雪のちらつく風情より、コタツでみかんが心を満たす…。 猫でなくとも家でゴロニャンしたくなる、キーンと冷え込む2月の京都です。
さて、今回お邪魔したのは同志社大学に程近い住宅街。2匹の猫と暮らすご一家です。丁寧に修繕された築約100年のお家は、土間あり縁側ありの和み空間。「子供が生れたこともあり、6年前にマンションから引っ越してきました。もともと古い家具が好きなのですが、この家だとしっくり馴染んでくれるのでうれしいです。猫たちもここに移ってから気性が穏やかになりましたよ」。飼い主の加藤さん夫妻です。
縁側でまどろむ2匹の猫。黒猫の郡(グン)と白茶の茶衣(チャイ)は、ともにオス猫ですが大の仲良しさん。そんな2匹の加藤家での暮らしは、11年前、奥さまの美佐さんと郡との出会いがはじまりでした。「私たち二人とも岐阜県出身なのですが、私が先に仕事で京都に出てきていたんです。その時の一人暮らしがさみしくて、猫飼いたいな~と。当時は“黒猫と暮らすって素敵! ”なんて思ったりもしていて(笑)。そんな時に“黒い子猫、飼い主募集”という記事をフリーペーパーで見つけて…」。あるお寺さんで保護されていた迷い猫、それが郡だったというわけです。
「憧れの黒猫だったし、手のひらに乗るほど本当に小さくて、とにかくかわいかった。ちなみに、郡という名は○○郡という実家の地名からとりました。故郷を忘れないようにって(笑)。でも猫を飼うのははじめてだったので、驚きの連続。夜中も部屋中走りまわるし、高い所に登るし…。子育てより大変だった気がします」。きっと、郡に困らされ、笑わされ、癒されながら、美佐さんは京都暮らしに馴染んでいったのでしょう。ビロードのような艶めく黒毛をまとい、凛とこちらを見つめる郡。今はこんなにダンディですが、やんちゃ坊主だったのね~。
では茶衣は? 「今はここで仕事をしていますが、以前は二人とも働きに出ていました」。実は俊輔さん、この家の一画で革のお財布やブックカバーなどを作っている作家さんなんです。「仕事で家を空けることが多くて、郡がいつもお留守番。かわいそうに思えてきたんです。というか僕だけが勝手にそう思ってたんですが、例のフリーペーパーで“子猫もらってください”の記事を見て…。それで、奥さんの誕生日に茶衣をプレゼントしたんです。まあ、はじめ彼女は“え? は? 2匹飼うの?? ”って困惑していましたが(笑)」。
いや~確かにサプライズなプレゼント! 「本当は郡が黒猫だから、白猫を飼おうって計画していたんです。でも結局、茶衣がめちゃめちゃかわいかったので、もらってきちゃったんですよね~」。さわやかに笑う俊輔さんでした。
初対面こそすさまじい闘いがあったそうですが、今ではすっかり大親友の2匹。5年前に娘さんが生れた時はいたずらもせず、そっと見守るようにいつも近くで寄り添っていたとか。郡と茶衣、ご主人様の優しい性格をちゃんと引き継いでいるようです!