前回の取材のあと、「ペットの環境を改善するための活動は、街なかでやらないと」という、アニマルレスキューシステム基金・山崎代表の言葉がずっと気になっていました。
僕は今、大阪の中心部にほど近いエリアで暮らしていますが、近所では犬を連れて散歩している人も多く、中にはフレキシリードでの散歩や、はたまたノーリードも。糞をそのままにして行く人も見かけます。
飼う人、飼わない人に関係なく、マナーやモラルは必要だ、そう思います。その欠如の延長線上に、不幸なペットの増加があるわけで、だからやはり、山崎代表の言葉は間違っていないなぁ、と。
今回は、そんな言葉に関係がある話題を紹介しましょう。
活動内容の中心は、「ゴミ拾い」です。
月に一度、大阪市内などの公園に集まり、45分間のゴミ拾い。犬を飼っている人は犬を連れて、飼っていない人も参加オッケー。子どもも参加します。人と犬が集団で交わり、活動する時間。その時間を通して、リードを付ける大切さ、周囲の人や子ども、犬への配慮…、飼い主も犬も、犬を連れた人に交わる人も、持つべきマナーを肌で感じるのです。
活動をまとめているのは、ドッグトレーナーの山本 卓(たかし)さん。ハンガリーでドッグトレーニングを学び、現在は出張トレーニングなどをされています。
トレーニングを引き受けた犬の飼い主から聞くいろんな話。そこでよく出るのが、公園での出来事だったそう。ノーリードによる、ほかの犬や人とのもめ事、公園から飛び出して車にひかれたり、そうでなくても、犬をよけたことで車が事故を起こしたり…。飼い主のちょっとした注意で、そういう二次災害、三次災害も減らせるんじゃないか、そう感じたと言います。減らさないと、人の目線で“危険”と判断された犬が、いずれ不幸な道を辿る。
ただ、飼い主だけがマナーを身につければいいかというと、それだけでは社会は変わらない。だから山本さんは「みんなができること」を考えたのです。
「犬を連れて、多くの人と一緒に、子どもも一緒に、ゴミ拾いをしよう。そこで大人がマナーを身につけるだけでなく、参加した子どもに“犬ってこういう飼い方をするんだ”ということを気付かせてあげる。これはとても大事なことだと思うんです。大人にマナーを伝える以上に、これからの世代に伝えていかないと」。
多くの犬が保護される現状。保護する数を減らすだけではなくて、保護される犬が増えるという、蛇口を細くしてあげなければ。そのためには大人も、子どもも、みんなで気付くことが大切。そして、ゴミ拾いに参加した人がどこかの公園で、この活動を通して気付いたことをほかの人に伝えてもらえれば。広がるにはこれがベターな方法だ、と。
メッセージをどう運ぶか。その手段の一つとして、ゴミ拾いがあるわけです。
たとえ参加していなくても、犬を飼っている人が見れば、リードを付けることの大切さ、周囲との関わり方、というものを感じてもらえるかも知れません。