今回は、ちょっと違った角度から共生を考えてみたいと思います。
日本はいま、そしてこれからも、高齢化社会へ向かっていくと言われています。
そのような状況の中、実は新たな問題が生まれ始めているのをご存知ですか?
それは、"ペットが取り残される"ということ。
昨年の推定飼育頭数によると、
いまこの国では、5世帯に1世帯が犬と暮らしています。
その中にはもちろん、一人暮らしの高齢者もいます。
年齢別の飼育割合では50代が増えてきていますし、
これから先、ペットと暮らす高齢者は増えていくでしょう。
時代は高齢化社会、まだまだ元気なうちはいいのですが、
自分の身にいつ、事故や病気が襲ってくるか分かりません。
そう考えて介護付き住宅などに住み替える高齢者も増えていますが、
その陰で、ペットの存在が取り残されるケースが増えています。
現在ある介護付き住宅などの施設では、
ほぼペットは飼えません。
それらの施設への入居を考える場合、
親族がペットを引き取ってくれる場合はいいのですが、
身近な親族がいない、親族の中に引き取ってくれる人がいない、
そんな時はどうなるのでしょう?
多くの場合、里親捜しをしてくれる団体へ持ち込む、
動物愛護センターなどに収容してもらう、
ということになるようです。
このコーナーの第2回で紹介している「日本ドッグホーム協会」のように、
最近では高齢者のペットに限って、
飼育困難な場合は引き取り、終生飼育してくれる団体も増えています。
しかし、それだけが解決方法なのでしょうか?
少し前までの日本は、3世代同居などが一般的でした。
それが時代と共に核家族化し、
高齢者が自分たちだけで暮らすようになり・・・。
飼い主が高齢でも、
元気なうちに対処できるのなら、まだいいでしょう。
しかし高齢者がペットを飼っているまま亡くなり、
その遺族が残されたペットの扱いに困って
動物愛護センターなどに持ち込むケースも増えていると聞きます。
このような問題が各所で生まれはじめ、
行政が対策を講じる地域も出てきました。
例えば東京都では、
2007年に定めた動物愛護推進計画の中で高齢者の動物飼養への支援を謳って以降、
ペットと暮らす一人暮らしの高齢者が突然の入院などで飼育困難になった場合を考え、
動物愛護相談センターと福祉事務所や民生委員との連携、
動物愛護団体やボランティアとの連携など、
支援する仕組み作りを進めているそう。
しかし、根本的な解決にはなりませんよね?
高齢者と暮らしていたペットが取り残されるという問題は、
この社会全体の問題だとは考えられないでしょうか。
解決のためには、
人間が家族の絆を見つめ直していくしかない、
と言える気がします。
社会全体で高齢者を見守っていくことも必要でしょう。
そうすることで、ペットが独りぼっちになるのを
みんなで防がなければならない時代になっているのです。
人が生きるという中で、ペットも共に生き続けていく、
そのためにみんなが見守り、助け合う社会が
これから先は必要なのではないでしょうか。