VOL.4 「2匹のいる場所」の巻

子供の頃、猫を飼っている親戚のおばさんから、「猫は、その家の一番過ごしやすい場所にいるのよ。」という話を聞いたのですが、当時、猫には興味のなかった私には、おばさんの猫は毎日ほとんど同じ場所で寝ているぬいぐるみのように見えて、とても家の中の過ごしやすい場所を探して動いているようには、思えませんでした。

しかし、2匹が家族になると、季節や時間、時にはそれぞれの気分に合わせて、とても「貪欲」にいごこちの良さを手に入れようと、行動しているのに驚かされます。

毎朝私が朝起きると、ベッドの足元で寝ていたみっくんがすぐに甘えた声で鳴きながらスリスリと寄って来る。主人が言うように、ご飯ほしさの行動だとわかっていてもあまりのかわいらしさに、「今朝もあいさつできたね。」と、なでなで。いつの間にかやって来たリリィにご飯を取られながら、仲良く食べ終えると、すっかりクールなみっくんへ変身。なで続ける私の手を振り払うように、さっさと2匹でお気に入りの場所へ。

夏に人気の場所は、外を見る事ができる窓。そこでも最初にみっくんが、自分の身体の幅より細い窓枠に飛び乗りガラスにへばりついて、「窓、開けて!」と鳴くと(私には、そう訴えているように聞えるんですが…)どこからかリリィが勢いよく跳んで来て、みっくんを追い出して、ちゃっかりと居座り、窓の外を優雅に見ている素振り。その速い動きに不意を突かれて端へ追いやられても、大きい体をかがめ、空いている隙間から、一生懸命覗いているみっくんの様子は、なんて情けなくて、かわいいんでしょう!

本当は、窓の外には興味がないのに、デーンと座るリリィの姿には、貫禄さえ漂っています。「窓合戦」が終わると、風の通る涼しい日影で、お昼寝。夜中には、涼しい廊下にいることが多く、2匹が暗闇で眼を光らせている様子は、まるで(番犬ならぬ)番猫。身体の大きさと不審な物音への低い唸り声から、かなり頼もしく見える存在。でも、本当は悲しいくらい気が小さくて、娘の友達が遊びに来ただけで、争うように2階へ駆け上がり、ベッドの下へと隠れてしまって、帰るまで絶対出て来られないのです。

そんな2匹でも春のポカポカと暖かい日だまりでは、リラックスしての~んびり。無防備に、お腹丸だしで寝ているにも関わらず、お日様の移動に合わせて、微妙に動いて位置を変えながら、ひなたぼっこしている様子は、おかしいけれど、とても愛らしく、ほのぼのとした、やさしい気持ちにしてくれる。

2匹と3人が仲良くいる場所で、穏やかな気持ちになれることが私には、なによりの幸せ。そう思える場所こそが、「一番過ごしやすい場所。」なのでしょうね。