ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

第14回 余生を支援する輪

3匹の盲導犬画像

平成22年10月現在、
補助犬の実働頭数は
盲導犬1070頭、介助犬50頭、
聴導犬19頭となっています。
平成20年11月1日付けの情報では、
盲導犬996頭、介助犬42頭、聴導犬18頭ですから、
少しずつですが、その数は増えています。
そしてこれからも、
増え続けていくことは間違いありません。
さて、ここで考えてみたいのは、
人のために全てを捧げてくれている彼らは、
引退後、どうしているのかということ。
補助犬はおおよそ、10~12歳で引退すると言われていて、
彼らにも人間と同じようにリタイアがあり、
その先に老後もあります。

サポートの必要に迫られて

奈良県葛城市、葛木山麓の静かな町に
「特定非営利活動法人 日本サービスドッグ協会」
があります。
ここにいるスタッフは
パピーウォーカー経験者や
盲導犬訓練所のボランティア経験者など。
全国各地で引退犬を世話してくれている人を
サポートするのが主な業務です。

補助犬が引退する10~12歳というのは、もうシニア。
なので、彼らを引き取るということは
その老後について、食費だけでなく高額になっていく医療費までも
すべて負担するということになります。
もちろん、補助犬になってから共に過ごした飼い主と
年老いて離れ、新たな生活の場へ移るのですから、
彼らのストレスも相当なもの。
加えて、活躍していた頃から
特別使命感を強く持っていた犬たちですから、
そのメンタル面のフォローも並大抵ではありません。
つまり、引退犬を引き受けるということは、
かなりの覚悟を必要とするのです。
しかも、ボランティア。

介護用カートと犬写真01
介護用カートと犬写真02 介護用カートの貸出も行っている。購入すると高額なため、引受者は大変助かる支援

国内にあるいくつかの盲導犬協会など、
引退犬を引き受ける施設を
有しているところはあります。
しかし、それでは足りません。

だから、個人の引受先が必要なのですが、
その生活は、
先に述べたような大変さが待っています。

そんな状況をたくさん見て、
「これは個人がボランティアとして背負うには
あまりにも大変ではないか、
なんとかサポートしてあげなきゃいけない」
そんな気持ちから、協会は誕生しました。

現在は、引退犬を引き受けてくれている80数名に対して、
金銭面、物資面での支援をはじめ、
引退犬との生活に関する相談、
介護用品の開発・製作までも行っています。

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