ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

自動販売機設置=寄付という仕組み

↑関西盲導犬協会内に設置されている盲導犬育成募金自動販売機

そこで関西盲導犬協会では「盲導犬育成募金自動販売機」の設置を、関西キリンビバレッジサービスを中心とする自動販売機ベンダー(設置会社)と共に、2年前から始めたそうです。始めた経緯を広報の藤本喜久男さんに聞いてみました。
「東日本盲導犬協会(旧栃木盲導犬センター)が導入していたのは知っていたんですけど、たまたま新聞記事で、全国の募金自動販売機の記事を見ましてね、そこに『関西ではあまりやっていない』と書かれていたんですよ。だったら自分たちがまず始めてみようと」。
そこで関西キリンビバレッジサービスに話をもちかけ、実行に移したのだそう。
現在関西圏での設置台数は34台。昨年一年間で集まった寄付額は約20万円。
自動販売機を設置すると、ベンダー側からは売上に応じた販売手数料が設置者に支払われます。この販売手数料の一部が設置者から寄付され、ベンダー側からは、売上の一部が寄付される。ジュースの代金の一部が寄付される、と先ほど書きましたが、その仕組みをもう少し詳しく説明するとこうなります。
盲導犬育成団体では、東日本盲導犬協会、関西盲導犬協会、九州盲導犬協会で導入。盲導犬育成団体以外でも、この仕組みを導入している団体は増えているようです。
でも、なかなか普段目にしませんよね?

設置の輪を拡げるためには

この盲導犬育成募金自動販売機ですが、関西の場合、CSR(企業の社会貢献)の一貫として企業がオフィスの中に設置するパターンが多いよう。一般の人に目に触れる機会はまだまだ少ないのが現状です。
広がらない理由はどこにあるのでしょう。
第一に、自動販売機を設置する会社側には、“設置場所はもう飽和状態”という思いがあります。また、自動販売機の設置と聞くと、「自動販売機を購入しなければいけないのでは…」と思う人がまだまだ多いことも、足かせとなっているようです。
この現状を打破するために、と私が思うには、設置場所の飽和に対しては、すでに設置している自動販売機を盲導犬育成自動販売機に変えるということ。設置者からのアクションも必要ですが、ビジネスの一貫として、営業マンが積極的に働きかけていく、そんな動きも必要だと思います。
そして、自動販売機の設置に対して設置者が実際に負担しなければならないのは、電気代程度だ、ということをもっと周知させなければなりません。
もちろん、都市部や人が集まる場所にできるだけ設置をしていく、という点が最も重要なのは言うまでもありませんよね。
例えばですが、駅の周辺、繁華街の一角、そのようなところに自動販売機は多く設置されています。それらが「盲導犬育成募金自動販売機」に替わったとしたらどうでしょう。
募金額が飛躍的に増えることは、間違いありません。

ただし…。
大切なことは、気持ちの変化ではないでしょうか。関西盲導犬協会の藤本さんもおっしゃっていたことですが、設置台数を増やすためには、まず盲導犬の活動、育成について広く知ってもらわなければなりません。人々の心が、育成を後押しする方向へ向かわなければならないと思います。
そうすれば「盲導犬育成募金自動販売機」の設置者が増え、設置された自動販売機をすすんで利用する人も増える、そんな気がしました。

取材当日、「盲導犬育成募金自動販売機」を設置している、奈良市の山尾獣医科病院を訪ねました。病院の前にその自動販売機は設置され、正面には盲導犬育成についての告知もあります。周辺は住宅街、病院の前の通りも、往来は比較的多いようです。
病院側は来院される方のために、この自動販売機を設置したそう。院外に設置することで、病院の前を通る人にも利用してもらえることでしょうね。

この記事を読んでいただいている方の近くにも、「盲導犬育成募金自動販売機」があるかも知れません。販売機に盲導犬育成の告知を見つけたら、そして喉が渇いていたら、利用してください。

「盲導犬育成募金自動販売機」に興味がある方は、ぜひ以下の各盲導犬協会HPもご参照ください。