ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

第6回:ジュースを飲めば、役に立つ

今年は酷暑になるようです。
私が暮らす大阪では、ちょっと街を歩くだけで汗がじっとり、道すがらの自動販売機についつい目が行ってしまいます。これからしばらく、お世話にならずにはいられないでしょうね…。
今回は、その自動販売機にまつわる話をご紹介しましょう。
自動販売機にもいろんな種類がありますが、『社会貢献型自動販売機』って知ってますか?
赤い羽根共同募金ができる自動販売機、集まった募金を複数の団体へ寄付をする自動販売機などがあり、そのなかに「盲導犬育成募金自動販売機」というものがあります。
昨年あたりからたまに新聞でも紹介されているため、見かけたことがあるかも知れません。
その自動販売機でジュースを買えば、一定金額が盲導犬育成のために寄付される、というものです。
全国的に少しずつではありますが、設置の輪が広がっていると聞き、その現状を関西盲導犬協会に聞いてきました。

↓映画の撮影記念に、植樹も行われたそうです
↑京都府亀岡市の郊外にある、関西盲導犬協会の施設。実際の訓練は、主に街なかで行われています

余談ですが、盲導犬と聞けば「盲導犬クイールの一生」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。関西盲導犬協会は、そのクイールが盲導犬となるために育ち、訓練を受けた施設。

現状はまだまだ厳しい、盲導犬育成

国内で視覚障がいを持つ人は30万人以上。視覚に障がいを持つ、特に失明となると、得られる情報の80%を失うと言われ、その失った情報を補い、障がいを持つ方々が社会活動に参加する手助けをするのが盲導犬です。

↑関西盲導犬協会で育成中の候補犬たち。みんな優しい瞳をしています

しかし国内で活躍している盲導犬の数は平成20年度で1048頭。需要に対して供給がまるで不足しています。供給が間に合っていない大きな要因は、育成費用の不足。
盲導犬を育成するためにかかる費用は、関西盲導犬協会の場合1頭あたり200~300万円だそう。子犬が生まれて2か月~1年はパピーウォーカー(飼育ボランティア)の元で過ごし、その後1年間施設で訓練と、1頭の盲導犬を育てるためには2年もの期間がかかるため、これだけの費用を必要とします。もちろん、盲導犬を育成するための訓練士も育てなければなりません。
しかし育成にかかる費用は、大部分を寄付・募金に頼るしかない。
また、盲導犬の育成頭数を増やしていくためには、犬舎の収容能力(数)も増やさなければならない、パピーウォーカーとして協力してもらえる人も増やさなければならない。
費用だけでなく、育成のための裾野も拡げないと、盲導犬の育成頭数は増えていかないわけです。
平成20年度中に関西盲導犬協会が育成した盲導犬は16頭。もっともっと育成頭数が増えないと、障がいを持つ方々には行き渡りません。

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