で登録されている犬は約1300万頭、猫が約1200万匹。高齢化社会、少子化社会に加え、現代は多動物社会でもあると僕は思います。人間と動物が共に暮らし始めた歴史は原始時代までさかのぼられるわけですから、今の状況は、当然のことなのでしょう。
一方、環境省自然環境局によると、平成18年度に引き取りおよび負傷で動物愛護センターなどに収容された犬猫のうち、殺処分にいたった数は約35万だそうです。都市になぞらえると、大阪府吹田市の人口に匹敵する数ですが、これでも年々減少しているといいます。

なぜ唐突にこんな数字を出したのかというと、それは今回、読んでいただいている方々に、ひとつ考えてみて欲しいことがあるからです。

 ここ1,2年ほどでしょうか。「アニマルレスキュー」という言葉を耳にするようになりました。言葉の通り、動物を助けることなのですが、身近なところでは、保護した動物の里親を募集する譲渡会が想像しやすいでしょうか。ほかにも、個人のグループやNPOなどでの保護した動物の里親探し、破綻したブリーダーの元で劣悪な環境下に置かれている犬や猫を幸せな家庭に導くなど、その活動は年々広がっているよう。
このような活動が広がるのはつまり、助けなければならない犬猫が増えているから。これって、人間のエゴですよね? 安易な飼育放棄によって、野良となった犬猫が繁殖を繰り返す、ペットブームの影で無茶な繁殖を繰り返すブリーダーが一部現れ、事業に行き詰ったあげくに繁殖場を投げ出す…。
それらを救うのがレスキューなのですが、不幸な犬猫を減らさない限り、この活動はエンドレスなのではないか、と思うわけです。減らす=里親を探す、も一つの方法だと思いますが、保護される数そのものが減らない限り…と。

そんなことを考えているとき、TNRという言葉に出会いました。Trap=捕獲、Neuter=不妊去勢、Return=元の場所に戻す、という一連の活動の頭文字からきた言葉ですが、これは野良猫の繁殖抑制活動のこと。繁殖を抑制することで徐々に個体数を減らすのです。
これって、不幸な猫を減らすことひとつの道だと思いませんか?
調べてみると、日本でも個人的にこの活動をされている方はいるよう。平成18年には、日本初となる、非営利のクリニックも誕生していました。

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