だからこそ、ツアーセンターでは、旅行者がなにをしたい・見たいのかを聞いた上で健常者が観光で訪れるところと同じ場所を紹介、あわせて現地のバリアフリー情報を、旅行者の状況に応じて提供しています。
「一番大事なのは、現場の状況を正しく提供すること。安全じゃないから行けませんと言うのではなく、健常者と同じレベルの情報を提供し、行く、行かないという判断は、旅行者にお任せすべきでしょう」
というのは、事務局長の野口あゆみさん。
障がいの度合いは人それぞれ。そして、口にはなかなか出せないけれど、本当は旅行に行きたい、でも不安…。そんな障がい者のためにツアーセンターが実践しているのは、相手の身体の状態に合った情報を提供するということ。この細やかさが、先進地と呼ばれる一番の理由なのです。
二見シーパラダイスでは、視覚障がいを持つ人のために、生き物にさわらせてくれる |
障がいを持つスタッフと共に様々な施設をチェックし、その情報を提供。しかし、情報提供だけでは、本当の意味での「心地良い旅」にはなりません。例えば旅行先の宿には、不特定多数の人がいます。なかには、犬が苦手な人もいるでしょう。そのような人は、補助犬だと分かっていても、アレルギー反応を起こすことがあるかも知れません。また、宿の人が補助犬を見たことがないために、必要以上に身構えてしまうことだってあります。
そこでツアーセンターでは、宿泊先に対して、補助犬についてのアドバイスも行っているそう。
「旅行者に情報提供すると共に、受け入れる側にも、いろんなケースに対応できるようアドバイスをします。大切なのは、お互いが理解し合う、ということだと思うんです」
補助犬を受け入れているということを、宿にしっかり告知するようにアドバイスします。すると犬アレルギーの人は、補助犬同伴の宿泊客がいるかもしれないと予想でき、予約時に確認することができますよね。そして、そんな問い合わせがあれば、そのあとに補助犬同伴の旅行者から宿泊予約が入った場合も、客室を離すなど、双方に快適なステイをしてもらうための配慮ができます。
言うなれば、「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」は、障がい者と観光地を結ぶパイプ役。
このような地道な活動によって、伊勢志摩・鳥羽は今も多くの観光客が訪れているのです。
「身体の自由がきかなくても“行きたいところへ行ける”、伊勢志摩・鳥羽をそんな観光地にしたい」 野口さんをはじめ、センターに関わるスタッフ全員のそんな思いが、伊勢志摩・鳥羽をバリアフリー先進地と言わしめた原動力なのでした。
↑ホームページでも、様々な施設のバリアフリー情報を掲載している |
←ツアーセンターを介して宿を利用してくれる障がい者の補助犬に、犬用ゆかたをプレゼント。これでも犬も、リゾート気分ですね |
NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター |
住所 三重県鳥羽市鳥羽一丁目2383-13 鳥羽一番街1F |